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いま、データを分析し、活用することがさまざまな業種・業務に広がっています。多くの企業が注目するのは、蓄積したデータを生かした「未来予測」。そんなデータ活用を進めたい企業の前に立ちふさがる壁とは? データ分析のプロセスを革新する、画期的な分析ソフトウェアとは? お客様のデータ分析を実際に支援している分析のエキスパートが、データ活用を成功に導くポイントについて語ります。

企業が直面するデータ分析の高いハードルとは

初めに最近企業の間で広がっているデータ分析の目的について教えてください。
  • 保坂:
    ひと言で表現するなら、蓄積した膨大なデータを分析して、ビジネスの成果を高めることが目的です。
    具体的には、商品の売り上げを伸ばす、契約中の顧客や会員の離脱を減らす、商品の改善に役立てる、業務を効率化するなどが挙げられます。課題解決からマーケティング戦略、経営の意思決定、ビジネスインサイトの発見など、データ分析の用途は多岐にわたります。
従来と近年では、データ分析の目的はどのように変化していますか。
  • 保坂:
    従来は「過去に何が起こったのか」を可視化することが中心でしたが、近年は「未来予測」への活用へと変化しています。
    また、以前はデータ活用の手法が予測精度で評価されていましたが、最近はお客様自身でビジネス上の成果を継続的に生みだせるしくみが備わっているかどうかで評価されていると感じます。
    “短期間で”“継続的に”“お客様自身が”データを活用してビジネスの成長を目指す“データドリブンな経営”が、企業の間で広がりはじめています。
企業自身でデータ分析を行う場合、どんなハードルがあるのでしょうか。

  • 保坂:
    まず挙げられるのが、データ分析に精通した人材不足です。データ分析には、高度な知識とスキルが要求されるため、社内におけるデータサイエンティストの確保が高いハードルになります。
    また、データ分析のプロセスに多くの時間がかかることも、企業にとっては大きな問題です。 

誰でもデータ分析可能、結果がでるまでわずか数日

データ分析のハードルを下げるために、NECソリューションイノベータではどのような提案をしていますか。
  • 保坂:
    独自のアルゴリズムによって開発されたdotDataというソフトウェアの活用をご提案しています。これは、従来不可能だったデータ分析プロセスの自動化をAIによって実現した画期的なツールです。日本国内においては、NECがdotData, Inc.(※)から独占販売権を取得し提供しており、当社はNECの事業支援を行っています。

    ※dotData, Inc.:NECが米国に設立したソフトウェア会社。データ分析プロセスをAIによって自動化するソフトウェアを開発・販売。

dotDataが画期的なのはどのような点ですか。
  • 保坂:
    このツールの優れた点は大きく3つあります。
    1つ目の特長は、分析で成果を出すまでの期間を短縮できることです。適正なデータ予測の鍵を握る変数データを作成する特徴量の設計(※)は、これまでデータ分析に精通したデータサイエンティストによって行われていました。データ分析工数の約8割を占めるというこの作業は、人間しかできないと言われていて、数か月という期間がかかっていました。
    dotDataは、こうした難度の高い特徴量設計において、世界で初めて完全自動化を実現したため、数か月かかっていた作業期間を数日へと短縮できるようになりました。

    ※特徴量の設計:データベースなどに蓄積させる生データを、機械学習に入力可能な表形式のデータに変換する業務。分析結果の精度や有用性を左右する重要なプロセス

圧倒的に期間を短縮

2つ目の特長は、スキルを必要とせずに予測モデルを作成できることです。
dotDataは、特徴量設計の完全自動化に加え、従来はデータサイエンティストのスキルを要したモデルチューニング(※)の自動化も実現しています。
これら2つの自動化によって、導入企業では、データサイエンティストに頼ることなく、誰もがデータ分析を行うことが可能になりました。

※モデルチューニング:精度の高い予測モデルを作るために試行錯誤する作業



そして3つ目の特長は、ビジネスに生かせるインサイトを得られることです。
まず、自動設計される特徴量について、何がどう分析に効く要素なのか、dotDataが根拠を説明します。データの関係性が明らかになり、人では思いも寄らなかったビジネスインサイトの発見につながります。また、分析結果についても、結果に至った過程や理由を説明可能な、ホワイトボックス型モデルによる予測に対応しています。
これにより、根拠を理解・納得した上でビジネスの意思決定が行えます。

