COREDOシェアステデリバリー: サステナビリティ事例 | NECソリューションイノベータ

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Sustainability Report 2022

COREDOシェアステデリバリー

Smart City

エリアにおける
サービスとニーズを、
シェアリングの仕組みで
つないでいく。

  • 三井不動産株式会社 小川 健太郎様
    「モノづくり」と「金融」の両面に携われる可能性に魅力を感じ、2001年三井不動産入社。「個人の正しい野心・野望は全体最適につながり、会社や社会の課題解決にもつながる」をモットーに、現在は「COREDO室町」「COREDO日本橋」をはじめとする都市型商業施設の運営や、今後の商業施設開発などを担う。
  • イノベーション推進本部 兼
    プロダクト・エンジニアリング事業部
    新冨 啓明
    人材育成、コンサルティング、営業などの部門を経て、現在の所属である新事業創出関連部門へ。エリアマネジメント事業者の課題解決を前提とした新事業創出を検討している中で、三井不動産様へ「シェアリングステーション」のコンセプトを提案。プロジェクト化にいたる。

飲食店とオフィスワーカーのニーズを、どうやってマッチングするか。

新冨
小川さんと初めてお会いしたのは、2020年の7月頃です。当社はエリアにおける企業のサービスとニーズとをつなげるプラットフォーム「シェアリングステーション」を活用したサービスを共創する事業者を探していました。そこで、日本橋エリアをはじめ、各地で総合的にエリアマネジメント事業を展開されている三井不動産さんにお声がけしました。
小川
多くのオフィスビルや商業施設を運営している私たちにとって、当時抱いていた課題の1つが、日本橋エリアにおける飲食店のサービスとオフィスワーカーのニーズとのマッチングでした。というのも、当時は新型コロナウイルス感染症が拡大中。当社が運営する商業施設「COREDO室町」「COREDO日本橋」でも飲食店の多くが営業困難になっていて、エリア内のオフィスビルに出社する方々にとっては、ランチの選択肢が少なくなってしまっていたのです。
新冨
「シェアリングステーション」を活用し、三井不動産さんのテナントに入っている飲食店のランチを近隣のオフィスビルに届けるサービスを展開することで、双方の課題解決に貢献できるのではと考えました。当社がこのプラットフォームサービスを構想したきっかけは、世の中の生活様式の変化を見据えたものでしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によってその必要性がより加速したように感じています。
小川
まさにこれからの時代は、働き方、そして都心の商業施設のサービスのあり方もどんどん変わっていくと考えています。そうした中、三井不動産としても新たな手を打たなければと考えていたので、「シェアリングステーション」を日本橋エリアで活用した『COREDOシェアステデリバリー』のサービスには大きな可能性を感じました。
新冨
このサービスを開始するまでには半年ほどかかりました。小川さんには議論の段階から、事業構造の考案、そして飲食店やオフィスビルとの提携にいたるまで、積極的にブレーンストーミングに協力いただきありがたかったです。
小川
新冨さんには毎回スムーズに議論を進行いただいて、考えを整理しながら進めることができたので、我々こそとても感謝しています。

このサービスが本当に評価されるのは、
きっとアフターコロナの時代。

小川
事業化に向けて考えたのは、『COREDOシェアステデリバリー』を、利用者と飲食店の双方にとって有意義なサービスにすることです。利用者にとってリーズナブルな価格帯や、飲食店に負荷のかかりすぎない手数料の金額などは、特に議論しました。
新冨
「今回はランチのお弁当にフォーカスする」「注文の都度ではなく、一定の時間にまとめて届ける」というアイデアも、議論を重ねる中で固まっていきましたね。
小川
ただ一つ想定外だったのは、新型コロナウイルス感染症の流行が現在にいたるまでずっと続いているところですよね。
新冨
そうですね。アフターコロナ時代を見据えてビジネスモデルのブラッシュアップを重ねてきましたが、ここまでの状況は想定していませんでした。
小川
そういう意味では、『COREDOシェアステデリバリー』が本当に評価されるのは、むしろこれからの時代といえるのではないでしょうか。働く場所や時間がより柔軟になることで、「出社したときは飲食店でランチを楽しみたい人」「時間重視でオフィスへのデリバリーを頼みたい人」と、考え方は両極端になっていくはず。飲食店のイートインでの売上が確保されたうえで、「時間重視」の方を取り込むことによる売上が飲食店にとってプラスαのものになったときこそ、真価を発揮できるサービスだと思っています。
新冨
だからこそ、このサービスを続けていくことが何よりも大切だと考えています。これから訪れる世の中の変化に対して、フィットするタイミングを待っている感じですね。

