勤怠管理の必要性とは?|管理方法や問題点、勤怠管理システムの導入についても解説 | NECソリューションイノベータ

サイト内の現在位置

コラム

勤怠管理の必要性とは? 管理方法や問題点、勤怠管理システムの導入についても解説

UPDATE : 2021.03.05

企業や事業所は、すべての従業員に対し「就業状況を管理すること」が義務付けられています。
従業員の勤怠や休暇を適切に把握・管理することは、健全に働ける場の提供、業務効率化や生産性アップに繋がります。さらには「社員を大切にする会社」という企業イメージの向上も期待できるでしょう。
この記事では、勤怠管理とは何か?就業状況を正しく把握・管理するために必要なポイントは?などを解説。人事部や管理部門の方はぜひ参考にしてみてください。

INDEX

勤怠管理とは

企業または事業所が従業員の日々の就業状況を適切に把握・管理することを指します。出勤や欠勤状況をはじめ、労働時間、残業時間、休憩時間、休日、有給休暇取得状況など、管理業務は多岐にわたります。これらは全て労働基準法で定められており、正しく勤怠管理を運用していくためには、ガイドライン(2017年1月に厚生労働省が公表)に基づいて行うことが求められています。

リンク先:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

管理の対象者

先述のガイドラインによると、高度プロフェッショナル制度対象者(一定以上の年収要件に達しており、専門的かつ高度な職業能力を有する者)を除く、すべての従業員が勤怠管理の対象となります。2019年4月の「働き方改革関連法」の改正により、今まで対象外だった管理職などの管理監督者もこれに該当します。また、高度プロフェッショナル制度の対象者であっても、休日の取得管理は企業側の義務となっています。

管理対象の企業・事業所

厚生労働省によると、勤怠管理が必要となる企業・事業所の条件は「労働基準法における労働時間の規定が適用される事業所である」こと。つまり、業種や業態、規模に関わらず、従業員を雇っているほぼ全ての事業所が対象となります。なお、労働時間の規定が適用されない業種=農業・水産業など、自然や天候によって勤怠が左右される一定の業種は管理の対象にはなりません。

勤怠管理の必要項目

では、勤怠管理の必要項目には何があるのでしょうか。厚生労働省の「ガイドライン」に基づいて以下、解説します。

労働時間

管理が必要なものは主に、始業~終業時間、就業時間、休憩時間です。賃金計算のため、また遅刻や早退が多い従業員に対し適切に指導したり人員配置を変えたりなど臨機応変に対応するため、1分単位での管理が必要となります。休憩時間についても労働基準法により定められており、労働時間が6時間を超える場合=少なくとも45分、8時間を超える場合=少なくとも1時間、従業員に対し休憩を取らせる義務があります。

就業時間外の労働時間

就業時間以外での労働があった場合でも管理は必要となります。原則、時間外労働や休日労働は禁止となっていますが、雇う側と従業員側が書面による届出を労働基準監督省に提出すれば認められます。法定外残業や、休日・深夜に労働した場合は、それぞれ異なる割増率を適用し、通常よりも高い賃金を支払う必要があります。

勤務日数

把握するのは勤務時間だけではありません。従業員が何日働き、何日休んだのか、1カ月単位での勤務日数管理も必要となります。休日出勤があった場合でも、きちんと振替休日や代休を取得できているかを把握し、従業員の健康状態や給与計算に影響が出ないよう適切に管理しましょう。

年次有給休暇

労働基準法改正により、2019年4月から「年次有給休暇の取得」が義務化されました。企業や事業所は、条件(6ヵ月間継続勤務、8割以上出勤している)を満たしている従業員に対し、最低でも毎年5日の有給休暇を与えなければなりません。条件を満たす従業員であれば雇用形態は関係なく、契約社員やパート、アルバイトにも付与することが義務付けされています。消化できなかった有給休暇は翌年に繰越となり、有効期限は2年。2年を超えた場合は消滅となります。従業員一人ひとりが適切に有給休暇を取れているか、残日数がどれくらいかなどを把握するためにも、勤怠管理はしっかりと行いましょう。

