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スマートワーク推進&ワークスタイル変革・コラム中小企業と働き方改革

「働き方改革」が言われ、会社員の残業依存からの脱却に、
政治主導で法的規制が始まろうとしている。
中小企業の生産性で特に気になるのが、IT活用の遅れだ。

生産性向上がカギ

「働き方改革」が言われ、会社員の残業依存からの脱却に、政治主導で法的規制が始まろうとしている。そのやり方の是非はともかく、ライフバランスを改善しクオリティー・オブ・ライフ向上への方向転換は、大変素晴らしいことであろう。ただ現実を見ると、残業や個人の献身に甘んじていた状況から一気に転換を迫られる事態に、不足する労働力を単純に労働力の追加で補おうとすれば、大変なコスト負担となって経営を圧迫し、競争力の低下から悲惨な結末に向かう危険すらある。また労働力を追加しようにも、今の日本は、いよいよ現実となった急激な人口減により、15歳〜64歳のいわゆる生産年齢人口は、この5年で900万人以上が減少するという未曽有の事態に直面しているのである。

一方で、「働き方」の結果である生産性に目を向けてみると、日本の時間当たり労働生産性は、OECD加盟国36か国中の20位で、主要先進7か国中では万年最下位が続いており、米国の3分の2程度の水準である。生産性の低さは、日本の企業の大部分を占める中小企業において顕著で、大企業の40%程度でしかなく、改善の兆しが見えない。これは、失われた20年といわれる景気環境の中で、企業が努力を怠ってきたことへの代償であろう。逆に言えば、改めて生産性向上に真剣に取り組むことで、真の「働き方改革」を実現すれば、むしろ経営の体質を改善し世界レベルになる絶好の機会が目の前にある、ということだ。

中小企業でのIT活用の遅れ

中小企業の生産性で特に気になるのが、IT活用の遅れだ。生産設備は、老朽化による更新で改善されていくが、製品・サービスに直結しない企業活動については、なかなか自動化への投資がされにくい現実がある。調査によると、中小企業でのIT活用率は全体の55%程度にとどまっていて、経理業務のパッケージソフトを活用しているのは全体の40%程度、調達、販売、受発注管理などは約20%程度というレベルだそうである。古い商習慣や慣れ親しんだ業務体質が変えられない等、IT活用による自動化を阻む要因が多々あろうかとは思うが、それにしてもIT活用による生産性向上の余地は非常に大きいと思われる。

かく言う当社も、まさに中小企業ではあるが、数年前から業務のIT化による効率化に積極的に取り組んできた。例えば、社内の稟議・承認、会議といったプロセスは完全にペーパーレス化し、ワークフロー管理しWeb上どこにいても閲覧・決済が可能。国内外をつないだペーパーレス会議システムの活用で、出張や資料作成・準備にかかる時間を削減しただけでなく、むしろ遠隔地間のコミュニ―ケーションを円滑にすることに寄与している。サービスマンにはタブレットを配布し、保守メンテの情報をオンライン共有、工事完了レポートを現場でオンライン作成、検収から請求に至る業務の自働化も実現した。勤怠管理もWeb化しており、残業時間管理も必要により自動アラームを出して注意喚起することで、残業管理は各段に進んだ。文書管理・共有ツールで、社内だけでなく顧客やサプライヤとの間でもセキュリティーを確保しつつ繋がることで、単に業務の効率化だけでなく、情報ミスによるトラブルの回避を進めている。

こうした積み重ねの甲斐あり、この間会社は年率10%以上の成長を遂げているにもかかわらず、業務スタッフはむしろ減員、残業時間も大幅に削減し、36協定に違反するケースはほぼなくなったと自負している。こうした改革は、IT部門の押し付けで実行するのではなく、各部門、社員の自発的な創意工夫を促すことで実現してきており、まさに生産現場のカイゼンの発想を業務プロセス全体に拡大した形だ。今では、新たな業務改善のアイデアが常に社員の側から上がってきている。

国の支援策の活用も

当社の事例は決して特殊な話ではなく、いずれの会社でも取り組むことのできる内容である。日本全体が本格的に生産性向上に動くことで、人口減・少子高齢化にともなう様々な社会問題の解決策も見えてくるのではないだろうか。行政も中小企業の働き方改革、生産性向上への流れを後押しすべく、様々な施策を実施している。現在受けられる制度を見ても、以下のような施策が利用可能である。

  • ものづくり・商業・サービス補助金
  • IT導入補助金
  • 中小企業投資促進税制
  • 商業・サービス業・農林水産業活性化税制
  • 中小企業経営強化税制

また、市区町村でも固定資産税の特例処置があり、2018年中の新規の設備投資に対して、最大3年間の固定資産税ゼロの措置を取った自治体は全国で1,549あり、制度活用企業数は17,865社に上るそうだ。
ぜひこうした制度も積極的に活用し、生産性向上による真の「働き方改革」を日本全体で推進し、人口減少に負けない豊かな国造りを進めたいものです。

出展:2018年版「中小企業白書」 中小企業庁
経済政策については、経産省ホームページを参照ください
https://www.meti.go.jp/index.html

執筆者プロフィール

前田 良平氏

前田 良平氏

  • 1957年生まれ
  • 1979年早稲田大学理工学部機械工学科卒業、NEC社入社
  • 1989年米国Purdue大学IE学科修士課程修了
  • NECにて生産技術、事業計画部門等を経験
  • 2001年アルコア・ホイール・プロダクツ・ジャパン社入社
  • 2003年同社社長
  • 2011年日本ボールドウィン社社長
  • 2017年12月より同社会長兼グループ・シニア・リーダ(アジア担当)
  • 日本印刷産業機械工業会 理事
  • 東京労働福祉協会 理事