ChatGPTとは?できることや活用事例などを分かりやすく解説 | NECソリューションイノベータ

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コラム

ChatGPTとは?
できることや活用事例などをわかりやすく解説

更新:2024.07.09(公開:2024.02.26)

ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、米OpenAI社によって開発された、人間との対話に近い自然な文章を生成するAIチャットサービスです。その機能は翻訳、文章の要約、プログラミングコードの生成など多岐にわたります。 ChatGPTの活用により、文章作成や要約などさまざまな業務の効率化や品質向上などが可能になりました。さらに「ChatGPT-4o」では、より自然な対話が可能になるなどビジネスシーンでも注目を集めています。

本記事では、ChatGPTとは何か、できることや企業での活用事例などをわかりやすく解説します。

INDEX

ChatGPTとは?

ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、米OpenAI社によって開発された、人間との対話に近い自然な文章を生成してくれるAIチャットサービスです。GPTとは「Generative Pre-trained Transformer(ジェネレーティブ プリトレインド トランスフォーマー)」の略で、直訳すると「事前学習をした生成する変換器」を意味し、事前に学習されたデータをもとに文章を生成するシステムを指します。その機能は自然なテキスト生成に留まらず、翻訳、文章の要約、プログラミングコードの生成など多岐にわたります。

OpenAIは2022年11月に「ChatGPT-3.5」をリリースし、高い性能と使いやすさから世界中で注目され、利用者が急増しました。その後、順調にバージョンアップを重ね、2023年11月には、改良された「GPT-4 Turbo」のリリースを発表し、2024年1月にプレビュー版を公開。教育、カスタマーサポート、コンテンツ作成、研究支援など、さまざまな分野の業務効率化に役立つとして、ビジネスシーンでも注目を集め始めました。さらに2024年5月に発表された新たなモデル「ChatGPT-4o」では、テキストだけでなく音声や画像データにも同時に対応、自然なテンポでの音声会話も可能となり、より創造性や生産性の向上が期待されています。

ChatGPTの仕組み

ChatGPTの仕組みは、OpenAIが開発した「GPT」という大規模言語モデルに基づいています。GPTでは、まず文章を単語に分け、各単語が「どのように関連しているか」を事前に学習したデータを元に解析し、次に来る単語を「推測」します。この方法により、ChatGPTは入力された質問に対する適切で自然な回答文を生成することができるのです。つまりAIがゼロから文章を考えているわけではありません。

以前のAI学習モデルでは、並列処理ができないため学習スピードが遅いとの問題がありました。しかし、GPTでは並列処理が可能となり、学習の効率が大幅に向上しています。GPTの開発により、AIの能力が飛躍的に高まったため、より複雑で自然な文章を生成できるようになったのです。

GPT進化の変遷

GPTの進化は、2018年にOpenAIがリリースした「GPT-1」から始まりました。このモデルは、自然言語処理において新たな時代の幕開けを告げたのです。以降、OpenAIは技術を継続的にアップデートし、機能を拡張していきました。

特に画期的だったのが、2022年11月に公開された「GPT-3.5」を用いた「ChatGPT-3.5」(無料版)です。ChatGPT-3.5は、高度な対話能力と幅広い応用可能性で、世界中で大きな話題となりました。GPT-3.5は、以前のバージョンよりも洗練された文章生成能力を持ち、より自然で人間らしい対話が可能になったのです。

その後、2023年3月にはさらに進化した「ChatGPT-4」が公開され、同年11月にはその改良版「GPT-4 Turbo」をリリース。GPT-4 Turboでは、性能の向上だけでなく、コストパフォーマンスの面でも大きな進歩が見られました。2024年5月公開の最新モデル「ChatGPT-4o」では、応答の速度や精度が向上し、特に音声認識や翻訳などで高い精度を実現しました。

GPT進化の変遷

ChatGPTでできること【ビジネスシーン】

現在、ChatGPTでできることは多岐にわたっています。ここでは、ビジネスシーンでの代表的な活用例について表にまとめました。

文章生成 製品説明、Webコンテンツなどの多様なテキストを自動生成
質問回答 顧客や社内からの問い合わせに迅速かつ正確に回答
文章の要約 長文のレポートや会議録を短く要約し、重要ポイントを抽出
翻訳 ビジネス文書や会話を多言語に翻訳し、グローバルなコミュニケーションを支援
情報収集・調べもの 最新の市場動向や特定分野の情報を迅速に収集・提供
メール文作成 ビジネスメールの作成を支援し、ビジネスシーンに相応しい文章を生成
企画書・プレゼン資料の作成 創造的なアイデアとデータに基づいた企画書や資料を作成
ブレーンストーミング・壁打ち 新しいアイデア生成や案の評価、検討をサポート
プログラミング・コーディング コードの生成やバグ修正の提案、最適化のアドバイス
文章やコードの校正・添削 文法やスタイルの誤りを指摘し、質の高い文章やコードに改善
音声入力・音声会話 音声での操作、音声での返答。スムーズな音声会話が可能
画像認識 画像から文字テータを抽出できる。手書き文字にも対応

