BIツールとは?機能やメリット、比較のポイントを解説【無料トライアル有】 | NECソリューションイノベータ

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コラム

BIツールとは?
機能やメリット、比較のポイントを解説
【無料トライアル有】

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UPDATE : 2022.11.18

BIツールとは、企業が持つデータの集計分析、可視化により、企業の意思決定や課題解決を助けるソフトウェアです。専門知識がなくてもデータを利活用できるようにするBIツールは、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータドリブン経営を進めるうえで、重宝されています。

そこで本記事では、BIツールの機能やメリットなどの基礎知識から、導入事例やツールを比較する時のポイントまで解説します。

INDEX

BIツールとは

BIツールとは、企業が所有する情報を集計・分析・可視化(ビジュアル化)して、ビジネスの意志決定や課題解決をサポートするソフトウェアを指します。対象となる企業の情報は、売上・営業利益・顧客データ・顧客LTV・原価・歩留まり率・生産数など、多岐にわたります。

そもそもBIとは「ビジネスインテリジェンス:Business Intelligence」の略で、企業の意思決定に役立てるために、情報を収集・蓄積・分析・共有・報告する活動を意味します。BIのようにデータをビジネスに活用する取り組みの歴史は、50年以上も前から始まっています。1960年代にはMIS(Management Information System:経営情報システム)という仕組みで、データに基づく経営判断が実践されていました。

現在では、専門知識を持っていないエンドユーザーが自由にソフトウェアを運用するEUC(End User Computing:エンドユーザーコンピューティング)という概念の普及と、デジタル技術の革新によりBIツールが進化。モバイル端末で使用可能な「モバイルBI」や、データ活用の専門知識を持たない人でも操作できる「セルフサービスBIツール」が浸透しています。そのほか、ドラッグ&ドロップの簡単な操作で、AIを活用した予測分析が可能なBIツールなども登場しています。

BIツールでデータ利活用する流れ

●BIツールが重要視されている背景

IoTやIT管理システムの技術革新は、ビッグデータと呼ばれる多様かつ多量のデータ収集・分析を可能にしました。かつては、保存や整理が困難であった静止画、動画、テキストといった非構造化データの活用も進んでいます。そのため、ビッグデータの活用は企業競争力の観点から軽視できない状況です。

さらに現在は国家レベルでDXが推奨され、データドリブン経営がビジネスで重要視されています。ビジネスでデータに基づく経営判断を迅速に下すためには、スムーズにデータを活用できる仕組みが必要です。そこで、データのリアルタイムな可視化や高度な分析を可能にするBIツールが、存在感を高めています。

なお、技術革新はBIツールにも起きており、機械学習やAI機能を搭載してビッグデータを分析するサービスが登場しています。技術が高度になると同時に、ユーザビリティが向上している点もポイント。BIツールは、誰もがわかりやすく使いやすいデータの分析・共有が可能なソフトウェアとしての認識が広まっています。

BIツールの機能と役割

ここでは、BIツールを構成する数々の機能の中で、最も基本的な4つの機能について解説します。

【①  データ可視化・共有】

分析結果のレポーティング機能は、BIツールの基本的な機能の1つです。近年では、コーディングの知識がなくても見やすい表やグラフを作成できるノーコードなBIツールも普及しています。分析結果は、Excel・CSV・PowerPoint・PDFなどで出力できるほか、Webブラウザやモバイル端末から閲覧できるサービスも増加。場所や状況に合わせて、スピーディな情報共有が可能です。

BIツールによるデータの可視化において、重要な役割を果たしているのが「ダッシュボード」です。ダッシュボードは、任意の分析結果を表やグラフで一覧表示したり、異常な数値をアラートで通知させたりといった操作が可能なレポート機能。リアルタイムのモニタリングができる点も特長です。ダッシュボードは、グラフからワンクリックでデータの絞り込みや更新ができるため、スピーディなデータ分析に貢献しています。

【②  データの多角的な分析】

BIツールの多角的なデータ分析を支えているのが「OLAP(オーラップ)」です。OLAPとはOnline Analytical Processingの略。蓄積された大量のデータからなる多次元データベース上で、複雑な集計分析をする機能を指します。日本語でオンライン分析処理や多次元分析と訳されるOLAPにより、BIツールのリアルタイムで多角的なデータ分析が実現しています。下記は、OLAPで実現可能な処理の例です。

