業務標準化とは|業務標準化の必要性と実施方法をご紹介

NEC 現場作業支援ソリューション

業務標準化は同一製品を量産し続ける場合だけでなく、様々な種類の製品を量産する場合でも役立ちます。業務標準化によって町工場のような高騰技術を持つ職人が育ちにくいというデメリットはありますが、海外に輸出したり多くの量産品を作ったりするような大きな企業においては効力を発揮しやすいです。

当記事では業務標準化の必要性とメリット・デメリットについて解説します。業務標準化が必要な場面と、業務標準化を進めない方がいい場面の判断ができるように当記事の内容を参考にしてみてください。

~目次~

製造現場の業務標準化を支援する「現場作業支援ソリューション」

業務標準化とは

業務標準化は組織内における業務のフローとタスクを設定し、従業員全員が同じ方法・手順で業務にあたれるようにする取り組みです。業務標準化をすることで、業務効率化の促進や品質の安定化を図ることができ、安定した製品の供給を実現できます。また、扱う製品の量が多ければ多いほど業務標準化の効果は大きく、様々な種類の製品を受注していても全ての製品において品質の安定化が図れる特徴があります。

注意点として、職人技術(伝統工芸技術や機械で再現できない技術など)で成り立っているような企業にはあまり向かない取り組みです。業務標準化を目指すと『誰でもできる作業内容』という点が重視されやすいので、経験を積まないと修得できない技術などは標準化に取り組むことで衰退しやすくなってしまうでしょう。

業務標準化の必要性

業務標準化が必要とされる理由は『品質のムラを無くす』『属人化を解消する』の2点があります。扱う商品が多いとその分だけ業務の種類やタスクも増えるので、それらをスムーズに進めていくには業務標準化が必須です。業務標準化が進めば、各従業員間に能力や知識の差があっても、製品の品質が安定した状態で製造できます。さらに、誰でもできる体制を整えることで、異動や急な退職に対しても問題なく対応することができるでしょう。

『属人化を解消する』という側面に対しては、業務標準化によって作業内容やフロー工程が統一されるので『その人にしかできない作業』というのが無くなっていきます。それにより、新人が現場に参入した際もすぐに戦力として計算がしやすくなり、人の入れ替えによる影響を受けにくいメリットもあります。

業務フローの標準化

業務標準化の取り組みの一つとして『業務フローの標準化』というのがあります。業務フローの標準化を図ることで従業員全体が業務を進めていく流れに対して理解しやすくなり、作業の統一化を図れます。作業の統一化が実現すれば、業務担当が違う従業員同士でもお互いの業務の内容を把握しやすくなって連携が円滑にとれるようになるでしょう。

また、業務フローの標準化が進んでいれば、担当者が抜けたとしても他の従業員がどのような流れで業務を行えば良いのか速やかに把握できるので、企業の運営を円滑に維持することが可能です。円滑な運営を実現するためにも、理解しやすい業務フローの標準化を意識して取り組むようにしましょう。

業務フローの標準化の実施方法

業務フローの標準化を実施するためには、以下の手順に沿って進めていくことをおすすめします。

【業務フロー標準化の実施方法】

  1. 業務フローを見える化

    既存の業務フローがある場合はそれを書き出してもらって見える化しましょう。これにより、属人化している業務の標準化が進めやすくなって効率が上がります。ただし、属人化している業務に関しては、担当者からのヒアリングを念入りに行わないと情報を抽出しきれない可能性があるので注意してください。

  2. 見える化で洗い出したタスクを分析・整理してフロー化

    業務フローを見える化すると、改善すべきタスクが明確になります。明確化したタスクを分析・整理して業務の各項目を定量化(工数・頻度・順序・難易度などを数値化)していきましょう。そして、定量化した項目を業務フローが成立するようにまとめます。

    • 担当部署やコンプライアンスなど加味しておくべき条件は業務フローをまとめる際に並行して押さえておくようにしましょう。
  3. フロー化した内容を標準化

    フロー化した業務内容をそれぞれ『いつ・誰が・どのようにしてやるか』という3つのポイントに沿って項目を定めていきます。3つのポイントに沿って進めることで、業務が具体的なタスクとして落とし込まれ、従業員が実行に移しやすくなります。業務のフロー化をする中で、同一の作業をこなし続けるようなルーティーン業務については、作業内容をテンプレート化することで標準化を進めておきましょう。