勤怠管理の必要性

そもそも、なぜ勤怠管理は必要なのでしょうか。企業や事業所の義務となっているその理由について、解説します。

企業や事業所の義務

2019年4月、働き方改革により労働基準法・関連法が改正され、「従業員の労働時間の把握」が義務付けられました。その目的としては、過剰な長時間労働や残業代未払いの防止など、適正な就業環境の提供と賃金支払い等があげられます。従業員に対する労働管理を怠った企業や事業所は、労働基準法により「6か月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金」の罰則を科せられる恐れがあります。

労働環境の向上

近年、長時間労働を課せられる「ブラック企業」などが問題となっていますが、不適切な残業や休日出勤による働き過ぎは従業員の心身の健康に影響を及ぼし、過労死や自殺に繋がるケースがあります。今や勤怠管理は、従業員の働き過ぎ防止、健康管理への配慮などにも繋がり、企業生命を守るリスクヘッジとしても重要なものになってきています。

適正な給与計算

勤怠管理は労働基準法によって定められた義務ですが、勤怠管理を行うことは雇う側にもメリットがあるのです。正確に給与を支払うためには正しい労働時間・日数の管理が必要ですし、それらは結果的にコストの見直し・改善にも繋がります。さらに、残業代は保険料・税金の算出に関わってくる重要な数字ですが、勤怠管理が正しく行われていないと正確な残業代が把握できないため、保険料・税金の計算が異なってしまう恐れもあります。

労働時間の記録方法

企業や事業所は、従業員の労働日ごとに始業~終業時刻を確認・記録する義務があります。記録する方法も定められており、原則として以下の2つが示されています。

①使用者(雇う側)が自ら現認することにより確認し適正に記録すること
②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

リンク先:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf

従来型

これまで多くの企業が行っているタイムカードや出勤簿、Excelなど、従来型の勤怠管理の方法について解説します。

タイムカード

従業員が出社・退社するタイミングで、タイムレコーダーに紙のシートを差し込んで時間を打刻する方法です。メリットは、専用端末と用紙を購入するだけなので導入コストを低く抑えることができ、操作も簡単。一方デメリットは、会社に出勤しなければ打刻することができないため、テレワークを導入している、あるいは出張が多いという企業には不向きという点です。また、他の従業員が代理打刻をするなど、不正打刻の恐れもあります。

出勤簿

紙のフォーマットを使用して勤怠管理をする方法です。出退勤時刻だけでなく、残業時間や休憩時間など、あらゆる情報を手書きで書き込みます。メリットは、誰でも簡単に使え、勤務状況を1枚で管理できる点。デメリットは、自己申告制のため実際の出退勤時間と異なる時刻を書き込まれる恐れがあること、また、残業に対して後ろめたい気持ちがある従業員が、実際は残業が発生しているにも関わらず申告しないという不正申告の可能性があります。

Excel

Excelを使って勤怠を管理する方法もあります。あらかじめ表計算を組んでおけば、個々の従業員が出退勤時刻を入力するだけで自動的に労働時間を計算できます。Excelさえあれば費用がかからないというメリットがあり、無料で取得できるテンプレートをインターネット上でダウンロードして使用すれば、導入費用は実質0円です。一方で、従業員が実際の出退勤時刻と異なる入力をしたり、入力ミスをしたりというデメリットもあります。

勤怠管理システム

スマートフォン、パソコンなどと連携し、従業員の出退勤や残業・休暇など勤怠管理を総合的に行うシステムです。従来の手書き・紙製タイムカード、Excelでの勤怠管理では出来なかったインターネット上での打刻が可能となり、不正打刻の防止、集計や管理工数の軽減、テレワークや直行直帰などの社外勤務に対応できるなど、多くのメリットがあります。また、ICカードをはじめ、指紋認証や顔認証などを用いた生体認証、PCやスマートフォンでのログインなど、さまざまな打刻手段に対応しているのも特徴です。

