NECNECソリューションイノベータ

スマートワークの推進を支援

電話でのお問い合わせ

03-5534-2626(共通商材Gまで)

営業時間:8:30〜17:00

スマートワーク推進&ワークスタイル変革・コラム社会保険の電子申請義務化は
業務効率化のチャンス

2020年4月から、大法人は社会保険の一部の手続きに
おいて電子申請(e-Gov)の利用が義務化されます。

  • トップ>
  • コラム>
  • 社会保険の電子申請義務化は業務効率化のチャンス

社会保険の電子申請義務化は業務効率化のチャンス

2020年4月から、大法人は社会保険の一部の手続きにおいて電子申請(e-Gov)の利用が義務化されます。これまで書面やCD-R等の電子媒体で提出していた手続きは、政府が運営しているe-Govを介して、日本年金機構やハローワークなどに提出しなければなりません。
義務化の対象となる大法人とは、「資本金の額又は出資金が1億円を超える法人並びに 相互会社 、投資法人及び特定目的会社にかかる適用事業所」とされています。
「まだ先だから、少し前になったら検討を始めよう」と考えている人事労務部門や情報システム部門の方とお話する機会があれば、私は次の2点のことをお伝えしています。
1点目は、実運用を考慮するとシステム面の準備が必須であり、早急に検討を開始した方が良いということ。2点目は、電子申請の義務化を消極的に捉えず、人事総務部門の働き方改革の一環として生産性向上を目指し、社会保険業務を再構築すべきであるということです。

義務化の対象となる手続きとは

 2020年4月の義務化スタートの段階では、下表の手続きがその対象となります。この中でも雇用保険は、資格取得、喪失、転勤、雇用継続給付など日々発生する手続きについても義務化の対象になります。つまり、企業としては社会保険に関する日々の業務において、電子申請を利用することが求められるのです。

義務化の対象となる手続きの一覧

社会保険の種類 届出等の種類
厚生年金保険 被保険者賞与支払届
被保険者報酬月額算定基礎届
70歳以上被用者 算定基礎・月額変更・賞与支払届
厚生年金被保険者報酬月額変更届
健康保険 被保険者賞与支払届
被保険者報酬月額算定基礎届
健康保険被保険者報酬月額変更届
労働保険 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書・石綿健康被害救済法一般拠出金申告書
雇用保険 雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険被保険者転勤届
高年齢雇用継続給付支給申請
育児休業給付支給申請

なぜ電子申請の準備は早めに始めるべきか

まず、電子申請には大きく二通りの方法があります。
一つは、e-GovのWebサイトから直接手続きを入力して送信する方法(以下、「通常申請」)です。もう一つはe-Govが公開している外部連携API(Application Programming Interface)に対応した民間の業務ソフトからの申請(以下、「API申請」)です。
Webサイトを利用する通常申請は専用のシステムを準備する必要がない点はメリットですが、実運用としては非常に効率が悪く、大量の手続きが発生する大企業には向きません。一方、API申請では、e-GovのWebサイトは一切利用せずに民間の業務ソフトの中で手続きを完結させることができるため、機能的に自社に合ったソフトを利用すれば多くの手続きも効率よく処理することが可能です。従って、ある程度の従業員規模の企業であればAPI申請が必須と考えておくべきです。
最近は主要な人事給与パッケージソフトにおいても、バージョンアップによりAPI申請機能が利用できるようになってきました。自社で導入しているシステムがそれに対応されるかどうか、そして、自社に合った機能なのかを確認すると共に、2020年4月に向けてバージョンアップが可能かどうかを早めに見極めておく必要があるでしょう。
人事給与システムは企業の基幹システムとして様々な業務機能があり、また、他の基幹システムとの情報連携もあります。アドオンとして独自の開発を行っているケースも多く、パッケージソフトのバージョンアップには時間と費用を要することは珍しくありません。
一方、社会保険手続き専用ソフトの新規導入も有効な方法です。しかし、これにも人事情報の連携手順など事前準備が必要となります。
また、電子申請を実施する仕組みだけではなく、手続きが電子化されることに伴う書類の保管方法についても合わせて検討が必要です。
大量の電子申請をスムーズに処理し、電子化された書類を効率的に管理するためには、なるべく早く検討を始めることが重要となるのです。

生産性向上の好機と捉えよ

企業の人事労務部門と話しをすると、過去に電子申請を利用しようとして断念したという話しをよく聞きます。しかし、電子申請が使い難いのは過去の話です。API申請を利用し、電子申請のメリット活かす業務フローを構築すれば、人事労務部門にとって煩雑な社会保険手続き業務の生産性向上が実現できます。
例えば、雇用保険を例にしてみましょう。雇用保険は被保険者証、離職票、育児休業給付金や高年齢雇用継続給付金の支給決定通知書など、従業員本人に渡す書類が多く発生します。書面の手続きでは、これらは紙として保管、郵送、手渡しなどの対応が発生します。被保険者証を退職するまで預かっている会社は、書庫に大量の被保険者証があり、転勤すればその差し替えなどで手間がかかっていることと思います。電子申請であれば、これらの書類は全てPDFファイルで戻ります。PDFファイル自体が電子公文書と呼ばれる正式な文書となります。被保険者証や離職票などを従業員に配布する場合は、それが必要となる時に印刷すればよいのです。支社や営業所、店舗など各地に拠点がある場合、各拠点の人事担当者とは、文書管理システムなどを利用してファイル共有することで、本社と拠点間の紙の郵送などを省くことができ、印刷や郵送によるコストの削減と、業務におけるリードタイムの削減も期待できます。
しかし、注意しなければならいのは、これらは個人情報であるという点です。各拠点との情報連携においては、適切なアクセス権を付与し、業務担当者が所属する拠点の情報にのみアクセス可能とするなどの仕組みの検討が必要でしょう。
社会保険の手続きは、会社側で保管する文書も含めると大量の書類が発生します。また、各書類には法定の保存年限が決められています。電子申請対応と合わせて、これらの書類を電子帳票として保存することで、業務全体において効率的な管理が可能となります。
ポイントとなるのは、個人情報管理に適したアクセス権の機能と、公的文書として保存年限なども合わせて管理できる文書管理システムの活用と言えるでしょう。

まとめ

私は社労士法人として長く電子申請を活用していますが、一般企業が自社の手続を実施している場合おいても、今回の義務化に関わらず、電子申請は積極的に活用すべき時代が到来しています。行政は規制改革実施計画のひとつとして行政手続部会を立ち上げ、様々な行政手続きの簡素化、コスト削減に向けた取り組みの検討を進めています。その実施における基本計画において、「行政手続は電子化の徹底(デジタルファースト)」と位置づけられています。
しかし、大企業において、これらの対応を効果的に行うには、人事労務部門だけでは当然ながら成し得ません。情報システム部門や経営企画部などが、その業務の基盤となる仕組み作りを一体となって取り組むことが肝要です。
今後のメインストリームとなる電子化を上手く取り入れ、管理部門における生産性向上を実現していくべきです。

執筆者プロフィール

野田 宏明氏

野田 宏明氏

社会保険労務士。情報処理技術者(ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、アプリケー ションエンジニア)。

ITS社会保険労務士法人 代表社員
メーカー系IT企業にて人事業務のシステムコンサルタントに従事。その後、社会保険労務士として独立し現職に至る。労務相談や教育講師の他、企業の社会保険手続き業務においてITを活用した効率化を提案する社労士事務所を運営。
ITS社会保険労務士法人サイトへ