作業分析とは|分析を実施する際のポイントと取り組み事例をご紹介

NEC 現場作業支援ソリューション

作業分析は作業者が実施する仕事内容の質を把握する上で有効な分析方法です。作業分析に取り組めば業務効率化に期待できます。しかし、作業分析に取り組むためにはピッチダイアグラムの使い方や、動作経済の4原則について知っておかなくてはなりません。そこで当記事では、それらの詳細についてわかりやすく解説します。今後、作業分析に取り組んでいくことを検討している方はぜひ参考にしてください。

~目次~

製造現場の作業分析・改善を支援する「現場作業支援ソリューション」

作業分析とは

作業分析は業務の各工程で行われている作業員の作業内容を確認して分析することを指します。作業分析には大きく分けて『ライン作業分析』と『連合作業分析』があり、これらを活用することで生産工程のムダな部分を排除することができます。

作業分析で言うところの『ムダな部分』とは、最小単位で示す作業のムダのことを指します。例えば、何度も部品を取りに行くことによるムダな作業や、非効率な体勢で作業を行うことによるムダな姿勢などのことを言います。業務は作業が組み合わさることで成り立つので、業務の効率化を図るためには業務を構成している作業の分析をして改善することが欠かせません。

ライン作業分析とは

ライン作業分析とは『ピッチダイアグラム』を用いて、各工程の作業時間と標準サイクルを比較・分析して改善を行う方法です。ピッチダイアグラムとは各工程の作業時間を棒グラフに表した図(参考図あり)のことを言って、各工程にかかる時間を視覚的に認識できる特徴があります。ピッチダイアグラムを使えば、ボトルネックとなっている工程を簡単に把握できるだけでなく、効率的に行われている作業も把握できるので、それらのバランス(=ラインバランス)を考えて改善の検討をします。

一般のライン作業において、『各作業者の所要時間÷ボトルネックの工程時間×工程数』で算出されるラインバランス効率は85%以上が理想的とされています。もし、85%を下回るようであれば早急に改善が求められるので、ピッチダイアグラムを参考に分析・検討してムダな作業の排除をしましょう。

【ピッチダイアグラムの参考図】

ピッチダイアグラム

ライン作業分析を実施する際のポイント

ライン作業分析は各工程の作業を効率化するために重要な分析です。正しい方法で課題やムダを洗い出し効果的な改善を実施するためにも、以下の4つのポイントを把握しておきましょう。

【ライン作業分析を実施する際のポイント】

  • ピッチダイアグラムを使いこなす
  • ムダ取りをしてからラインバランスを調整する
  • ECRSを意識
  • 動作経済の4原則を意識

ピッチダイアグラムを使わずしてライン作業分析は成立しません、以下で解説する内容を参考にピッチダイアグラムの基本を把握してください。そしてピッチダイアグラムで工程ごとの問題点を分析したら、ECRSに基づいて改善を実施して効率化を図り、『動作経済の4原則』に基づいたアイデアを出し合って改善作業を完成させます。

ピッチダイアグラムを使いこなす

ピッチダイアグラムを使う目的は『作業要員の削減』と『ピッチタイムの短縮』の達成です。これらを達成できれば作業効率が大幅に向上して生産性が上がります。慢性的な人手不足が課題として挙げられる製造業界において、ピッチダイアグラムを使った作業分析は非常に効果的な方法なので把握しておきましょう。

ピッチダイアグラム

ピッチダイアグラムの使い方について解説します。例えば、上の図の場合5つの工程がありますが、これらを統廃合して工程の数を減らせないかを検討することで、人員の削減を図ります。目標サイクルが10秒で設定してあるのなら、工程3と工程5を合わせて行えないか?工程2のムダをなくして他の工程と統合できないか?といったことを検討して作業の効率化を達成します。目標サイクルをあえて延長することで、工程の統合を図ることも重要な視点となるので『削るだけが効率化ではない』ということも知っておいてください。

ムダ取りしてからラインバランスを調整する

ラインバランス効率の理想値である85%以上を達成するにはムダ取りが欠かせません。まずはムダ取りを行い、その後にラインバランスを調整していきます。ラインバランスを先に調整してしまうと『ラインバランスを取る→ムダ取り→再度ラインバランスを取る』という2度手間が発生するので注意が必要です。

ムダ取り作業はECRSを参考に実施しましょう。

  • Eliminate:排除
  • Combine:統合と分離
  • Rearrange:交換
  • Simplify:簡素化

例えば、『排除できる作業はないか?』『統合と分離で効率化できる工程はあるか?』『仕入れ先や部品などを交換することで効率化できる部分はあるか?』『作業自体を簡素化できないか?』といった視点でムダな部分を削っていく作業をしていきます。これらの視点は業務改善を実施する上で必ず知っておきたい視点なので押さえておきましょう。