クラウド型

近年主流となっているクラウド型は、Web上のサーバーを介して運用する勤怠管理システムです。インターネットが繋がる環境であれば、どこからでもアクセス可能。時間・場所を問わず、就業時間を記録することが可能なため、テレワーク中の自宅や外出先であっても、パソコン・スマートフォンから入力できます。

オンプレミス型

オンプレミス型は、勤怠管理システムでできることはクラウド型と変わりませんが、自社サーバー内にシステムを設置します。
そのため、自社に合わせて機能をカスタマイズすることができます。また、入力されたデータはすべて自社サーバー内に保管されるため、セキュリティ性が高いのが大きなメリットです。ただし、導入時の初期費用やサーバーの維持管理費用が必要となります。

タイムレコーダー型

タイムレコーダーを設置し打刻する方法もあります。入退場ゲートを設置している企業などで利用されています。
打刻にはIDカード、指紋認証や顔認証などの生体認証、パスワードの入力など、本人が特定できるものを用いますので、出退勤の正確な記録が可能です。記録されたデータの保管や集計が、従来型より容易にできます。

従来型勤怠管理の問題点

従来型の勤怠管理方法では、少なからず問題点があります。どんな問題があるのかを見ていきましょう。

打刻・記入漏れ

従来型のタイムカードや出勤簿などの場合、出退勤時に打刻や記入を従業員がうっかり忘れるということが発生します。また、出張や直行、直帰など社外勤務の際には、打刻や記入ができません。
こうした事態が起こった場合、後日報告を受けて修正するなど管理担当者側の負担も大きくなります。

不正打刻のリスク

タイムカードをタイムレコーダーに差し込んで打刻するタイプの場合、本人以外が代理でおこなうことも可能となってしまいます。また、退社時間に打刻をした後に、残業することもできてしまいます。
こうした方法では、正確な就業状況が把握できないリスクが高まります。

管理担当者の負担

タイムカードなど従来型勤怠管理の方法では、月初に勤務時間や残業時間、休暇取得状況などの集計作業が必要です。
それを手作業でおこなうため、総務や人事部門の担当者の負担は決して小さいものではありません。さまざまな雇用形態が多様化しているなか作業は複雑化しており、その負担はますます大きくなっています。

勤怠管理システムが注目される理由

従来型での勤怠管理の問題を解決する方法として、勤怠管理システムに注目が集まっています。

勤怠管理システムのメリット

勤怠管理システムには、次のようなメリットがあります。

正確な労働時間の把握

代理打刻などの不正なく、労働時間を正確に把握できます。ICカード式の社員証や自分のパソコン、スマートフォン、生体認証など、本人が特定できる打刻方法を用いているためです。外出先や出張先からでも、またテレワークなど、会社以外の場所での打刻も可能。自動で記録されるため、後日修正するといった作業も不要です。

従業員の負担軽減

管理担当者および従業員の負担が軽減できます。打刻時間が自動で記録されるので、管理担当者が手作業でおこなっていた集計作業や打刻漏れなどのチェックが不要となります。従業員にとっては、タイムカード式の場合は打刻する際の待ち時間がなくなり、Excel入力や出勤簿記入式の場合は、それ自体をしなくて済みます。また、出退勤の記録のための出社も不要。全社的に負担が軽減され、業務の効率化が図れます。

多様な勤務形態への対応

テレワークをはじめとした多様な勤務形態に対応できます。コロナ禍で普及したテレワークは、今後もますます広がると想定されます。また、働き方改革が推進され、ライフスタイルに合わせた多様な勤務形態に対応していく必要があるでしょう。
勤怠管理システムであれば、出社をしなくても勤務時間の記録や休暇などの申請が可能で、さまざまな勤務形態にも対応できます。

