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コラム
VRとは?仮想空間を体験できる仕組みやARとの違いなどVRの基礎知識を解説

UPDATE : 2021.02.26
「Virtual Reality」の略で、日本では「仮想現実」と呼ばれる「VR」。VRという言葉は知っていても、具体的にどんな技術なのか、実際に体験したことがある方などは、まだ少ないのではないでしょうか。
VRを取り入れたいと考える企業も多いと思いますが、その仕組みや実際の利用シーンなどを把握しきれていないケースもあるでしょう。
VRは映像を360°見渡せるため、通常の映像や画像よりも多くの情報を得られます。似ている技術で「AR(拡張現実)」と呼ばれるものもあります。
この記事では、VRの基礎知識について詳しく解説します。また、各業界におけるVRの活用事例からARとの違いまでご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
INDEX
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VRとは?
- VR映像は「視聴型」と「参加型」の2タイプ
- VRでできること
- VRの歴史
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VRで仮想空間を体験できる仕組み
- 映像を立体視できる仕組み
- 触ったり動かしたりできる仕組み
- 移動できる仕組み
- 顔を向けた方向が見える仕組み
- 音の方向を感じる仕組み
-
VR以外のシステムとの違い
- ARとの違い
- 3Dとの違い
- WebVRとの違い
-
VRを体験するための方法及び必要なツール
- VRゴーグル
- パソコン用VRゴーグル
- スマホ用VRゴーグル
- 家庭用ゲーム機
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さまざまな分野でひろがるVRの可能性
- 広告
- スポーツ
- 医療
- エンタメ
- 不動産
- 観光
- VRの今後|需要の見通し
- まとめ
VRとは?
VRは「Virtual Reality」の略で、日本では「仮想現実」とも呼ばれています。具体的には、専用のゴーグルで人間の視界を覆うように360°の映像を映すことで、実際にその空間にいるような感覚を得られる技術です。
近年ではこれをさらに発展させて、映像の中を自由に移動できたり、ものを動かしたりといった没入感の高い体験も可能となっています。
VR映像は「視聴型」と「参加型」の2タイプ
VRには、大きく分けると「視聴型」と「参加型」の2通りがあります。
視聴型は流れている3D映像を見るだけですが、授業を受けたり医療の支援をしたりといった使い方が可能です。
一方、参加型のVRでは、映像の中を自由に歩き回るだけでなく、映像内のものを触ったり動かしたりすることもできます。そのため、観光事業や住宅販売において活用されています。
VRでできること
VRはエンターテインメントからビジネス、医療まで幅広く活用することができます。
たとえば、富士急ハイランドの「富士飛行社」というアトラクションでは、VR映像と可動式のシートなどを組み合わせることで、まるで本物の飛行機に乗っているような迫力を味わえます。
また、教室と同じような環境で授業を受けられる教育事業や、遠隔地から手術や治療を支援する医療事業など、VRはさまざまなシーンで利用されています。
VRの歴史
VRは近年注目されている技術ですが、じつは研究自体は1960年代には始まっていました。
一般層にまでVRという言葉が浸透したのは1990年代ですが、当時のVRと呼ばれたものは立体的に描いた2D映像であるため、現在とは大きく異なります。
現在の意味合いでの「VR」が普及したのは、スマホを利用したVRシステムが登場した2014年。その後、家庭用ゲーム機やPC用のハイエンドVR機器が続々と登場したことで、2016年は「VR元年」とも呼ばれています。
VRで仮想空間を体験できる仕組み
VRで映像を立体視できたり、映像内を自由に動けたりする仕組みについて解説します。
映像を立体視できる仕組み
VRではなぜ映像が立体的に見えるのでしょう。そこには人間の両目の視差が関わっています。人間の目は、左右で見える像が微妙に異なります。これを両眼視差といいます。普段は左目で見ている像と右目で見ている像を脳で合成し、立体的に見えるよう調整しています。