業務にChatGPTを活用するメリット

ChatGPTを業務で活用する場合の代表的なメリットを3つ紹介します。

業務の効率化が図れる

ChatGPTは文章作成や要約などを即座に行えるため、さまざまな業務の効率化が図れます。たとえば、報告書の作成や会議の議事録作成などの作業が速やかに進むようになります。企画書や資料、メールの文面などを一から作成する場合、通常はかなりの時間を要します。しかし、ChatGPTを活用すると、これらの文書の土台を短時間で作成できます。作業時間を大幅に短縮できるため、創造的で重要な業務に時間を割くことができるでしょう。

さらに、ChatGPTは市場調査や競合他社に関する情報収集の効率化も図れます。より迅速かつ的確な意思決定につながるでしょう。

顧客満足度や品質の向上に役立つ

ChatGPTは質問に対して人が対応しているかのような質の高い文章を作成できるため、顧客対応にも有効です。ChatGPTを活用することで、顧客からの問い合わせや購買のサポートをより高いレベルで行えるようになります。特に有効なのが、24時間365日の対応。時間外や休日など、従来は対応が困難だった時間帯のサポートが可能になります。

また、ChatGPTは顧客のニーズ分析も行えます。分析結果を反映し、よりパーソナライズされたサービスを提供できれば、顧客満足度の向上に役立つでしょう。

新たなアイデアや新事業の創出に活用できる

ChatGPTは対話形式のやり取りができるため、上手に活用すれば「考える作業」を担えます。たとえば、企画段階である程度の枠組みを決めて質問すると、ChatGPTはその枠組みに基づいて新たなアイデアを提示してくれます。これにより、企画の質を高め、創造的なアプローチを取ることができます。新規事業の計画段階で同様に枠組みを提示して質問すれば、ChatGPTは案や概要を示してくれますので、事業の初期段階でのアイデア創出や方向性の設定にも役立ちます。

このようにブレーンストーミングや壁打ちの相手として、新しい着想を得たり、事業創出の手助けをしてもらったりといった活用が可能です。

企業におけるChatGPT活用事例

ChatGPTを実際のビジネスに活用する企業はすでに登場しています。ここでは国内企業の活用事例を3つ紹介します。

社内AIチャット「Benesse GPT」を商品開発などへ活用【ベネッセホールディングス】

教育・介護事業を中心に事業を展開する株式会社ベネッセホールディングスは、2023年4月から社内AIチャット「Benesse GPT」をグループ全社員に向けて運用を開始。業務効率化および商品開発に向けた検証などに活用しています。業務でのAI活用にはセキュリティ面での懸念が伴いますが、ベネッセホールディングスではクローズドな利用環境を構築することで外部への情報漏洩を防止し、社内情報の安全性を保ちつつAIのメリットを享受できるようにしています。

現在、同社は「Benesse GPT」の導入成功を受け、コンタクトセンターや顧客向けサービスへのChatGPTの活用範囲を拡大中。顧客対応の質の向上や、迅速かつ正確な情報提供が可能になるため、顧客満足度の向上に寄与することが期待されています。

対話型AIの「ChatGPT」をすべての業務で利用可能に【大和証券】

大手証券の大和証券株式会社は、2023年4月に「ChatGPT」を導入。セキュアな環境を構築した上で全社員での利用を開始しました。ChatGPTは、英語などの情報収集サポート、書類・資料・企画書の作成、プログラミングの素案作成など、多岐にわたる分野で活用されています。

その結果、業務効率化が図られ、お客様対応や企画立案など、本来の業務に多くの時間を割けるようになりました。よりクリエイティブで高度な業務へ集中できるようになったと言います。また、多くの従業員が実際にChatGPTを使うことで、機能の理解度が高まり、さらに多様な業務への応用が生まれる可能性にも期待しているそうです。

広告オペレーションの作業時間を大幅削減【サイバーエージェント】

メディア事業やインターネット広告事業を展開する株式会社サイバーエージェントは、2023年4月に「ChatGPTオペレーション変革室」を設立しました。目的は「ChatGPT」を適切かつセキュアに活用し、デジタル広告のオペレーションにかかる作業時間を大幅に削減するためです。

同社ではこれまでもITを駆使して広告オペレーションの効率化を図ってきましたが、総作業時間は毎月約23万時間にのぼっていたと言います。今回の取り組みでは、自動回答や海外拠点とのコミュニケーションなど社内コミュニケーションの補助を中心に作業を効率化し、全体の30%にあたる約7万時間の削減を目指しています。

ChatGPTの始め方

ChatGPTは、OpenAIの公式サイトに登録することで誰でも無料で始められます(有料プランも用意)。具体的な登録手順は以下の通りです。

【ChatGPTの登録の手順】

  • ChatGPTの公式サイトへアクセスし、ログイン画面に移行する。
  • 初めての場合は「Sign up」を選択する。
  • メールアドレスを登録する。
    (Google、Microsoftアカウントでの登録も可能)
  • 登録したメールアドレスにOpenAIからメールが届く。メールにある「Verify email address」から登録画面に移行する。
  • 名前と携帯電話番号を登録する。
  • SMSで送られてくる認証コードを入力する。TOP画面が表示されれば完了。