スライシング 多次元データベースから必要な情報を二次元の表に切り出す機能
ダイシング スライシングで抽出した集計軸を入れ替えて、別の側面を可視化する機能
ドリルダウン 詳細にデータを表示させる機能(例えば、年単位から月単位へと掘り下げるなど)
ドリルスルー ワンクリックで関連する別のレポートに移動する機能

【③  データからの知識発見】

統計や機械学習などの分析手法を用いて、情報の中から価値ある知識を発見・採掘(Mining)することをデータマイニングといいます。BIツールの必須機能であるデータマイニングは、知識を発見する「知識発見型」と仮説の予測や推定を行う「仮説検証型」に大別されます。

知識発見型データマイニングの代表的な手法には「クラスタリング(クラスター分析)」と「アソシエーション分析」があります。クラスタリングは、データを類似のグループに分類する手法。正確さを高めるには相応数のサンプルが必要となるため、ビッグデータ分析と相性が良い手法です。

アソシエーション分析は、異なる属性間の関係性を見出す手法です。例えば、アソシエーション分析の1種であるマーケットバスケット分析では、特定商品と同時に買われる商品の組み合わせを分析。「おむつを購入した人はビールを同時に買うことが多い」という有名な仮説発見の逸話を生んだと言われています。

【④  データ分析を活かした予測】

BIツールを使った仮説検証型データマイニングには「回帰分析」や「決定木分析」などの分析手法があります。回帰分析は、予測したい目的変数に、原因となる説明変数がどれほどの影響を与えるかを予測する分析手法。店舗の立地や売り場面積、地域人口など、複数の変数から売上を予測する「重回帰分析」もその一種です。

決定木分析は、ツリー構造(樹形図)で段階的に関連性の高い項目を列記し、分析を深めていく手法です。例えば、冷凍食品のサブスクリプションサービスを継続する人と退会する人の特性を「性別」「年齢」「居住地」と深掘りして仮説を立てます。分析結果から「男性、35歳以下、都内在住」が最もボリュームが多いとわかれば、ターゲットの選定や行動予測に活かせます。

BIツール活用に欠かせないETLとDWH

ここでは、BIツールを活用するうえであわせて理解しておきたい、データ統合の仕組みについて解説します。

生産管理や販売管理など、社内の複数システムのデータを統合してBIツールで分析するには、各システムからのデータを抽出・集約するシステムと、蓄積するシステムが必要です。各システムからのデータを抽出・集約するシステムとして普及しているのがETL。ETLは、「Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)」の略で、データ形式のバラつきや誤りを修正・整形して、統合・整理するシステムです。

次に、ETLで整形したデータを蓄積する場面で必要となるシステムが、DWH(Data Ware House:データウェアハウス)です。DWHは、抽出や加工されたデータを分析に適した形で保管するシステムで、BIツールと連携します。

なお昨今では、ELTというシステムも使われています。ELTは、下図のように格納後のDWH内で変換処理をする仕組みです。ETL・ELTやDWHを機能の一部として盛り込んでいるBIツールもあるほか、BIツールのオプションサービスとして、同時にDWHを構築するサービスもあります。

ETL、ELT、DWH、BIツール活用のプロセス

BIツールとExcel(エクセル)の違いとは

表計算ソフトであるExcel(エクセル)は、企業のデータを整理するのに役立つソフトウェアです。関数、ピボットテーブル、予測機能、統計分析機能、グラフ作成機能など、ビジネスの意思決定に活用できる機能を搭載しています。中には、VBAコードを駆使してデータ処理を自動化しているケースもあるでしょう。

ビジネスへのデータ活用という目的で、BIツールとExcelは共通します。しかしながら両者には、ビッグデータ時代では軽視できない違いがあるのも事実です。具体的には、下記がExcelにはないBIツールの利点です。

  •  【BIツールがExcelより優れている点】
  •  ・データソースの統合ができる
  •  ・大容量データの処理速度
  •  ・簡単にデータ共有ができる
  •  ・データソースのリアルタイムな自動更新ができる

ビッグデータの取り扱いにおいては荷が重いExcelですが、基本的な分析機能や資料作成機能を備えつつ、導入ハードルが低いというメリットがあります。単一データなどの集計や、更新が発生しないデータの作成、共有不要な個人作業などにはExcelが役立つため、目的に応じてBIツールと使い分けるのも一手です。