より多くのエリアで、誰もが気軽に活用できるインフラになることを願って。

新冨
当社が三井不動産さんとの事業化を実現できたのは、両社の意思決定のスピードが合っていたことがポイントだったと思っています。というのも、企業同士が共創を推し進めようとしても事業化にいたらない世の中のケースを見ると、意思決定までのスピード感の違いが要因になっているケースが多いのです。今回のプロジェクトでは、ディスカッションから実証実験、そして事業化にいたるまでを、とてもスムーズに進めることができました。これも三井不動産さんの総合力、そして小川さんの抜群の企画力・推進力があったからこそだと思っています。
小川
ICTサービスを共創する場合、昨今はベンチャー企業とタッグを組むのが主流です。ベンチャー企業にはスピード感があるなど、ベンチャー企業ならではの強みがありますが、プロジェクト全体をしっかりと把握し、各ステークホルダーに対してもマネジメントを行える、NECソリューションイノベータさんのような大きな企業と一緒に事業をつくっていけることは、安心感がありました。
新冨
ありがとうございます。正直なところ、三井不動産さんほどの総合力を持つ企業との共創でなければ、「シェアリングステーション」にとって初の事業化までもっていくことは難しかったのではと思っています。そういう意味では、ここまで継続的にご一緒できていること自体が、当社にとっては大きな収穫です。
小川
そう言っていただけると嬉しいですね。ただ、これは初期の段階から新冨さんに伝えていますが、私としてはこのサービスや仕組みを自社で囲い込むつもりは全くないのです。このサービスを生活に欠かせないインフラとしていくうえでは、ぜひほかの事業者やディベロッパーとの共創も進めていただきたいと思っています。その結果が、きっとより多くのエリアの価値向上や、そのエリアの働く方、住まう方の課題解決にもつながっていくというのが私の考えです。
新冨
小川さんからそう言っていただけたこともあって、最近では、ほかのディベロッパーからお声がけをいただく機会も複数回ありましたね。本当に、三井不動産さんの懐の深さを感じています。
COREDOシェアステデリバリー
2021年5月より、三井不動産株式会社様、株式会社エニキャリ様とともに、シェアリングの仕組みを用いて「COREDO室町」「COREDO日本橋」の飲食店が提供するランチをオフィスビルに届けるサービス『COREDOシェアステデリバリー』を開始。

エリアの価値を上げるために、
まだまだできることはある。

小川
今後は、まずこの「シェアリングステーション」を用いたデリバリーサービスを、ほかのエリアやビルなどにも展開していけたらと考えています。同時に、このサービスを用いた日本橋というエリアのさらなる価値向上にも、継続して取り組んでいきたい。というのも、日本橋エリアは当社創業の地でもあり、官・民・地元一体で「日本橋再生計画」を推進しているエリアだからです。たとえば、現在取り組んでいる「COREDO室町」「COREDO日本橋」からのランチデリバリーだけではなく、今後は日本橋エリア内にある老舗飲食店のお弁当なども、オフィスワーカーにお届けできたらと思っています。実際に、エリア内の飲食店からそういったご相談をいただくこともありますし、本当の意味でのエリアの価値向上を考えれば、自社の商業施設のみにこだわる必要は全くないと思っています。
新冨
まさに私たちが思い描いている未来としても、各地のエリアマネジメントを担う事業者との共創によって、そのエリアの価値向上に貢献していきたいという考えです。それは、エリア規模での物流の円滑化や経済の活性化、ひいてはスマートシティ化という観点でも、大きな意義を持つものになっていくと確信しています。
小川
提携する飲食店が増えていけば、それだけ手数料や送料など、飲食店の負担を減らすことにもつながっていくでしょう。そのためにも、現在の対法人を入口にオフィスワーカーにランチをデリバリーするという“B to B to C”サービスを、今後はたとえば、コワーキングスペースや共有エリアを利用する方々に向けてランチをお届けするなどの“B to C”サービスとしても、ぜひ展開していけたらと考えています。ランチデリバリーの価値提供という形ひとつをとっても、まだまだキャッチできるニーズは多くあるはずです。
新冨
当社における新規事業としても、「シェアリングステーション」のプロジェクトには大きな意義があると考えています。これまでSI事業を主軸としてきた当社が、エリアマネジメントという領域で、自社の新たな基盤になりうる事業を構築していく。この可能性と未来に、私自身とてもワクワクしています。そういった新しい事業の確立への挑戦という意味でも、お客様との共創によるエリアの価値向上に対する貢献という意味でも、ぜひ三井不動産さんとこれからもご一緒させていただけたら嬉しいです。

各飲食店が注文情報にもとづくランチボックスを所定の場所まで持ち込むと、配達スタッフが全店舗分をピックアップ。各オフィスビルへ集約配送します。