勤怠管理システムが注目される理由

導入するメリットの大きい勤怠管理システムですが、選ぶ際には考慮すべきポイントがいくつかあります。ここではそれらについて解説します。

自社の労働・雇用形態への適性

1つ目のポイントは、従業員の人数や業種、雇用形態などから、自社に適した機能を搭載しているかという点です。
例えば、営業職の多い企業であれば直行直帰に対応した機能があるか、製造業であればシフト制に対応できるのか。また、正社員や契約社員、アルバイトなど雇用形態に沿った対応ができるかなど、自社の雇用形態や労働時間制度すべてがカバーできるかを確認しましょう。
さらに、有給休暇などの申請・承認フローや給与システムへの連携など、自動化したい業務は何かを洗い出し、それに対応できる機能の有無もチェックしましょう。

使いやすさ

2つ目のポイントは、使いやすいか、操作しやすいかという点です。
勤怠管理システムの打刻方法には、PCから入力するタイプをはじめ、ICカードをかざすタイプ、指静脈認証や顔認証などの生体認証、外出先でも打刻ができるスマートフォン対応など、さまざまな種類があります。
操作が難しかったり、職種に合わなかったりした場合、せっかく導入しても浸透しないこともあり得ます。従業員が使いやすいことが重要です。
加えて、勤怠管理担当者にとっても、操作しやすいかどうかという点も見逃せません。

他のシステムとの連携

3つ目のポイントは、給与計算システムや人事管理・人事評価システムとの連携が可能かという点です。
集計された勤務時間や残業時間などの勤怠データは、給与計算や労務管理にも必要となります。ですから、勤怠管理システムを単独ではなく、他のシステムと連携したいと考えるなら、その点もチェックしましょう。
また、スマートフォンやタブレットからの操作に対応しているかも確認するとよいでしょう。

サポート

導入後のサポート体制ついても、外せないポイントです。
従業員が実際に使い始めると、思いがけない質問やトラブルが発生することが想定されます。その際、どのように対応してもらえるのか、しっかりとチェックしましょう。
具体的には、サポートの範囲やスピード、曜日や時間帯、サポート方法(電話、訪問、Webなど)、そして無料か有料かなどの点を確認しましょう。

種類

勤怠管理システムの種類(タイプ)についても、重要なポイントです。
勤怠管理システムには2つのタイプがあります。Web上に用意されたシステムを利用する「クラウド型」と、自社サーバーに設置する「オンプレミス型」です。
クラウド型は導入が容易で、導入コストを抑えることができます。ただし、システム提供会社が保有するサーバーのため、セキュリティ対策をゆだねることになります。また、インターネットに接続することが必須です。
一方、オンプレミス型は自社に合わせたカスタマイズが可能で、かつセキュリティ対策も自社でおこなえます。しかしながら、導入には時間とコストがかかります。

コスト

最後のポイントは、コストです。
初期費用と月額費用が発生します。初期費用は導入時に発生するコストですが、クラウド型には初期費用0円のサービスもあります。クラウド型の月額費用は、一人当たりの料金を人数分で掛け合わせるものや、人数に応じて段階的に変動するものなどがあります。
オンプレミス型はシステムを自社で導入するため、初期費用が高額になりますが、月額費用は比較的小さくてすみます。おもに保守費程度ですが、サーバーの維持管理費用も必要です。また、法改正への対応が必要となった場合などには、そのための費用が発生します。

まとめ

働き方改革やテレワークの推進により、ますます重要性が高まっている勤怠管理。従業員の労働時間や休暇状況を正確に把握することはもちろん、従業員や管理担当者の負担を軽減すること、多様な勤務形態への対応も求められます。そこで注目される勤怠管理システムについて、導入のメリットや選ぶ際のポイントなどを解説してきました。人事・労務の管理部門の方はぜひ参考にしてみてください。

NECソリューションイノベータでは、働き方改革関連法案に対応した勤怠管理システムをご提供しています。クラウド型なので、PCとインターネットだけで利用可能。初期費用0円で、人数分に応じた月額費用のみの低価格。豊富な打刻手段が選択可能で、サポートスタッフが就業規則に合わせた設定や運用をサポートします。お気軽にご相談ください。