BIツールのメリット

BIツールを活用することで企業が享受できるメリットや効果には、下記の2点があります。

  • データ関連作業の効率化
  • ビジネススピードの向上

【データ関連作業の効率化】

BIツールを活用することで、データの集計と共有、レポート作成に要していた時間を削減可能です。複数のシステムから抽出したデータを一元管理できるうえ、データの抽出や更新を自動化できます。集計作業の削減や自動化により、分析やシミュレーションなど、付加価値の高いデータ関連業務に専門人材の時間を充てられるようになります。また、リアルタイムに社内横断的なデータの共有が可能なので、専門部署や他部門へ集計依頼をする必要がなくなります。

データ関連作業の効率化は、その他業務に割けるリソースが増えるというメリットもあります。例えば営業部門の場合、報告資料作成の時間を短縮できれば、営業アプローチの手数を増やせるでしょう。

【ビジネススピードの向上】

多量なデータでも高速処理できるBIツールは、データ分析にかかる時間を短縮し、ビジネスの意思決定スピードを向上させます。また、専門知識のない社員でも直観的にツールを操作して、高精度なデータ分析ができる点もポイント。組織におけるデータ利活用の間口を広げると同時に、データ活用の精度を組織レベルで高められるでしょう。

こうした組織レベルでの効果的なデータ利活用は、経営環境の変化に対応するDXの原動力になります。DXで期待される「本質的なビジネス課題の発見と解決」「新規ビジネス創出のヒント獲得」「生産性向上」「高精度な予測」などに、BIツールが貢献しています。

BIツールのデメリット

ここでは、BIツールを導入・活用するにあたってのデメリットや注意点を解説します。

  • 導入準備の負荷が大きい
  • データ利活用の成否は作業者に依存する

【導入準備の負荷が大きい】

BIツールを正しく導入し、そのメリットを享受するためには、導入検討段階で難しい業務を処理しなければなりません。具体的には、BIツールと社内システムとの連携、データフォーマットやダッシュボードの整備などが必要です。

また、いくつもあるBIツールの中から、自社に合ったものを適切に選ぶことも重要です。実際の使用場面を想定したコストシミュレーションを行い、必要な機能数、データ容量、課金体系を見極める必要があります。そのため、IT専門家やITベンダー企業の力を借りて、スピーディかつ効果的に導入を進めるケースも少なくありません。

【データ利活用の成否は作業者に依存する】

BIツールは導入しただけでは効果がありません。社員に活用されてはじめて真価を発揮します。そのため、BIツールを導入・活用する際は、作業者の視点に立って環境を整える必要があります。作業者の視点が欠けた状態で導入を進めると、下記のような失敗例を生んでしまうリスクがあります。

  • 作業者にとってBIツールの使用感が悪く、かえって業務効率を悪化させてしまう
  • 作業者がBIツールの利点や目的を理解できないため、BIツールが活用されない

こうした事態に陥らないためにも、作業者の意見をくみ取ってBIツールの選定・導入を検討するべきでしょう。また、ITベンダー企業などに協力を仰ぎ、BIツールの具体的な活用シーンと効果的な使用方法を洗い出し、自社に当てはめてデータの活用ビジョンを深める取り組みも効果的です。なお、ITベンダー企業が提供するBIツールの導入支援ソリューションには、導入から活用までを伴走してサポートするサービスもあります。作業者がBIツールを効果的に活用できる状態を目指して、こうしたサービスを導入するのも方法です。

BIツールの活用場面と使い方

BIツールを効果的に機能させるためには、現場でデータを活用するビジョンを明確にしなければなりません。そこで、ビジネスシーンにおけるBIツールの活用例を解説します。

【経営財務でのBIツール活用例】

BIツールを導入することで、粗利益率や市場シェアなどのKGI(Key Goal Indicator)と、それを達成するための顧客数や顧客単価といったKPI(Key Performance Indicator)をリアルタイムで追跡できるようになります。会議やミーティングの場面でタイムリーに情報を確認できるため、素早く、的確な意志決定を下せます。各部署の状況を投資収益率などで横断的に比較分析できるため、グループ会社を抱える企業がリソース分配を最適化する際にも役立っています。

