ホワイト500とは?健康経営優良法人との違いや認定要件も解説 | NECソリューションイノベータ

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コラム

ホワイト500とは?
健康経営優良法人との違いや認定要件も解説

UPDATE : 2024.09.20

「ホワイト500」とは、健康経営優良法人認定制度で認定された法人のうち、大規模法人部門の上位500社に与えられる呼称のこと。ホワイト500の認定を受けるためにはさまざまな要件をクリアする必要がありますが、会社の価値や信頼を高めるためには今や欠かせないものとなっています。そこでホワイト500の特徴や健康経営優良法人との違い、認定要件について解説します。

INDEX

ホワイト500とは?

ホワイト500とは、健康経営に取り組んでいると認定された「健康経営優良法人」のうち、特に優良だと認められた大規模法人部門の上位500法人のことです。

健康経営優良法人認定制度は、「大規模法人」と「中小規模法人」の2つの部門に分かれており、以前は大規模法人部門全体を「ホワイト500」と呼んでいました。しかし2020年から、上位500法人のみをホワイト500と区別するようになったのです。上位500法人には、国内における健康経営への取り組みだけでなく、その考えを世の中に周知させる役割が求められており、認定に至るまでのハードルは年々上がってきています。

健康経営優良法人とホワイト500の違いは?

健康経営優良法人認定制度は、企業にとって「人材は非常に大切な経営資源」という考えのもと、健康経営を実践している企業や法人を見える化し、より社会的な評価を受けられるよう2016年に創設されました。従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的な取り組みを実践している法人を顕彰する制度で、申請数は年々増加。大規模法人部門の認定数は、2023年は2,676法人でしたが、2024年には2,988法人と300件も増加しました。

ホワイト500は健康経営優良法人の一部ですが、その違いは大規模法人でかつ厳しい要件をクリアしているか否かです。要件の詳細は後述しますが、ホワイト500も健康経営優良法人も、いずれも従業員の健康保持や増進に積極的で具体的な取り組みを行っているかどうかがポイントになってきます。認定は法人側が提出する「健康経営度調査」をもとに毎年実施され、総合的な評価が行われています。

引用:健康経営の推進について(経済産業省)

ホワイト500の認定要件

健康経営優良法人に比べてホワイト500の認定基準は厳しいと前述しましたが、ホワイト500と健康経営優良法人の認定要件は変わりません。認定要件は主に「①経営理念」「②組織体制」「③制度・施策実行」「④評価・改善」「⑤法令遵守・リスクマネジメント」の5つの項目で構成されており、スコアが高かった大規模法人上位500社がホワイト500となります。5つの認定要件について詳しく見ていきましょう。

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引用:健康経営の推進について(経済産業省)

経営理念

経営理念の主なチェック内容としては、トップが率先して健康経営にコミットしているかなど、健康経営における経営者の姿勢が見られます。具体的に、その戦略や方針はすべて統合報告書やCSR報告書などを通じて社内外へ発信しなければなりません。認定基準は毎年変わり、2024年度の申請においては従業員のパフォーマンス指標の開示が求められました。

組織体制

健康経営を実現するためには、組織の体制も重要になってきます。まず、健康経営を推進する最高責任者は、役員以上の役職が必須。また、健康経営に関する施策を実施する際は、産業医や保健師との連携体制が求められ、健康保険組合との協議や連携も必要とされています。

制度・施策実行

制度や施策において必須要件となるのは、「健康経営の具体的な推進計画の策定」と「受動喫煙対策への取り組み」の2つです。さらに「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」「健康経営の実践に向けた土台づくり」「従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策」に関わる項目のうち、13項目以上を満たすことが要件となっています。

評価・改善

実施した取り組みの効果検証や、検証結果を踏まえた施策の改善状況も、開示する必要があります。健康診断などの受診率、個々の施策の従業員の参加率や満足度、施策認知度のほか、生活習慣や睡眠時間、食生活、喫煙率などに関する意識の改善状況の検証も必要になってきます。

法令遵守・リスクマネジメント

労働基準法や労働安全衛生法など、従業員の健康管理に関する法令において重大な違反をしていないことに加え、定期健診やストレスチェックを継続的に行う体制の整備といったリスクマネジメントも必須になってきます。これらが実施できて初めて健康経営優良法人の認定へと進むのです。