タスクの標準化

業務標準化を進めるにあたり、業務フローの標準化と並行して『タスクの標準化』も必ず取り組みましょう。タスクの標準化は既に成果が出ている方法で標準化するのが好ましく、その方法を基にマニュアル化を進めて業務品質の安定化を図ります。マニュアルがあることで、業務を担当する人がだれであってもマニュアルに基づいて共有・訓練をすることができ、円滑な業務遂行の実現が可能です。

さらに、マニュアル化は業務の属人化も防げます。マニュアルがあることで従業員はそれに則して業務を遂行するので、同じ品質の製品を供給し続けることを可能にします。長期的に事業を継続していくためにも、タスクの標準化によって『安定した品質』『誰でもできる業務』が実現できるようにしておきましょう。

タスクの標準化の実施方法

タスクの標準化を実施するためには、以下の手順に沿って標準化を進めていくことをおすすめします。

  1. タスクを洗い出す

    業務工程ひとつひとつに関わる従業員にヒアリングを実施して、業務全体の状況を把握していきましょう。全体の状況を把握することでタスクが明確化され、標準化に向けた分析・改善がしやすくなります。

    • 業務遂行時に効率よく進めるためのノウハウなどもヒアリングできれば、マニュアルの質が向上します。
  2. タスクを整理してマニュアルを作成

    洗い出したタスクを整理してマニュアルを作成します。タスクの手順を構成する際は、業務の本質を見失わないために仕事の全体像・タスクの目的を踏まえて構成するように意識してください。マニュアル作成のコツとして視覚的に見やすいもの(画像や動画)を活用すると、従業員の理解度を深めることができます。

  3. 従業員が見やすいようにマニュアルを配備

    マニュアルを作製したら標準化が素早く反映されるように、誰でも手に取れるような場所へ配備しましょう。マニュアルの配備は標準化を実施するうえで一番重要とも言える工程なので、配備場所は複数人で念入りに検討してください。

    • マニュアルは紙媒体でも問題ありませんが、デジタル化すると印刷工程や配布量を少なくできるメリットがあるのでぜひ検討してください。

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業務標準化によるメリット

業務標準化が実施できれば、企業の利益を向上させたり、顧客の信頼を得られたりすることができます。他にも以下のようなメリットがあり、長期的な企業の成長を助ける役割を果たすでしょう。

【業務標準化によるメリット】

  • 品質の向上
  • 作業内容の統一
  • 技術力の向上
  • 業務効率化

職人技のような品質を追求することはできませんが、顧客が納得する品質を安定して提供ができますし、作業内容が統一されていることで顧客も安心して依頼することができるでしょう。企業内における『信頼』と顧客からの『信頼』を得るために業務標準化は最適な取り組みであると言えます。

品質の向上

業務標準化を実施すれば検査工程を含む全体の業務内容が統一されます。これにより品質が安定するので不具合品の流出を防ぐことができるでしょう。またマニュアルが作成されることで、業務の重要なポイントが従業員全体で共有できるため、工程漏れやミスが発生しにくくなります。

量産品を作るうえで業務標準化は大きく効果を発揮しますが、一点ものや高いクオリティを追求するものにはあまり向かないことも知っておいてください。あくまでも、業務標準化は高クオリティを追求するものではなく、水準を下回らない安定した工程を実現するための仕組みなのです。

作業内容の統一

業務標準化を進めると作業内容が統一され、誰でも業務に取り組みやすくなる仕組みを構築できます。さらに、企業内での連携も取りやすくなるメリットが生まれ、企業全体の運営が活発化するでしょう。

作業内容の統一は属人化の解消にもつながります。『その人にしかできない作業』が無くなり、誰でもできる作業に統一されるので業務情報の透明性が増します。

技術力の向上

標準化により属人化を解消することで、属人化していた特殊作業などをマニュアル化して誰でもできる作業に変換することもできます。もちろん技術を要する場合は経験が必要になる場合もありますが、それをマニュアル化して少しでも上達までの期間を短縮するのも業務標準化の目的と言えるでしょう。マニュアル化により業務に必要な技術を言語化することは、技術の蓄積へと繋がるので積極的にマニュアル化を進めていくことをおすすめします。