BIツールの予測分析機能は、過去データを根拠とした予算や目標の設定に効果的です。設定した予実管理項目を定型レポートの形に落とし込むことで、効率的に目標の設定と管理ができます。そのほか財務報告の場面では、ミスが起こりやすくストレス負荷も高い決算業務の高精度化・効率化を促します。BIツールを活用すれば、決算短信や有価証券報告書で必要なデータの集計や、税務処理に必要な数字の計算を素早く処理できるからです。

【人事労務でのBIツール活用例】

BIツールと勤怠管理システムの連携により、人事労務におけるデータ集計作業の負担を軽減できます。加えて、勤怠状況をBIツールで可視化すれば、過重労働を改善する取り組みが推進しやすくなるというメリットもあります。例えば、工数管理のデータと連携して残業時間を分析することで、過剰に負荷がかかっている業務の傾向がつかめます。

また、人事データと業績データ(個人売上データなど)を統合した集計分析は、公正で客観的な人事評価や人材育成に役立ちます。コンピテンシー評価で理想とする社員像の具体的な数値を割り出せれば、人材育成の目標設定や、採用基準の選定に活かせるでしょう。

さらに、BIツールは従業員エンゲージメントの観点からも重要です。BIツールを活用すれば、残業時間、有休取得状況、テレワークの勤務状況、エンゲージメントサーベイ結果などの分析で、社員の状態を素早く可視化できます。過重労働などの労務課題の把握と、ケア実施までのスピードを早められれば、従業員エンゲージメントの低下が深刻化する前に手を打てるでしょう。

【営業マーケティングでのBIツール活用例】

営業やマーケティングの場面では、顧客データ分析に基づくプロジェクトの進行に、BIツールが役立っています。自社データ以外にも、オープンデータを活用した、データドリブンなマーケティング施策が実現しています。

また、営業担当者レベルで集計・分析を進められるようになるため、広告キャンペーン施策などにおけるPDCAサイクルの高速化にも貢献しています。さらに、収益性の高い購買層や商品を特定して、顧客ニーズを明らかにできれば、ターゲットのニーズを捉えた提案ができます。ターゲットの理解を深められるため、新規集客と継続顧客向け施策の両面で、効果的な企画の立案に役立つでしょう。

そのほか、BIツールによる営業プロセスの可視化は、営業チーム全体の課題解決を助けます。マネジメント層がタイムリーに予実状況を把握できるため、的確なアドバイスや支援活動を展開できるからです。

【その他の事業部門でのBIツール活用例】

BIツールは、あらゆる場面でビジネスの意志決定をサポートするソフトウェアです。そのため、製造や物流の現場でも恩恵を得られます。例えば、拠点や事業所ごとに人員工数などのデータを集計している場合、BIツールで集計業務を集約することで各拠点の作業を削減できます。手入力作業が無くなるため、ヒューマンエラーの削減にも直結するでしょう。

BIツールは、仕入れや在庫管理の場面でも有効活用されています。例えば、仕入れコストに与える要因(担当者、取引先、季節など)分析があります。仕入れ計画の問題点を特定して改善できるほか、脱属人化した仕入れ計画の策定にもつながります。在庫管理の場面では、在庫数や在庫回転数などのデータを製品や年月ごとに分析することで、過去のデータに基づいた将来の在庫計画を立てられるようになります。

そのほか、製品不良率と作業担当者・設備機械の稼働状況データを統合した分析による、不良品発生リスクの特定も、製造現場で実現しています。

BIツールの比較・選び方のポイント

BIツールは製品の提供形態、料金体系(ライセンス形態)、機能や性能の特長で種類を比較できます。

製品提供形態 オンプレミス型 / クラウド型
ライセンス形態 ユーザーライセンス型(ユーザー数) / サーバーライセンス型(サーバー数)
機能性能特長 ダッシュボード / モバイル対応 / データマイニング / AI・機械学習 /
データ連携 / 処理速度 / アクセス権限など

製品提供形態は、自社で保有するサーバー上でBIツールを動作させるオンプレミス型と、SaaS形態でBIツールを利用するクラウド型に大別できます。オンプレミス型は導入に時間がかかり、保守管理などで継続的なコストがかかる反面、自社に最適化したカスタマイズが可能です。一方のクラウド型は、サーバー構築や保守管理の必要なく導入・運用できますが、オンプレミス型に比べるとカスタマイズの自由度に限りがあります。