VRでは、この両眼視差を仕組みに取り入れています。映像は左目用、右目用とカメラを2台並べて設置し、同時に撮影します。これを専用のVRゴーグルに投影して見るのですが、ゴーグル内には2枚の小さなディスプレイが横並びで設置されており、左側は左目だけ、右側は右目だけに映ります。この二種類の映像を脳で合成して認識するため、立体的な映像として見えるのです。
触ったり動かしたりできる仕組み
参加型VRでは、コントローラーを手に持って動作をおこなうケースがほとんどです。コントローラーを通して、対象に触ったり動かしたりといったアクションが可能となります。
また、高度なVRでは、コントローラーが人間の手の動きを細かに認識し、あたかも自分の手を使っているように感じられます。その他にも、コントローラーに装備されたモーターで硬さや衝撃といった感覚を味わえるVRも登場しています。
移動できる仕組み
一般的なVRでは、コントローラーを使って映像内を移動します。従来のテレビゲームのように十字キーやスティックを操作するケースが多いです。
一方、高度なVR機器では、室内に設置したセンサーが人間の動きを認識します。それに連動したVR映像の中を実際に動くため、体感度がより高まります。
顔を向けた方向が見える仕組み
VRでは上下や左右に顔を向けると、その方向の映像を見ることができます。人間が両目で同時に見える視野角は120度程度ですが、じつはVR映像ではそれよりも広い範囲を撮影しており、VRゴーグルに映っているのは、人間の視野角部分の映像のみ。
顔を左に向けると左側の映像が見え、右に向けると右側の映像を見ることができますが、これは人間の動きに合わせて、見える範囲が切り替わっているからなのです。
VRゴーグルには赤外線などのセンサーが内蔵されていて、目や頭の動きを捉え、動きに合わせて映像を映す範囲を切り替えています。
音の方向を感じる仕組み
人間は、左右の耳の聞こえ方の違いによって、音の方向を認識します。従来の「ステレオ音声」では、左耳用と右耳用とでそれぞれ別に録音し、それぞれの耳でそれぞれの音を聞かせ、音の方向を感じ取れるようにしています。
一般的なVRでは、こうしたステレオ音声を用いているものもありますが、高度なVRでは「空間音声」を活用した機器によって音の方向を感知します。空間音声は、上下・左右・前後の音を捉えられるように多数のマイクを使って録音できるため、より現実に近い音が再現できます。
VR以外のシステムとの違い
よくVRと混同される技術に、「AR」や「3D」、「WebVR」などがあります。ここでは、それぞれの技術とVRとの違いを解説します。
ARとの違い
ARは、「Augmented Reality」の略で、日本語に訳すと「拡張現実」。実在する風景に文字や映像などの視覚情報を重ねて表示します。たとえば、街の中のある場所でスマホのカメラをかざすとキャラクターが現れ、あたかもゲームの世界から飛び出してきたように見せるスマホアプリなどがあります。
VRが仮想世界を現実のように見せるのに対して、ARでは実際の風景に新しい視覚情報を付加し、現実の世界を仮想的に拡張します。
3Dとの違い
映画などで使われる「3D」も、人間の両目の視差を利用した技術です。映像を左目用、右目用と2台のカメラで撮影する点はVRと共通しています。
ただし、3D映像では左目用と右目用の映像を1枚のスクリーンやディスプレイに、超高速で交互に表示しています。これを3D用のメガネを通して見ることで、立体的な映像が見えるという仕組みです。
そのため、3Dは立体的に見えるとはいっても、VRのように視界いっぱいに映像が広がる没入感を得られにくいといえます。
WebVRとの違い
WebVRは、専用機器がなくてもWebブラウザを通してVRを試聴できる機能です。URLをシェアするだけで他のユーザーにVRを体験してもらえるというメリットがあります。
VRゴーグルがなくてもVRコンテンツをマウスで操作したり、スマートフォンを傾けて動かしたりといった使い方が可能です。
開発が手軽である反面、クオリティの高いVRコンテンツを制作するのは難しいという側面もあります。
VRを体験するための方法及び必要なツール
VRを体験する方法や必要なデバイスについてご紹介します。
VRゴーグル
VRゴーグルには、単体で装着するだけで使用できるタイプがあります。「スタンドアロン型」とも呼ばれ、ディスプレイとコンピュータを内蔵していることが特徴です。
VR内で体や手を動かせる「OculusQuest2」や高解像度でリッチなVR体験ができる「Vive Focus Plus」などさまざまな製品がリリースされています。また、近年では専用のVRコンテンツがプリインストールされた医療用モデルなども発売されています。
パソコン用VRゴーグル
高品質のVRを楽しみたいのであれば、パソコン用のVRゴーグルがおすすめです。
