VRを活用したオンライン旅行サービス: サステナビリティ事例 | NECソリューションイノベータ
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Sustainability Report 2021

VRを活用したオンライン旅行サービス

バーチャル技術を活用して
生きがいを持ち続けられる
世の中をつくりたい。

イノベーション推進本部 阿部 由莉
Quality of Life

記憶を旅するVRで、もう一度コミュニケーションする楽しみを。

遠出をするのが難しくなった高齢者や認知症の方にも、自由に旅行を楽しんでほしい。そんな思いでVRを活用したオンライン旅行サービスを企画しました。介護施設で映像を見るだけでなく旅行前、旅行中、旅行後の3つのプロセスを通じてコミュニケーションの活性化を支援するのが特長です。旅行前には行き先を話し合って計画する楽しみを、旅行後には楽しかったことを振り返りながらノートに書き留める思い出しの過程も大事にしています。

認知症の方の記憶はグラデーションのように濃淡があり、新しいことを覚えるのは難しいけれど、昔の記憶は残っていることが多い。だから昔訪れた観光地などを旅先にすると、記憶を旅するような感覚で、「誰と行った」「ここが楽しかった」と過去のエピソードがぽろっと出てきます。過去に体験したことなら、自信を持って話してくれるのです。

毎日、同じ仲間と顔を合わせ、決まった時間に決まったことをする。このオンライン旅行は、そんな変化の少ない日常の中にイレギュラーな体験を持ち込んで、記憶を刺激する役割を担えているのだと思います。

VRを活用したオンライン旅行サービス

介護施設などに入居する高齢者や認知症の方に向けて、VRを活用したオンライン旅行サービスで、安全・安心な旅行体験を提供。みんなで旅行計画を立てる、旅行を体験する、旅行を振り返るまで、一貫したプログラムでコミュニケーションの活発化を目指す。経済産業省「認知症共生社会に向けた製品・サービスの効果検証事業」に採択。現在、実証実験中。

VR(Virtual Reality):コンピュータで作成した映像や音声によって、現実と同じような環境・感覚=「仮想現実」を提供する技術。

介護を考えることは自分の未来を考えること。関係ない人は、いない。

VRで美しい自然や海の景色を映した時、ワーッと歓声が上がったり、「またこの場所に来られると思ってなかった」と感動していただけるのが、この仕事をしていてうれしい瞬間です。今はまだ、歳をとるにつれて不自由になるのが当たり前の社会ですが、この技術を活用すれば、さまざまな理由で好きなことを制限されている人たちに、旅行だけではなくスポーツ観戦、散歩、帰省など、「新しいカタチの外出」を届けていけると思っています。

「介護を受ける」と聞くと若い人は自分に関係ないことと思いがちですが、介護を考えることは実は自分の未来を考えること。誰もが歳をとるわけですから、そうなったときに、好きだったことをあきらめなくていい社会になればと思っています。バーチャルとリアルを組み合わせたサービスで、歳を重ねても誰もが生きがいを持ち続けていける世の中にしていきたい。きっとできる。そう信じています。