動作経済の4原則を意識する

動作経済の4原則とは以下の4つの動作のことを指します。

  • 両手を同時に使う
  • 動作の数を減らす
  • 距離を短くする
  • 動作を楽にする

動作経済の4原則もECRSと同様にムダ取りを検討していく上で重要な切り口となります。両手で作業することで時間短縮を図ったり、作業動作を最小限にしてムダな行動時間を排除したりすることで、作業におけるムダな動作をなくして時間短縮を目指します。作業分析をしたあとの改善作業で重要なのは『多くのアイデアを出すこと』です。多くのアイデアを出す上で、ECRSや動作経済の4原則は必ず役に立ちます。

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連合作業分析とは

連合作業分析とは、『複数の作業者による作業』や『作業者と設備による作業』の組み合わせに対して『単独作業・連合作業・不稼働』の3つの性質に分けて視覚化することで、作業ロスを明確化する方法です。

【連合作業分析で使う3つの性質】

単独作業:設備や他の作業者と関係ない作業
連合作業:設備や他の作業者と協同する作業
不稼働:設備や他の作業者を待っている状態

例えば、以下のような作業工程が図化されていたとします。

作業工程 改善前

このように作業工程を視覚化したら、サイクルタイムの短縮と、配置人員の削減をするために検討をします。この表だと旋盤が切削で稼働している時は作業者稼働していないのでムダな時間が発生しています。これらのムダな時間をどのように改善していくべきか検討するのが連合分析作業です。もし、この表を改善したとすれば以下のような図に改善されます。

【改善後】

作業工程 改善後

作業者の手持ちによる不稼働の時間を旋盤が切削している時間と並行することで、ムダな不稼働時間を削減します。こうすることで全体のサイクルタイムを減少させることができ、効率化が実現します。

連合作業分析を実施する際のポイント

連合作業分析を実施する目的は『サイクルタイムの短縮』と『配置人員の削減』を達成することです。これらを達成するためには以下で示す3つのポイントを意識して、連合作業分析に取り組みましょう。

【連合作業分析を実施する際のポイント】

  • 正味作業時間の短縮
  • 目標サイクルタイムの延長
  • 作業分担、手順、タイミングの見直し

サイクルタイムの短縮には正味時間の短縮と目標サイクルタイムの延長を検討します。正味時間の短縮がサイクルタイムの減少に繋がるのはもちろんのこと、目標サイクルタイムを延長することで工程の統合ができるので最終的にサイクルタイムが短縮できる場合もあります。

正味作業時間を短縮する

正味作業時間とは作業を順序どおりに行った1サイクルの最小時間のことで、実質的な加工作業のみにかかる時間を指します。サイクルタイムを短縮するには正味作業時間を短縮するのが最も即効性が高く、改善内容を検討しやすい部分です。作業にムダはないか、機械のサイクル自体を上げられないか、といった視点で作業時間を直接短縮しましょう。

目標サイクルタイムの延長を検討する

『目標サイクルタイムが短ければ短いほど全体の作業時間が短縮される』というのは間違っていませんが、発想を変えて目標サイクルタイムを伸ばすことでも、作業全体の時間を短縮できます。

目標サイクルタイムを延長すれば、作業の割り振りに余裕ができて、作業の統廃合がしやすくなります。作業を統廃合することで、作業間でかかるムダな時間を短縮したり、準備時間を短縮したりできるので、全体的な視点で作業時間を見れば結果として短縮していることも珍しくありません。

作業分担、手順、タイミングの見直しをする

作業効率を良くするために『作業分担・手順・タイミング』が効率的な内容になっているか見直します。効率的に作業が進めば自然とサイクルタイムは減少しますし、効率化した分だけ配置人員の削減も可能です。まずは、『ひとつの作業に対する人員は余分でないか?』を確認し、問題なければ『手順が適切か?』『作業を実施するタイミングは適切か?』を確認して行きます。

結果として、どの部分も改善の余地がなければ、それは理想的なサイクルタイムで作業ができているということなので、その作業を分析して他でも活かせるようにしましょう。

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作業分析を効率化する方法

以上、作業分析、ライン作業分析、連合作業分析の基礎について解説しました。最後に、作業分析の効率化方法と事例についてご紹介します。

作業分析を効率化する現場作業支援ソリューション

作業分析は、各作業者の「正確な作業時間」を継続的に収集し分析することが重要です。しかし、この「各作業者の正確な作業時間を継続的に収集」することが非常に難しいです。なぜなら、作業状況を記録することで、本来の作業の効率を下げてしまうからです。

そこで、作業実績の収集に役立つのが現場作業支援ソリューションです。現場作業支援ソリューションは、下記のイラストのように作業者の作業記録を音声で収集できます。

作業分析を効率化する現場作業支援ソリューション

音声で作業内容を指示され、作業結果を音声で入力していきますので、作業の実績データを効率よく収集できます。さらに作業時間の記録も音声入力により自動化されますので、非常に正確な作業実績が記録できるようになります。現場作業支援ソリューションの詳細については、下記のページで解説していますので、御社の作業分析に活用できないか、一度ご検討ください。

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