
スマートワーク推進&ワークスタイル変革・コラム情報共有 × 働き方改革
コミュニティ型ワークスペースの「快適・自由・楽しい」が、
メンバー間、企業間コラボを活発化させる
コミュニティ型ワークスペースの「快適・自由・楽しい」が、メンバー間、企業間コラボを活発化させる
私が代表を務めるニューチャーネットワークスが京橋東京スクエアガーデンのWeWorkに入居したのは2019年1月。このコミュニティ型ワークスペースに入居した感想をコンパクトに言うと、「快適・自由・楽しい」です。この「快適・自由・楽しい」といった働く人の感覚、感情への刺激が、社内のメンバー間、そして企業間のコラボレーションを活発化することにつながっていることが実感されてきました。近年WeWorkのようなグローバル規模のコミュニティ型ワークスペースが多くなってきました。そのコミュニティ型ワークスペース具体的に何が「快適・自由・楽しい」のかを説明し、そしてその先に求められる本格的異業種連携のための課題に関して述べたいと思います。
1.快適:元気がでる明るいインテリア、BGM、ストレスを感じないゆったりとしたスペース

オフィスのインテリアは、明るさ、活力の中にも落着きのあるデザインになっています。国籍、人種にかかわらず人が本質的に心地よいと感じる空間の広さ、照度、壁や家具や配色などで構成されています。BGMは騒がしくなく、アップテンポで、ちょうど良い音量で24時間流れていて自然に元気がでてきます。入ってすぐのコミュニティスペースは、広く全体を見渡すことができストレスがありません。
またそこで働く様々な入居者やそこを訪問した人が生き生きしていて、自分自身を活性化させてくれます。つまり職場に足を踏み入れた瞬間が「快適」なのです。その「快適」さが、スピーディーで、クリエイティブな仕事のモードに切り替えてくれるのです。
2.自由:執務室、フリースペース、電話ブースで自由に仕事ができ、さらに他の地域のオフィスも利用できる
入居者は、会社の執務室にこだわらず自由に仕事の場所を選んでいる人が多くみられます。例えば当社の経営管理担当であれば、会社のチームが緊密に連絡を取り合いながら仕事をする場合は、会社の執務室で仕事し、そうでなければコミュニティスペースで他社の総務や人事担当などのスタッフの人と席を並べて仕事することもあります。
仕事の環境に変化を持たせることや自社や他社のメンバーとのコミュニケーションをとることで、気分や意識を変え、思考や行動にメリハリがつきます。さらには、世界800か所以上、国内30か所以上あるWeWorkオフィスは、事前に予約すればどの拠点でも使えます。このように自由な場所で自由に仕事ができることは、「会社や組織に属していても、自分は基本的に自由なのだ」ということが前提にあるように思えます。その前提認識が、むしろ働く人の自立と責任感を刺激し、良い緊張感をもって仕事ができているのだと思います。
3.楽しい:様々な業種の様々な個性の人とのゆるいつながり

京橋のWeWorkは、飲料メーカー、自動車メーカー、エネルギー会社などの大企業と、仮想通貨会社、ネット証券、テックベンチャー、バイオベンチャーなどの新興スタートアップ企業、個人でスタートアップの準備をしている人など、実に様々な業種、業態の企業が入居しています。仕事のリズムや人材のタイプなども異なり、それが実に刺激的です。働く人の年齢や性別国籍なども多様で、ファッションも自由で個性的です。私はこの1月からスーツ、革靴を身に着けていません。心身が楽なだけでなく、自分らしいファッションをより気にするようになり、周りのひとのファッションにも関心を持つようになりました。
各拠点のWeWorkのスタッフであるコミュニティチームは、入居している企業同士のネットワークをつくる仕掛けを企画し実行してくれます。先日も、お菓子とジュースを用意した名刺交換会が行われ、私も短時間ですが参加しました。他の拠点のWeWorkの入居者もたくさん参加されていました。週初めの月曜午前にはおにぎりや、寿司、クロワッサン、フルーツなどの朝食が出たり、3時頃におやつが出たりします。そういったものを囲みながら入居者同士が自然と繋がっていきます。これが気分転換に実に良いのです。こういった互いの個性を自由に出しながら、ゆるいつながりをつくれる環境がとても楽しいのです。

