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スマートワーク推進&ワークスタイル変革・コラム企業の知的資産を
デジタルアーカイブに

IoT、BigData、AI。デジタルデータを活用する技術の進展は
目覚ましいものがあります。企業活動においても、研究、開発、
設計、生産に関わるノウハウや経営者の判断等、デジタルデータ
としてアーカイブすることで、様々な用途に活用できる可能性が
広がっています。

1.企業ブランド構築はデジタルアーカイブから

新宿ロフトは1976年10月にオープンしてからすべての講演スケジュールを復刻・公開しました (https://rooftop.cc/loftarchives/shinjuku/)。残念ながらすべてのページが見られるわけではありませんが、出演者、イベント名で検索することができます。よくそんな昔のプログラムを保存していたと感心します。

また、英国の航空会社ブリティッシュ・エアウェイズは昨年2019年に100周年を迎えましたが、記念に100周年ホームページを解説しています。 (https://www.britishairways.com/100)。同社がBOACと呼ばれていた時代も含め、航空機体のみならず、王室との関りやその時代の制服など、多数の動画や写真を掲載しており、航空機ファンにはたまらないページです。

このように数十年前の情報や写真を後世に残し(デジタルアーカイブ)、自社の歩みや広告の歴史を年表としてまとめることで、企業のブランド形成に活用しています。その他にも、資生堂や米国コカコーラ社などが著名な例ですが、同じく企業の歩みとして、画像や取り組みをアーカイブとして公開し、顧客とのエンゲージメントの強化に活用されています。

2.企業活動の歴史を大切にしよう

筆者が住んでいる地域にある玉川高島屋ショッピング・センターが昨年2019年に50周年を迎えました。その際に地域やショッピング・センターの歴史を物語る写真をデジタル・サイネージで展示しました。これを制作した担当者のビデオがYouTubeに公開されています (https://www.youtube.com/watch?v=UJPCJEKHQNs)。これを見ると単なる一商業施設のプロモーションではなく、親や祖父母の世代から続く地域、生活の一部として顧客の生活と密接な関係にあり、古い写真や資料の保存は、地域の文化の一部として、企業価値を高めることに役立つことがよく分かります。

最近ライオンの創業者小林富次郎氏の葬儀 (1910年) の映像がデジタル修復されて話題になりました。企業の倉庫にはこうした古い映画フィルムや企業運動会のビデオなどが隠れていると思います。また昔の産業映画やテレビのコマーシャル・フィルムは保管状態が良くないとどんどん劣化が進み、二度と映写することができなくなります。こうした貴重な素材を大切にしたいものです。企業のさまざまなイベントや営業活動の記録は、一度捨てるとまた手に入れるのは難しいものですので、企業はアーカイブの必要性について意識を高めることが重要です。

3.研究開発のデジタルアーカイブ

企業の研究開発報告書は、機密情報を含むため、外部に出ることはなく、管理が難しいもののひとつです。研究開発のテーマは頻繁に変わりますが、過去の研究開発報告が新しい研究開発のヒントになることもあります。報告書が紙資料であればスキャンしてデジタル化しておくことをお勧めします。さらにOCRにかければ全文検索ができるようになるので、「以前こんな研究をやったことはないか」という要求にも簡単に答えることができます。最近ではOCRの技術が発達し、AI活用による検索・二次利用による効率化や新たな研究への応用も期待されます。

4.熟練技術の継承

工場でのロボットの導入や生産の海外移行により、熟練技能者の技術が失われる傾向にあります。こうした技術を保存・継承するのは、歴史的に意義があるだけでなく、次世代技術者への技術移転上重要です。このためには、単に紙の仕様書を残すだけでなく、動画に撮影したり、オーラル・ヒストリー (口述記録) することが役に立ちます。熟練技術者が在籍しているうちに、そのようなデジタルアーカイブに取り組んでいただきたいと思います。国立研究開発法人科学技術振興機構では、「匠の息吹を伝える」という映画シリーズでこのような産業技術を記録しました (http://sciencechannel.jst.go.jp/D000502/)。最近個々の企業でもこのような取り組みが検討されています。

5.新しい技術デジタルアーカイブの更なる活用にむけて

たとえば社史の編纂で自社のOBにインタビューしたとして、それを文字起こしするのは従来専門業者に頼んでいました。しかし今、Google Docsの音声入力機能を使うと、驚くほど簡単に文字起こしができます。また、OCRも翻訳も、Googleなどを活用して短時間に正確な文章を得ることができます。ポケトークで分かるように、この方面の技術の進歩は目覚ましいです。

昨年 (2019年)、沖縄の首里城が火災で焼失しましたが、東京大学「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」では、地元の方々から集めた首里城のスナップ写真をコンピュータで合成することにより3Dの首里城を復元しています (https://www.our-shurijo.org/)。2Dの色々な角度、部分の写真を組合せ合成、また年代ごとに整理して集成することで、過去その時代折々の首里城をバーチャルの世界で復元しようという取り組みです。いわば、石の破片をあつめて石像を再建することが可能となっているのです。

データは現代における新たな資源ともいわれます。IoT、BigData、AIなど、データの活用を取り巻く技術の進展は目覚ましいものがあり、資料や写真・動画、データさえ残しておけば、これからの技術の進歩によっていかようにも活用ができるのです。
企業においても、研究、開発、設計、生産に関わるノウハウ、経営者の判断等を、中長期的には、様々な用途に活用できる可能性が広がっています。また、日本は100年以上続いている長寿企業が世界一であるといわれています。企業活動によりその強みとノウハウ、経営者の意志を脈々と受け継いできた結果とも見てとれます。そういう意味においても、企業活動で生み出されるデータは、社会との関係性に於いては後世に受け継がれるべき歴史、文化の一部として大事にしたいものです。

執筆者プロフィール

時実 象一氏

時実 象一氏

1944年
生まれ
1968年
東京大学理学系大学院化学専門課程修了
1968年
東洋レーヨン株式会社 (現東レ株式会社) 入社、
基礎研究所、エンジニアリング研究所などで研究開発に従事
1976年
社団法人化学情報協議会 (現化学情報協会) に入社
米国化学会のデータベース普及に携わる
1995年
米国化学会勤務となり、アジア諸国でのデータベースの普及に携わる。
2005年
愛知大学文学部図書館情報学専攻教授
2014年
愛知大学退職、東京大学 大学総合教育研究センター 非常勤講師
2015年
東京大学大学院情報学環特別客員研究院

デジタルアーカイブ学会 理事・学会誌編集副委員長
学術情報 XML 推進協議会 会長