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組込みLinuxの特徴とメリット、開発について
組込みシステム近年、家電製品やスマートフォンなどのシステムには組込みLinuxがよく使われています。組込みLinuxは将来性のある分野として、今後の製品開発において重要度を増していくことが見込まれます。企業としては早めにその技術を取り入れ、組織の成長に活用することが大切です。
本記事では組込みLinuxの特徴やメリット、開発における注意点を解説するとともに、組込みLinuxを使ったシステム開発の技術支援サービスも紹介します。
目次
さまざまな家電に使われている組込みLinux
Linuxはパソコン向けのOSのひとつであり、無料のオープンソースソフトウェアです。現在では、家電製品などの組込みシステムを構築する際に使い勝手がよかったことから、パソコンに留まらずさまざまな用途で使われています。
組込みLinuxとは、家電製品などの組込みに特化したLinuxです。現在では医療機器やスマートフォン、テレビやカーナビ、産業機械など幅広い製品に活用されています。
組込みLinuxの特徴は?
組込みLinuxの特徴は、さまざまな機能を備えていながら、無料で利用できる点です。オープンソースのソフトウェアのため、ソースコードの書き換えが可能であることをはじめ、開発環境が充実しており、カスタマイズ性に優れています。
組込みLinuxはスマートフォンのほか、電力やメモリが限られたさまざまなデバイスの要件に最適化でき、ほかのハードウェアへの移植も難しくありません。さらにセキュリティに関しても堅牢な設計で、オープンソースコミュニティ上で多くの開発者によって改良が加えられ続けているため、信頼性・安全性が高いのもメリットです。
組込みLinuxの需要が増えた背景
組込みLinuxの需要が拡大している背景として考えられるのは、IoTとスマートフォンの普及です。
Linuxはネットワークやファイルシステム、デバイスドライバなどさまざまな機能を使え、機器に応じて環境をカスタマイズできることから、多くのIoT機器の開発に利用されています。近年では、物流、交通、医療などあらゆるジャンルの業務においてIoT機器の導入が進んでおり、それに比例して組込みLinuxの需要も増加している傾向です。
組込みLinuxはモバイルデバイス向けのOSであるAndroidにも使われており、Androidはスマートフォンの普及に伴って、現在では世界一のシェアを誇るまでに成長しました。
OSとアプリケーションを補完するミドルウェアや、デバイスドライバが豊富という強みもあり、今後も多岐にわたるユーザーニーズに対応できるOSとして、シェアは拡大し続けるでしょう。
組込みLinuxを採用するメリット
開発したシステムをすぐに試せる
組込みLinuxの特徴は、さまざまな機能を備えていながら、無料で利用できる点です。オープンソースのソフトウェアのため、ソースコードの書き換えが可能であることをはじめ、開発環境が充実しており、カスタマイズ性に優れています。
組込みLinuxはスマートフォンのほか、電力やメモリが限られたさまざまなデバイスの要件に最適化でき、ほかのハードウェアへの移植も難しくありません。さらにセキュリティに関しても堅牢な設計で、オープンソースコミュニティ上で多くの開発者によって改良が加えられ続けているため、信頼性・安全性が高いのもメリットです。
開発環境が充実している
Linuxはx86やArm、PowerPCなど代表的なCPUアーキテクチャに対応しているため、幅広いデバイス要件に応じた組込みシステムを構築できます。さらにミドルウェアも豊富で、TCP/IPやHTTPといったネットワークスタックのほか、USBやWi-Fi、Bluetoothなどのプロファイルやクラスに関するスタック、複数のファイルシステムなどから利用可能です。
このような既存機能のほか、エディターなどの開発環境もオープンソースで公開されているものがあります。また、クロスコンパイラやリンカといった開発ツールは、ほとんどがCPUメーカーから組込みLinux向けに無償提供されています。
