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スマートワーク推進&ワークスタイル変革・コラム社会保険手続きにも対応。
経産省が進める“GビズID”
がもたらす未来とは?

デジタル・ガバメントの推進において重要なポイントとなる
「GビズID」と、その基盤を活用した今後の展望について解説。

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社会保険手続きにも対応。経産省が進める“GビズID”がもたらす未来とは?

政府が取りまとめた「デジタル・ガバメント実行計画」に基づき、政府の各府省は行政サービスのデジタル化に向けた取り組みを加速しています。その重要な取り組みの一つである「法人デジタルプラットフォーム」の構築が、今まさに経済産業省によって強力に推進されています。事業者手続きのデジタル化のみならず、政府におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤の一つになるものと位置づけられ、府省を超えた情報連携による官民双方の利便性向上を目指すとともに、民間サービスとも連携したエコシステムを拡大していく流れです。
今後、ビジネスの世界においても様々な影響を与えると考えられる「法人デジタルプラットフォーム」ですが、その基盤として重要な役割を担う「GビズID」が、2020年4月以降に大きく普及していくと予想しています。デジタル・ガバメントの推進において重要なポイントとなる「GビズID」と、その基盤を活用した今後の展望について解説します。

GビズIDとは

「GビズID」とは、企業における各種の行政手続をひとつのIDにより利用することができる法人共通認証基盤サービスです。これまで、電子申請を行う場合は、法人の電子証明書を取得し、それを添付するなどにより確認をしていました。GビズIDを利用すれば電子証明書は不要となり、IDとパスワード(+スマホ等による2要素)によって認証が可能となります。
前述したとおり、経済産業省では事業者手続のデジタル化に向けた取り組みを進めています。GビズIDはその認証基盤として構築され、2019年2月から利用を開始しています。
現在は、経産省のjGrantsという補助金申請システムや農水省の共通申請サービスなどの電子申請において、GビズID認証による利用が可能となっています。今後は他の府省においても、この認証サービスを利用した電子申請が拡大されていく予定です。
政府は、「デジタル・ガバメント実行計画」、並びに令和元年12月に施行された「デジタル手続法」に基づき、

  • デジタルファースト(手続きのオンライン化の徹底)
  • ワンスオンリー(同じ情報の提出は一度だけにする)
  • コネクテッド・ワンストップ(民間サービス連携を含め、どこでも一か所でサービス提供)

の実現に向けて取り組みを推進しています。数多くある行政手続きを効率化し、行政・民間の業務コストを削減するためにはデジタル化が必須です。政府は、各種手続のオンライン原則を推進するためのステップとして、このGビズIDによる認証サービスを構築したのです。

そして、2020年4月から厚労省の社会保険関係の手続きについて、GビズID対応が開始されました。社会保険は企業にとって必ず発生する手続きであり、その業務負荷も小さなものではありません。全ての企業に関わりのある社会保険関係の手続きがGビズID認証に対応することで、中小企業を含めて多くの企業に電子申請が広がることが期待されます。

GビズIDのメリット

企業にとってGビズIDを利用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ひとつは、電子申請を利用するための電子証明書の取得が不要であるという点です。電子証明書の取得のためには、発行するための費用や、種類によっては機器の準備など一定のコストが発生します。政府はデジタルファーストを推進しているものの、これらの手間やコストが普及の妨げとなっている現実があります。決して多額の費用がかかるものではありませんが、特に中小企業においては、頻繁に手続きが発生する訳ではなく、電子証明書の取得コストは足かせです。
もうひとつは、同じIDとパスワードで各種の行政手続サービスに対応できるようになる点です。将来多くの行政システムの認証基盤がGビズIDに対応すれば、企業としては利便性が高いものとなるでしょう。

社会保険のGビズID対応はどのようなもの?