ライセンス形態は、ユーザー数ごとに課金されるユーザーライセンス型と、サーバー台数に応じて課金されるサーバーライセンス型に区分されます。想定利用者の数が少ない場合には、ユーザーライセンス型の方が費用を抑えられるケースが一般的です。サーバーライセンス型は、オンプレミス型に多い料金体系で、利用者が大多数となる場合に選択される傾向にあります。

機能や性能を検討する際は、自社で必要な条件を満たしているかどうかで見極めなければなりません。例えば、「モバイルに対応しているか」「AIによる分析に対応しているか」「ETL・DWHが自社システムと連携可能か」「ユーザーインターフェースの使用感は良いか」などです。そのほか、国内での導入実績、サポートの充実度、ユーザーの教育プログラムなどから、BIツールの提供会社自体の評価も考慮する必要があるでしょう。

BIツールの導入・活用事例

ここでは、BIツールを活用している企業の事例を紹介します。

【飲食業界】日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社は、全国で1,000を超える店舗を運営するファーストフードチェーンです。同社では、全国の店舗から集まるPOSデータや、公式アプリで収集する顧客データの集計分析に要する作業負荷が問題視されていました。そこで、2019年にBIツールのTableau(タブロー)のテスト運用を開始。店舗管理で活用するためのダッシュボードから、顧客分析などマーケティング向けのダッシュボードへと順々に活用範囲を広げています。

同社は、BIツール導入によって「データ集計・分析の作業負担軽減」「重複したルーチンワークの削減」「大量データの一括分析」「データ活用サイクルの高速化」「データ活用に対する意識の向上」を実現。今後もデータ活用の方向性を重要視しており、2021年度に公表された中期経営計画における能力開発において、“データ活用スキル研修の導入”を打ち出しています。

なお、長期的なBIツールの活用を見据えていた同社は「ユーザーインターフェースの使用感」「サーバー不要な導入形態」「機能拡張のスピード展開」など、Tableauの機能面とコストパフォーマンスを特に評価しています。

【IT業界】NECマネジメントパートナー株式会社

NECマネジメントパートナー株式会社は、NECグループにおける人事、経理、総務、マーケティングなどの共通業務を担うシェアードサービス企業です。同社は、NECグループに向けたサービスとして、各担当部門への問い合わせ負荷を軽減するための「Q&A自動応答サービス」を提供していました。

ところが運用を進める中で、Q&A自動応答サービスのデータ取得がスムーズに行えず、サービスの改善に時間がかかってしまうという課題が判明しました。そこで、同社はBIツールのTableauを活用したデータの統合管理・可視化に着手。利用者のアクセスログ、アンケートデータやFAQの評価結果をTableauのダッシュボードで可視化、関係者に共有することでQ&A自動応答サービスの品質向上を効率的に実現しています。

なお、同社はBIツールを導入するにあたり、いくつかのサービスを比較検討しています。その中で「公開範囲の制限が少ないライセンス体系」「アクセス権を細かく設定できる」「ビジュアライズ機能が優れている」の3点に優れていたサービスがTableauであったため、採用に至っています。

BIツールの導入・活用時に注意するべきポイント

ここでは、BIツールを効果的に活用するためのポイントを解説します。

●BIツールの活用に失敗するケースとは

BIツールを組織で機能させるためには、下記のような失敗例に注意を払う必要があります。

  • 導入目的が不明瞭
  • 有効活用できず費用対効果が見合わない
  • 現場が求める機能性能ではなかった

【導入目的が不明瞭】

BIツールの導入目的が不明瞭なまま導入を進めてしまうケースは、典型的な失敗例です。目的が不明瞭な場合では、そもそものBIツール選定の根拠を欠いている恐れがあるでしょう。BIツールは高機能で自由度が高い反面、その活用は社員の自発性に委ねられてしまうという側面もあります。BIツール導入の用途や目的が共有されておらず、社員に丸投げされてしまっている状態では、データ利活用の普及が見込めません。

【有効活用できず費用対効果が見合わない】

失敗例には、「現場の活用を期待して高度な分析機能を導入したものの、現場がそれを活用できず定型レポートの出力のみに終わってしまうケース」「データ分析の道に明るい人材の離職によりデータ利活用が停滞してしまうケース」もあります。いずれの場合も、BIツールを有効活用できないため、コストに見合う効果を得られていない状態と言えます。BIツールを用いた“データ分析の民主化”をゴールとするのであれば、社員が有効活用できるようにハンズオン研修を実施するなどのサポートを検討するべきでしょう。