健康経営優良法人(大規模法人部門:ホワイト500)の申請スケジュール

ホワイト500を取得するためには、まず認定の申請書類である「健康経営度調査票」を提出する必要があります。認定に至るまでの工程は、以下の3つです。

Step_01.健康経営度調査の実施

「健康経営度調査」と呼ばれる従業員の健康に関する取り組みについての調査に回答し、日本健康会議認定事務局へ申請。実施時期は例年8月末~10月下旬となっています。

Step_02.健康経営優良法人認定委員会による認定審査

法人から提出された健康経営度調査の回答結果と認定基準をもとに、健康経営優良法人認定委員会が所定の審査を実施。認定基準に適合するか否かを判定します。

Step_03.日本健康会議において審査・認定

認定基準に適合すると判定された法人には、適合状況兼申請用紙が送付されます。日本健康会議は、法人から提出された申請用紙と誓約書の内容をもとに審査を実施。審査が通れば、晴れてホワイト500の認定法人となります。

ホワイト500のメリット

これだけ多くの手間暇をかける必要があるにも関わらず、申請法人が後を絶たないということは多くのメリットがあるからです。そこでホワイト500のメリットを見ていきましょう。

ブランド力向上につながる

ホワイト500の認定に至るまでには長い道のりを要しますが、達成できると自ずと会社の価値が高まります。認定企業にはホワイト500のロゴマークが付与されるので企業としてのイメージもアップしますし、会社の内部事情を知らない求職者にとっては安心感につながるでしょう。さらに企業イメージの向上は販売促進にもつながります。

生産性向上につながる

ホワイト500認定の本来の目的は、従業員にとって健康的な経営に注力することです。従業員の心身の状態が安定すると自然とモチベーションアップにつながり、結果として従業員のパフォーマンスが向上。ひいては会社全体の生産性向上にもつながり、従業員にとっても企業にとっても多くのメリットが得られます。

社員の健康を保てる

ホワイト500に認定されるには、健康経営を推進するための施策が求められており、施策の実施がそのまま社員の健康維持に直結します。「定期健康診断の受診率を100%にする」「社内コミュニケーションを促進する」「数値目標を掲げて残業を削減する」「スポーツジムの割引などで運動の機会を提供する」など、各社独自の施策を打ち出していますが、いずれも社員の健康をキープし続けられる施策です。

人材確保のコストを削減できる

認定申請の段階で、労働時間の適正化や育児・介護との両立など、ワークライフバランスを重視した職場環境を整えるため、体調不良やメンタル不調を訴える従業員が徐々に減っていくのではないでしょうか。結果的に離職防止につながり、さらに優秀な人材が集まりやすくなるという好循環が生まれます。

株価が上がり、投資家からの評価も高まる

ホワイト500の厳しい条件をクリアしたという点が好印象につながり、投資家からの評価も高まり株価も上がります。健康経営は、ESG投資の「S」や「G」に含まれるため、投資家にとって重要な判断要素の1つです。ホワイト500認定によって、社会課題に配慮した企業経営を行っていると判断されるでしょう。

ホワイト500認定企業の取り組み事例

ホワイト500に認定された企業のうち、いくつかの企業の取り組み事例を紹介します。

旭化成株式会社

旭化成株式会社は、2023年に続いて2年連続の認定となりました。「人財がすべてである」という考えに基づき、健康経営を推進。メンタルヘルス不調、⽣活習慣病関連疾患、がん、喫煙、睡眠の質・量向上への対策を積極的に行ってきました。近年は中でもメンタルヘルス不調の対策を強化しており、産業保健スタッフや専門機関によるケアを実施し、メンタルヘルス不調による休業者率低減に取り組んでいます。また、国内9つの主要拠点の産業保健スタッフが所属する健康管理センターを本社の所属とし、健康経営を一元的に推進する体制に移行しました。