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根拠が明確で納得して活用できる

dotData活用のための定着化サービス、分析支援サービスを提供

dotDataの提供にあたり、NECソリューションイノベータはどのような役割を担っていますか。
  • 保坂:
    当社は、NECとともに、お客様向けのサポートを行っています。具体的には、dotDataの機能や使いかたのレクチャー、データの準備・加工や分析設計支援を行う「定着化サービス」、お客様が実施する分析作業について技術的なアドバイスを行う「分析支援サービス」があります。

    分析環境を構築してご提供すれば役割は完了というわけではなく、お客様にこのツールを最大限に活用いただけるように、そしてお客様自身で、課題設定から、分析、運用までの業務サイクルを回し、継続的にビジネス成果をあげていただけるように、私たちはきめ細かに支援することを重視しています。
NECソリューションイノベータの支援体制を教えてください。

  • 保坂:
    定着化や分析支援のサービスを担う分析エキスパートのほかにも、プロジェクトマネージャーの役割を果たすコーディネータを中心に、データ分析に必要な課題設定やデータ整備のやりかた、分析組織の立ち上げなどを支援する業種に精通したコンサルタント、業務システムへの実装を担当するアーキテクトなど、AIのスペシャリストによる充実した支援体制があります。 

AIやデータ分析における、保坂さんのこれまでの歩みについて教えてください。
  • 保坂:
    私は、もともとソフトウェア開発・保守の技術者でした。社内にAI分析技術の研究チームが発足したときに、メンバーとして参加したのがAIと関わるようになったきっかけです。
    その後NECグループのさまざまなAI技術の研究活動を行いながら、お客様へ分析案件の提案や技術検証などを行ってきました。2017年からはdotDataの前身である予測分析技術を活用した案件に関わり、現在はdotDataの分析エキスパートとしてお客様への支援業務に携わるなど、データ分析の進化とともに自分自身の知識やスキルを高めてきました。
分析エキスパートとして、保坂さんは現在どんな業務を行っているのですか。
  • 保坂:
    私は「定着化サービス」を中心に、サービス企画、お客様向けのコンテンツ制作やデモンストレーション、ご要望に合わせたアドバイスやレクチャーを行っています。
    お客様に直接お会いして、率直な疑問や意見を伺うことは、私たちのサービス改善やクオリティ向上にも大きく役立っています。
保坂さんが業務を行う上で、心掛けていることを教えてください。
  • 保坂:
    お客様の現状をできるだけ引き出せるよう、事前に業種特有のデータや業務データなどを頭に入れて、スムーズなコミュニケーションを心掛けています。医師が個々の患者さんに症状や病歴などを細かくヒアリングして適切な診療を行うように、私たちもお客様の現状や課題など具体的な情報をお聞きすることで、よりよい支援が可能になります。

    中には、「課題認識ができていない」「何から始めたらよいのかわからない」といったお客様もいらっしゃいます。そうした場合には、AI活用を検討することになったきっかけをお尋ねした上で、何を目指しているか、いま何に困っているかなど、いわば目的地と現在地を整理することを試みます。手始めとして、データを活用した現状把握を支援することもあります。
    対話を重ねる中で、お客様との距離が縮まり、信頼関係が生まれたときには、大きな喜びややりがいを感じますね。

さまざまな分野のビジネス課題の解決に貢献

dotDataは、どのような業種や企業で導入されていますか。
  • 保坂:
    ある金融機関のお客様では、コールセンターへのアクセスデータを基にした新規契約の予測に活用いただいています。また、大手メディアのお客様では、会員情報、アクセスログや行動ログなどの分析データを基に、会員の契約や解約の予測に役立てられています。
    金融、保険、製造、運輸、小売り、通信など、幅広い業種や業務で成果が出はじめています。
最後に保坂さんの今後の展望を聞かせてください。
  • 保坂:
    お客様自身がこのツールを活用することで、継続的に価値を生みだしていけるよう、サービスの改善や向上に取り組んでいきたいと考えています。
    今後は、新規顧客の獲得や会員の離脱防止など、多くの企業に共通するテーマを捉え、このツール活用を体系化したソリューションの開発や、当社がこのツールを用いて行ったデータ分析結果を予測サービスとしてご提供するなど、dotDataの機能や価値をより多くのお客様にお届けできるよう、力を注いでいきたいと思います。

(2020年2月14日)