【現場が求める機能性能ではなかった】

導入担当者の一存でプロジェクトを進めてしまった結果、導入後に現場と軋轢が生じてしまうという失敗例もあります。「現場で活用したいデータはどれか」「どのようなデータ分析や可視化のニーズがあるか」など、現場の声を吸い上げてBIツールを選定しなければなりません。現場を無視した導入では、データ利活用が進まないどころか負担だけを与えてしまい、従業員エンゲージメントを低下させるリスクがあります。

●BIツールの導入と活用時のポイント

ここでは、BIツールを効果的に活用するために、導入検討時から意識すべきポイントを解説します。特に上記の失敗例を避けるためには、次の取り組みが重要です。

  • BIツール活用の明確な目的設定
  • 現場との連携強化と活用サポート
  • スモールスタートで調整

【BIツール活用の明確な目的設定】

BIツールの導入を検討する際には、データを利活用するビジョンの設定が大切です。例えば「業務プロセスの課題発見や最適化」「迅速な予実管理」「仕入れシミュレーション」「データに基づくマーケティング施策」などの目的を明確にします。

そこから、BIツールでその目的に適う分析が可能か、必要なデータを収集・連携できるかなどの詳細を精査していきます。自社で重視すべき要件と、各BIツールの特徴を整理する際には、導入や運用のノウハウを持つITベンダー企業に相談すると効率的かつ安全でしょう。

【現場との連携強化と活用サポート】

BIツールの導入にあたっては、ヒアリングやアンケート、リサーチで現場の声を把握してから、要件定義を進めるべきです。データサイエンスの専門家と協力して、「在庫管理の安定化」や「新規開拓営業の強化」などの現場課題の特定と、解決に必要なデータ・分析方法の洗い出しを進めると良いでしょう。

また、継続的にハンズオン研修などで現場をサポートすることも大切です。使用方法を解説するマニュアルや動画を用意して、現場におけるデータ利活用の指針を示すと効果的でしょう。もし、ベンダー企業に導入支援を依頼している場合は、ベンダー企業が提供するBIツールの定着を支援するサービスを活用するのも方法です。

【スモールスタートで調整】

BIツールをスモールスタートで導入し、調整を繰り返しながら徐々に活用領域を広げていくアプローチも有効です。ツールの使い方やダッシュボードのテンプレートなどを、まずは一部門で整理してから組織全体に展開すると、混乱なくスムーズに導入できるでしょう。その際は、BIツールのアップデートにアンテナを張り続けることも重要です。BIツールの最新機能で、さらなる効率化が実現する可能性があります。

なお、スモールスタートであっても、導入検討時には製品トライアルを活用して、現場担当者と意識のすり合わせを行うと良いでしょう。トライアルを活用すれば、BIツールの強みである「直感的な操作性」「ダッシュボードの利便性」「データ可視化の効果」などを、現場担当者も実感できます。

BIツールの無料トライアルを効果的に活用する

BIツールの導入を判断する際は、導入後のミスマッチを避けるべく、操作性などを実際に確認できる無料トライアルを試すと良いでしょう。特にデータ活用の全社運用を目的としている場合は、ユーザーインターフェースなどの“使い勝手”が、重要な判断指標となります。

なお、NECソリューションイノベータでは、無料トライアルの際にも役立つ無料マニュアルを提供しています。この無料マニュアルは、基本的な活用方法から使いこなすコツまでを網羅しており、全100ページに及ぶボリュームです。「無料トライアルを有意義に活用する」ためにも、「BIツールの活用マニュアルを策定する」ためにも役立つ資料です。

まとめ

BIツールは、データの可視化によりビジネスの意思決定や課題解決をサポートするソフトウェアです。加速するビジネススピードや急速に変化する社会情勢に適応するためのDXを実現するうえでも、不可欠な存在です。技術革新も進んだBIツールは、AIを搭載していたり、モバイル対応していたりと、さまざまな製品が登場しています。自社に合う製品を選ぶのが容易ではないため、導入実績の豊富なITベンダー企業に相談するところから、はじめてみてはいかがでしょうか。

Tableau活用マニュアル&トライアル製品