こういったゆるいつながりは、入居者全員が使うSNSでサポートされ、とても快適です。世界800か所以上ある入居者個人が自由にその日の出来事などを写真入りで発信したり、特定の仲間でチャットしたりできます。もちろん世界の中の会議室を予約したり、訪問拠点への問い合わせもできます。先日入居者の一人が米国ニューヨークに出張する際に、ニューヨークのコミュニティマネジャーに「自分のビジネスに関連する人の紹介を依頼したら15社集まってくれて、ビジネスチャンスもできた」と話していました。その他SNSを使い、異業種でプロジェクトを立ち上げ、情報発信し仲間を募る人たちも珍しくありません。
業種を超えたオープンなコラボレーションから異業種連携戦略を進めるために
コミュニティ型ワークスペースの普及に見られるとおり、誰もが業種を超えた連携、つまり異業種連携戦略こそが新たな顧客価値を生むワークスタイルであると認識しています。しかし実際に、オープンなコラボレーションから、機密保持契約を結ぶ必要のあるアライアンスなどの異業種連携戦略を進めるとなると、様々な課題に直面すると考えらます。ここでは3つの課題を取り上げたいと思います。
1つ目は情報共有の方法です。各種業務提携、合弁会社設立などのアライアンスの情報は外部に漏れてはなりません。その様な機密性の高いプロジェクトの情報共有、コミュニケーションは、SNSなどとは別の情報共有ツールが必要です。外部とのアライアンスプロジェクトの情報が、限定された社内関係者と共有され、また社内の情報を外部に出す際に、そのステータスが明確化され、厳格に管理されていることが求められます。

2つ目は、アライアンスプロジェクトなどでは、画像、動画、3D図面など様々な種類でかつ大きなボリュームのデータを、一つの会社のように起動的に管理できなければなりません。そのための送信、受信の記録、保管などが高度に管理さるITシステムが必須となると考えられます。
3つ目は、異業種連携プロジェクトの情報管理のツールを企業間で共通化し一元管理することです。各種アライアンスなどの異業種連携プロジェクトは市場競争の面から、3か月から最長1年という短期間で合意形成そして契約まで進める必要があります。また異なる企業文化の2社以上の連携が短期間で連携するのは大変難しいことです。その際重要なのはプロジェクトのマネジメントであり、そのマネジメントで最も重要なのは、異なる企業間のプロジェクト情報基盤の共通化と情報の一元管理です。プロジェクト情報の共通化、一元管理は、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションをスムーズに、一体感を作り出す重要なマネジメント基盤です。
以上、コミュニティ型ワークスペースの普及とその先にある異業種連携戦略をマネジメントするための情報共有基盤の課題に関して述べました。異なる産業、企業間の異業種連携はこれからが本番です。決して楽ではない異業種連携ですが、これらの課題をスマートに解決し、大きな成功に導きたいものです。
執筆者プロフィール

高橋 透氏
上智大学経済学部経営学科卒業後、旭硝子株式会社にてセラミックスのマーケティング、消費財の新商品開発、広告宣伝を担当。その後大手コンサルティング会社を経て、1996年に経営コンサルティング会社“ニューチャーネットワークス”を設立し、代表取締役を務める。2019年にヘルスケアIoTに関する会社“株式会社ソビー“を設立、代表取締役就任。2010年より上智大学非常勤講師(コンセプトメイク、グローバルベンチャー)。2016年より「ヘルスケアIoTコンソーシアム」理事。
主な著書に「デジタル異業種連携戦略」 (中央経済社、2019年10月予定)「技術マーケティング戦略」(中央経済社、2016年9月)「勝つための競合分析と競争戦略」 (中央経済社、2015年)、「90日で絶対目標達成するリーダーになる方法」(SBクリエイティブ、2014年)などがある。日経BP社プレミアムサイト2002年より5年間コラム執筆。2012年日経産業新聞WEB「企業マネジメント最新トレンド」へコラム執筆。
ペーパーレス役員会議システム、企業間・部門間情報共有プラットフォーム、業績管理システム、電子帳票システム、などの導入により、企業のスマートワーク推進を支援します。