社会保険の電子申請といえば「e-Gov」を利用します。しかし、2020年4月時点では、e-Gov はGビズID認証を利用した電子申請には対応していません。GビズID認証による社会保険の電子申請は、e-Govとは別の申請方法となります。e-Govは従来どおり利用可能ですので、電子申請には2つの方式が存在することになります。 GビズID認証が対応する手続きは以下のとおりです。

【社会保険】
資格取得届、資格喪失届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届、被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者関係届

【雇用保険】
資格取得届、資格喪失届、転勤届、個人番号登録届

主要な手続きはカバーしていますので、積極的に利用しようという企業も多く出てきそうです。
GビズIDによる電子申請を利用するには、日本年金機構のホームページから無償でダウンロードできる「届書作成プログラム」を利用します。このソフトからGビズIDの認証を経て日本年金機構やハローワークへの送信が行われる形です。

2020年4月時点のGビズIDによる社会保険電子申請は、簡単に言うと『これまでの電子媒体申請が、電子申請という形でデータ送信できる機能を備えた』というものです。そのための認証にGビズIDを活用し、送信する手段として「届書作成プログラム」の機能追加がなされたということです。

従って、GビズIDによる電子申請は、CSVデータによる連記式の申請にのみ対応します。データ仕様は従来からの電子媒体申請(CSVデータをCD-R等に格納し郵送する方法)と同じものです。つまり、現在利用している人事給与ソフトから電子媒体申請に対応したデータを作成することができれば、特別なコストをかけることなく電子申請を利用することができます。特に、CD-R等でデータを郵送していた企業においては、郵送の手間やコストがなくなる分、積極的に利用すべきものと言えるでしょう。

一方、CSV形式に対応した申請しか対応できないため、大企業の電子申請義務化対象になっている手続きに全て対応することはできません。育児休業給付、高年齢雇用継続給付など、e-Gov(またはe-GovのAPI申請や一括申請に対応したソフト)による電子申請しかできない手続きがあることは、留意しておく必要があります。

e-GovはGビズIDに対応しないのか?

政府は、各省庁のシステムについて、GビズIDとの接続を原則とすることを打ち出しています。2019年4月には、内閣官房を通じて各省庁にシステムの接続を検討させる指示を出しました。従って、e-Govも当然ながら例外ではありません。

実は、e-Gov は2020年9月末に大きなシステム更改を予定しています。まだ詳細は公表されていませんが、GビズID によるログインも可能になるとのアナウンスもあります。今後、この基盤を活用して、どのように利便性向上がなされていくのか、大いに期待するところです。

GビズIDを活用した今後の展望

経産省が進める「法人デジタルプラットフォーム構想」において、GビズIDによる認証基盤の構築は、そのファーストステップです。これから行政手続きのデジタル化が本格的に普及すれば、蓄積したデータから法人関連のデータを連携して、他の申請処理等に活用することが可能となります。これらの蓄積データ連携を「法人データ交換基盤(Gビズコネクト)」として整備し、行政のみならず、民間のシステムも安全に接続することができる仕組みの構築を進めています。

先に述べたワンスオンリーの実現のためには、各行政サービスが一つのIDでログイン可能になるだけでなく、情報を横連携する仕組みが求められます。それが実現していくことにより、企業としても、各種行政機関への同じ情報の変更手続きや、確認書類の添付といった煩雑な業務から解放されるというメリットを享受することができるようになります。

さらに、これらの法人データを利用した「Gビズインフォ」(2020年3月2日に法人インフォから改名)により法人データのオープンデータ化を進めています。各府省庁で公開されている法人活動情報を集約し、OpenAPIを公開することで、民間においても有効に活用できる基盤が整いつつあるのです。

経産省が進める法人デジタルプラットフォームは、今後は政府全体のプラットフォームとして、政府DXの基盤の一つになるものと位置づけられています。企業においても、変化の激しいビジネス環境の中で生き残るためには、DXによるデジタル改革が必要と言われています。これから本格的に始動するGビズIDに是非とも注目しながら、自社のDXの一つとしてメリットを享受していくべきでしょう。

執筆者プロフィール

野田 宏明氏

野田 宏明氏

社会保険労務士。情報処理技術者(ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、アプリケー ションエンジニア)。

ITS社会保険労務士法人 代表社員
メーカー系IT企業にて人事業務のシステムコンサルタントに従事。その後、社会保険労務士として独立し現職に至る。労務相談や教育講師の他、企業の社会保険手続き業務においてITを活用した効率化を提案する社労士事務所を運営。
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