イオン株式会社

イオン株式会社は2017年の認定以来、8年連続ホワイト500に認定されています。同社では、「心と身体の健康づくり、安全安心で活力ある職場づくり」など5つのテーマを設定し、さまざまな取り組みを推進。特に従業員の生活習慣改善を「イオン元気UP5(運動、食事、睡眠、BMI、喫煙)」と名付け、グループ一体でヘルス&ウェルネスの推進に取り組んできました。従業員の高年齢化や喫煙率の高さを鑑み、糖尿病重症化予防プログラムの提供や卒煙支援、イオン1分体操の導入、ウオーキングラリーの実施、ウェラブル端末の貸与など独自の取り組みを行っています。

ミサワホーム株式会社

ミサワホーム株式会社は、2019年の認定以来6年連続で認定されています。同社では、社員がいつまでもいきいきと働き続けられる職場の環境整備を積極的に行ってきました。最高健康責任者が自ら健康経営メッセージを発信し、健康経営の推進を約束。社員の健康増進の一環として2018年から毎年開催しているウォーキングイベントは、2023年から対象企業を拡大し、結果的に4,600名以上が参加しました。また、卒煙を促す施策や女性社員向けの健康セミナーなども行い、さらなる社員の健康促進に取り組むとしています。

株式会社デンソー

株式会社デンソーはホワイト500の常連で、8年連続の認定となっています。他社に先駆け社員の健康増進を経営課題の1つと捉え、健康増進活動を推進。個人の生活習慣を点数化したオリジナルの健康経営指標「生活習慣スコア」の全社平均値を向上させるほか、各部門の職場環境にフィットした健康支援などを行っています。なお、同社はスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー」にも5年連続で認定されており、社員の健康増進のために、スポーツにおける積極的な取り組みを行っている企業としても注目を集めています。

NECソリューションイノベータ

NECソリューションイノベータは、2024年に初めてホワイト500の認定企業となりました。社員一人ひとりが主体性高く活き活きと働ける会社風土の実現を通して、より社会に貢献できる企業を目指して健康経営(Well-being経営)に取り組んでいます。

トップマネジメント層が健康経営の責任者となり、自社開発の健康アプリを活用したイベント、肩こり解消や腰痛ケアなどのオンラインエクササイズの実施、eスポーツ大会の開催や社員同士の交流費用の補助、朝食の配布など、従業員の健康課題に応じた幅広い施策を推進してきました。

また、健康保険組合などとも連携し、健康診断・ストレスチェック・勤怠などのデータから全社の傾向を分析し、施策の効果検証を実施。生活習慣サーベイを実施し、生活習慣と仕事の集中度に関する分析を行っています。独自の取り組みとしては「健康ミッションアプリ」も見逃せません。1日の歩数など、健康に関するさまざまなミッションをクリアすると特典が得られるアプリで、ユーザー同士のコミュニケーションが自然発生するような仕掛けも取り入れられています。

NECソリューションイノベータがホワイト500に認定されるまでの道のり

最後に、NECソリューションイノベータがホワイト500に認定されるまでの道のりを紹介します。

NECソリューションイノベータがホワイト500の取得に向けた取り組みを本格化したのは、2022年4月のこと。その背景には、慢性的な技術者不足がありました。従業員が心身の健康を保ちながら働ける環境を整え、優秀な人材の流出を防ぎたい。その一心で、トップ主導で人的資本経営・健康経営に注力するようになったのです。

健康経営推進にあたって苦労したことは、「何が正解なのかわからない中で施策を始めなければならなかったこと」と担当者は振り返ります。悩んだ末、仲間と一緒に取り組むことで、より多くの社員が自身の健康へ意識を向けてくれるのではないかと考え、健康経営度調査票の項目に沿って施策を実施しました。

結果的に「トップマネジメントと連携した全社的な健康経営の推進」「従業員の健康課題に応じた幅広い施策展開」「健康データの利活用」の3点が評価され、ホワイト500の認定へと至りました。

まとめ

今回は、ホワイト500の概要や認定要件、取得によるメリット、認定企業の取り組み事例など、ホワイト500について多岐にわたって紹介しました。今や「ホワイト500の取得=企業価値を上げること」と言っても過言ではありません。本記事を参考に、ホワイト500の認定を目指してみてはいかがでしょうか。