パソコンと接続するタイプであれば、接続元のパソコンのスペックを最大限に活かしてVRゲームや動画を楽しめます。ただし、グラフィック処理性能が高いパソコンを用意する必要があります。
スマホ用VRゴーグル
スマートフォンの画面をVRのディスプレイとして利用できるゴーグルもあります。
このタイプのゴーグルは、段ボール製などの安価なものが多いのが特徴です。パソコンやゲーム機に接続するものやスタンドアロン型と比較するとやはり性能は劣りますが、一方で、初めてVRを体験するという人はスマホ用ゴーグルから始めてもよいでしょう。
家庭用ゲーム機
SONYが家庭用のVRゲーム機として販売しているのが「PlayStation VR」です。人気ゲーム機である「PlayStation4」や「PlayStation5」に接続してさまざまなVRゲームや映像コンテンツを楽しめます。周辺機器として、手の動きを認識する「モーションコントローラー」なども販売されており、参加型VRの没入感が高いのが特徴です。
さまざまな分野でひろがるVRの可能性
VRはゲームや動画などのコンテンツだけではなく、さまざまな産業で活用が始まっています。
広告
VRの活用により、広告の自由度は格段に向上しました。たとえば、ユーザーがVRで商品に触れられるようにすれば、実際の使用感を確認するといった体験型の広告展開が可能です。また、企業はユーザーの視点をデータとして利用できるため、企業からの一方通行ではない新しい広告の手法として注目されています。
スポーツ
スポーツに特化した動画配信プラットフォームでは、360°見渡せるVRスポーツ観戦サービスが提供されています。中には、特定の選手や監督の視点で観戦できるサービスもあります。自宅にいながらスタジアムにいるような没入感を得られることが特徴です。
また、選手がトレーニングにVRを活用しているケースも少なくありません。VRトレーニングであれば、天候に左右されず、難易度を自由に変えながら練習することが可能です。
医療
医療分野では、実際の手術の様子をVRで世界中の医師にシェアすることで、医師の技術向上をはかっています。また、重大な手術を行う前には、VRによってシミュレーションをすることも可能です。これらの取り組みは、難易度の高い手術の成功率アップにつながると期待されています。
エンタメ
エンタメ業界はVRと相性がいいといえるでしょう。たとえば、音楽鑑賞や観劇では誰でも特等席に座ったような臨場感の高い体験が可能です。また、演者にカメラを取り付けることで、まるで自分がバンドや劇団の一員になったような気分に浸ることもできます。
さらに、アクションゲームでは腕を振って実際に剣を使って戦う感覚を味わえるほか、テーマパークでは十分なスペースがなくてもジェットコースターと同等の迫力があるアトラクションを作れます。
不動産
不動産会社では、入居希望者がVRゴーグルを装着して行う「VR内見サービス」が始まっています。この方法であれば、実際に物件を訪れなくても部屋の様子や窓からの眺望などを自分の好きな角度で確認できます。
また、建築では住宅の設計図から立体CGを作成し、その中をVRで歩くことで、導線などを実感を伴って検討できます。
観光
日本政府観光局は、YoutubeチャンネルでVRを活用した外国人向け動画コンテンツ「360°JAPON」を配信しています。この動画では、人力車の上から眺める古い町並みや京都嵐山の竹林などのVR映像を360°見ることができます。臨場感あるVR映像により日本の魅力を伝えることで、外国人観光客の増加を狙っています。また、VRがあれば仮想空間化した観光地を歩き回ることもできるため、自宅にいながら旅行気分を味わえます。
VRの今後|需要の見通し
今後、VRの需要はさらに拡大していくでしょう。とりわけエンターテインメント事業ではさらなる市場の拡充が予想されます。
調査会社IDC JAPANによると、VR/AR分野の2018年から2023年にかけての平均成長率は年間78.3%にも上ります。その中でも、VRゲーム、VRビデオ、ARゲームの消費者向けユースケースは2023年に約2兆2000億円に達すると予測されています。
今後は家庭でも手軽にVRを楽しめるようになるなど、エンタメのメインストリームがVRとなる可能性も高いでしょう。
まとめ
今回は、各業界で注目度が高まるVRについて解説しました。VRは現実さながらの体験を作り出すことができるため、エンタメだけでなく観光や不動産、医療など幅広い分野で活用される技術です。今後さらに、情報共有の方法としてVRが利用されるシーンも増えるでしょう。
本記事で紹介した、仮想空間を体験できる仕組みやVRの基礎知識などについて、ぜひ参考にしてください。
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