さらに書籍やWebでは、多くのエンジニアがLinuxの技術的な情報を発信しているため、開発で困った際には情報提供によるサポートを受けられます。常に最新の情報に触れ、それを開発に反映できるのも大きなメリットです。
トラブルにも迅速に対応できる
Linuxでは、GDBやDDDといったデバックツールも使用可能です。デバックツールとLinuxカーネル自体に備わったトレース・ログ機能と組み合わせることで、バグの発見と修正、再チェックまでを効率的に行えます。
また、Linux自体のバグや脆弱性に関する情報はユーザー同士のコミュニティで共有され、対策があれば迅速に公開されます。問題の内容や修正の妥当性については多数のユーザーによってチェックされるため、高度な信頼性の確保が可能です。
組込みLinux開発の主な流れ
組込みLinuxでシステム開発を行う流れは、主に「システム構築→アプリの開発→動作テスト→調整」の4ステップです。
まずはパソコン上のLinuxシステムに開発環境を構築します。開発ツールをLinuxシステムにインストールすれば、環境の構築は容易です。なお、Windowsなどを利用していて、既存の環境も残したい場合には仮想デスクトップ上にLinux環境を構築しましょう。
そして、記述したソースコードやCPUアーキテクチャ、ミドルウェアなどを選択した上で、実際にLinuxソースコードをコンパイルしていきます。
コンパイルが完了したら、実行環境で動作テストを行います。当然、開発環境と実行環境でOSやCPUが異なる場合には、実機がなければテストはできません。動作を確認しつつ、気になる部分を調整して完成です。
組込みLinux開発における注意点
組込みLinuxには主に3つのデメリットがあります。
ひとつ目はハードウェア資源の消費量が多いことです。組込みシステムを使用する機器は、サイズや価格の条件から搭載できるメモリに制限があるものが少なくありません。そのため、できるだけ消費メモリを節約する必要がありますが、Linuxはほかの組込み用OSよりROMやRAMの使用率が格段に大きくなっています。
さらに、起動に時間がかかりやすいのがもうひとつのデメリットです。ほかの組込み用OSは1秒程度で立ち上がるのに比べ、組込みLinuxでは一般的に6~30秒程度の時間を要します。
また、元々パソコン用のOSだったため、リアルタイム性がほかの組込み用OSより乏しいのも課題です。組込みOSを使用する機器の中には、機器制御やマルチメディア処理などのリアルタイム性を求められる分野があります。そうした機器ではマイクロ秒単位のリアルタイム性を有した組込みOSが用いられますが、組込みLinuxでは高性能のプロセッサーを用いても、ミリ秒単位が限界とされます。
組込みLinuxには技術支援サービスの活用が効果的
「NEC Linux技術支援サービス」は、Linuxのシステム開発を技術面からトータルでサポートするサービスです。具体的には、製品の企画・設計段階での実現方式の検討から、障害解析や性能分析、チューニングまでの技術的な支援を行います。それにより、高品質で市場競争力のある製品の実現を目指します。
技術支援サービスを活用すれば、高い専門知識を有したエンジニアを育成しなくとも、すぐに組込みLinuxを使った開発を始められます。
また、起動時間の短縮やリアルタイム性の改善、CPUの削減など、組込みLinuxの技術的な課題解決や、セキュリティなどのサポート対策にも取り組んでいます。サービスは課題に合わせ、必要な支援を組み合わせて提供しているので、企業ごとに最適なサポートを受けることが可能です。
まとめ
オープンソースのソフトウェアとして機能性の高い組込みLinuxは、幅広い製品の組込みシステム開発に利用されています。IoTの普及などを受け、今後もますます需要が拡大してくと見られます。
製品のシステム構築に組込みLinuxを活用すれば、低コストで充実した開発環境を実現できるため、企業としての技術力向上につながるでしょう。技術支援サービスなどの利用により、すぐに開発に着手することも可能です。企業の競争力を高めるためにも、組込みLinuxを使った製品開発に取り組んでみることをおすすめします。