業務効率化

上記で取り上げた『品質向上』『作業内容の統一』『技術力の向上』の全てが達成されると、誰でもできる業務になる上に品質が安定して柔軟性の効いた企業運営が実現するので、大幅な業務効率化が期待できます。担当者が不在の時でも、『従業員全員が理解できる業務内容』となっていれば、業務の停滞を避けられ効率化します。

『従業員全員が理解できる業務内容』による効率化は、新人が入ってきた際でも同様のことが言えるでしょう。新人でも理解しやすい仕組みを構築しておけば、教育に使う時間を短縮することができ、早い段階で戦力化することに期待できます。新しい人材が戦力になるまでの期間が短縮すればするほど、教育担当者が自身の業務に時間を使える時間を増やすことができるのでその分だけ業務が効率化します。

製造現場の業務標準化を支援する「現場作業支援ソリューション」

業務標準化によるデメリット

業務標準化によって安定した品質の提供・顧客からの信頼の獲得ができるなどのメリットがある一方で、デメリットもあるので標準化を円滑に進めるためにも把握しておきましょう。

【業務標準化によるデメリット】

  1. 業務改善がうまく循環しない可能性
  2. 社員のモチベーションが低下する可能性

標準化すると業務工程の変更や規格の変更などがしづらくなり、もし変更したとしても従業員が戸惑って円滑な業務運営ができなくなる可能性があります。ですがその反面、標準化された業務体制を維持し続けることで同じ作業が続いて、従業員がマンネリ化しやすいというジレンマが発生する可能性もあります。

業務改善がうまく循環しない可能性

業務標準化されたフローはマニュアルに沿って実施されることから、ルーティーンのように機械的に作業が継続され続け、特別大きな問題が起きない限り改善の機会が生まれなくなるでしょう。業務改善はPDCAサイクルを回して、細かな課題を抽出しながら改善を積み重ねていくことで質の高い業務を実現する方法です。つまり、同じことを繰り返すだけの業務標準化システムを構築したら改善の機会が全くなくなってしまうのです。

そこで、重要になってくるのが業務標準化のフローの中に改善機会を設ける工程を追加することです。常に同じ作業を続ける中でも新たな気づきや課題に気付く人は現れたりするものです。そういった従業員の気づきなどを抽出する工程を標準化の中に取り入れることで、業務改善も並行して進められるようになるでしょう。

社員のモチベーションが低下する可能性

業務標準化によりマニュアル化された業務に携わる人は、機械的に作業をこなすだけになり、新しい思考を育む機会を喪失しやすいです。単調な作業が続くと多くの従業員は意欲的な発想をしなくなり、特別感がない現状を原因にモチベーションの低下を招くでしょう。

モチベーションの低下を防ぐために、業務について話し合う機会を設けたり、息抜きできる機会を設けてあげたりすることが企業には求められます。効率よく進んでいる業務を維持するためにも、従業員のメンタルに配慮した環境を作る意識は忘れないようにしてください。

業務標準化を「音声技術」で推進する方法

以上、業務標準化について解説しました。最後に、業務標準化を推進する音声技術の活用法についてご紹介します。

業務標準化は業務マニュアルにより標準化されます。しかしながら、現場の作業者は業務マニュアルをみながら作業をする必要があり、その結果、作業効率を悪化させたり、業務マニュアルの意図が理解できなければ、間違った作業をしてしまいます。そこで、下記のイラストのように作業指示と作業結果の報告を音声で行うことで、業務標準化をより効率よく推進できます。

業務標準化を「音声技術」で推進する方法

音声で作業内容を指示され、作業結果を音声で入力していきますので、作業者は業務指示を効率よく把握でき、作業の実績データを効率よく報告できます。こういった現場作業の標準化を支援するのが、現場作業支援ソリューションです。詳細については下記ページにて解説していますので是非ご確認ください。

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