登録が完了したらChatGPTが利用可能になり、画面下にある枠の中に質問を入力すると、回答が生成されます。日本語で質問すると、回答も日本語になります。また、ChatGPT-4oを使用するには、モデル選択の部分で切り替えられます。

※無料版は利用回数制限があります

ChatGPTの注意点

大変便利なChatGPTですが、利用には注意も必要です。ここではChatGPT活用時の注意点を解説します。

正確性に欠ける・不適切な表現の恐れがある

ChatGPTからの回答は必ずしも正しいとは限りません。間違った情報を提供する場合もあるため、特にビジネスで使用する際には重要な問題です。ChatGPTはインターネット上の情報を学習データとして使用しています。元データに誤りがある場合、それが回答に反映される可能性があるのです。

また、学習データには偏見や問題のある表現が含まれている場合もあります。不適切な表現は、企業イメージに悪影響を及ぼす可能性があるため、特に注意が必要です。さらに、ChatGPTは時に「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる、根拠のない虚偽の回答をすることがあります。AIが誤った事実を断定的に述べる場合に起こると言われています。

これらの問題を踏まえると、業務にChatGPTを活用する場合、その回答を盲信せず、必ず人間の目で見直す必要があります。

著作権に抵触する可能性がある

ChatGPTはインターネット上に存在する情報を基にして文章を生成するため、意図せず他者の著作物をそのまま利用したり、非常に類似した内容を生成したりする可能性があります。企業が公的な文書やコンテンツ制作にChatGPTを用いる場合に起こりえる問題です。類似性が高い場合、生成された内容は著作権侵害にあたるリスクがあります。

ChatGPTの回答文をそのまま使用する際には、他者の著作権を侵害していないかどうかを十分に確認することが重要です。

情報漏えいのリスクがある

ChatGPTに入力された情報は、ChatGPTの学習プロセスで利用される可能性があります。この点は、ChatGPTが提供する利用規約においても明記されています。場合によっては入力した情報が他のユーザーへの回答として表示される可能性があるため、機密情報や個人情報をChatGPTに入力することは避けるべきです。

なお現在のChatGPTには送信データを学習させないプライバシーコントロール機能が追加されています。しかし、内容についてはまだ不明瞭な点が多いため、用心しておくとよいでしょう。従業員への教育や適切なガイドラインの設定、技術的なセキュリティ対策など、自社でも必要な対策を講じておくことをおすすめします。

情報が古い場合がある

ChatGPTの学習データは2021年9月までの情報に基づいています。このため、質問の内容によっては、古い情報に基づいて回答される可能性があります。結果、最新の情報や動向に関する質問に対しては、必ずしも正確な回答が得られないことに注意しましょう。

2023年11月に発表された「GPT-4 Turbo」では、学習データが2023年4月まで拡張されました。より新しい情報が反映されていると期待されますが、それでも最新の情報に対応できていない可能性があるため、注意が必要です。

ChatGPTについてよくある質問

ChatGPTの利用にあたって「よくある質問」をまとめました。

Q: ChatGPTは誰が作ったのですか?

A:ChatGPTは、米OpenAI社によって開発されました。OpenAIは、2015年にサム・アルトマンらによって設立。Xで有名なイーロン・マスクも元出資者の一人として知られています。同社はAIを安全に発展させることを目的とする非営利の研究機関であり、営利企業でもあります。

Q: ChatGPTは日本語でも利用できますか?

A:もちろん利用可能です。公式サイトは多くの部分が英語表記となっていますが、サービス自体は日本語で問題なく利用できます。日本語で質問すれば、日本語で回答が返ってきます。

Q: ChatGPTにはどんな種類がありますか?

A:現在、ChatGPTには大きく2つの選択肢があります。ひとつは無料版、もうひとつは有料版の「ChatGPT Plus」です。無料版と有料版の違いは、使われている言語モデルの違いと最新機能の利用の可否。業務に活用する場合は、最新情報のカバーや最新機能の利用が可能な有料版がおすすめです。なお、有料版は月額課金のサブスクリプションサービスとなっており、月額20ドルで利用可能です(2024年2月現在)。

まとめ

もはや「一過性のブーム」とは言えないほど世の中に浸透し始めているChatGPT。まだまだ過渡期の技術であり、活用には注意が必要ではあるものの、すでに多くの企業がChatGPTを実務に組み込み、大きな成果を挙げつつあります。あらゆる部門で人手不足が大きな問題となる中、社内の人的リソースを有効活用し、真にクリエイティブな活動に専念してもらうためにも、ChatGPTにできることはChatGPTに任せるといった体制作りに今から取り組んでいくと良いでしょう。