NECソリューションイノベータ、聴覚障がい者向けに遠隔地から要約筆記を支援するサービスの本格提供を開始
~ クラウド環境から聴覚障がい者をサポート ~
2015年3月12日
NECソリューションイノベータ株式会社
NECソリューションイノベータは、聴覚障がい者向け要約筆記を遠隔地から実施するとともに、要約筆記者(支援者)の負担を低減する仕組みを併せ持つ「遠隔要約筆記支援システム」を開発し、本日より、本格的にサービス提供を開始します。
要約筆記とは、聴覚障がい者への情報保障手段の一つで、発言者の話を要約し、文字として伝えることをいいます。通常は、聴覚障がい者が参加する講演や授業の場所に支援者を複数人派遣し、その場でノートやパソコンを使って行われています。しかしながら、現地へ移動する時間などが負担となるために支援者の確保が難しく、その調整を行う担当者にも大きな負担となっている状況です。
本システムは、パソコンとインターネットを使用し、クラウドサーバを通じて、遠隔地から要約筆記を行うことを可能にします。また、支援者の配置やスケジュール管理を本システムで行うことで、調整担当者の負担を低減します。
2012年から吉備国際大学(岡山県高梁市)など教育機関で実証実験を重ね、利用現場の様々なニーズを踏まえた機能強化を行い、本格的にサービス提供を開始しました。
今後も本システムを通じ、より多くの聴覚障がい者に要約筆記支援を受けられる機会を提供することで、多様性のある豊かで公平な社会の実現に貢献します。
運用イメージ
システム利用イメージ(支援者画面)
背景
日本においては、約34万人(注1)の聴覚障がい者のうち、要約筆記支援の利用者は約10万人(注1)と言われています。一方、自治体に登録されている支援者は約1万人(注2)であり、要約筆記支援を十分に実施できないのが現状です。特に遠地からの依頼の場合、移動時間が必要なため、支援者の派遣が困難となることもあり、配置を調整する担当者の苦労は絶えません。さらに、2016年4月には「障害者差別解消法」が施行され、障がい者への合理的配慮(注3)提供が行政機関で義務化され、要約筆記などの支援の必要性がより高まることが予測されます。
価格・販売目標
名称 | 価格(税別) | 備考 |
---|---|---|
遠隔要約筆記支援システム スタートキット | 100,000円 | 利用開始時の初期設定費用 |
遠隔要約筆記支援システム 利用ライセンス | 80,000円 | 遠隔要約筆記支援環境(1環境)6ヶ月間の利用料金 |
遠隔要約筆記支援システム 追加ライセンス | 60,000円 | 遠隔要約筆記支援環境を複数同時に並行して利用する場合に必要な利用料金(注4) |
遠隔要約筆記支援システム 休止ライセンス | 10,000円 | 遠隔要約筆記支援環境を維持したまま利用を中断する場合に必要な料金(注5) |
- ※本システムは、導入前の試行サービス提供(1ヶ月間/無償)も行っています。
今後3年間で、100団体への提供を目指します。
特長
本システムは、聴覚障がい者(利用者)がいる会場や教室の音声や映像と遠隔地の支援者が入力する要約文(テキスト)を、インターネットを介して相互配信することで、遠隔地から要約筆記を行うことを可能にしました。さらに利用者からの支援依頼や支援者の配置、スケジュール管理も本システムで行うことができ、調整担当者の負担を低減します。
サービス提供にあたっての機能強化ポイント
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要約筆記支援中に共有できる情報を拡充
急な交代要請などを画面上で随時共有することで、支援者同士が連携して対応できるようになりました。また、相互に送受信の音量レベルを目視で確認できるため、明瞭な配信音声をもとにした要約筆記が可能です。 -
支援者の調整にかかる時間を更に短縮
利用者による要約筆記依頼から全支援者への依頼の一括通知、支援者による登録まで、一連の流れをサポートすることにより、支援者を配置する調整時間を短縮することができます。また、大学などで学生が選択する授業に対して一括で支援者を設定することが可能なため、支援者調整の手間を低減できます。 -
利用者と支援者のつながりを支援
利用者が指定する支援者のみが参加できるように設定を行えます。利用者は日頃信頼する支援者を指名することで、安心して支援を受けることができます。
「遠隔要約筆記支援システム」の概要は別紙をご覧下さい。
NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICT技術や知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
- (注1)厚生労働省 平成18年身体障害児・者実態調査結果より
- (注2)厚生労働省「平成21年度障害者自立支援調査研究プロジェクト 要約筆記者養成等調査兼等事業報告書」より
- (注3)障害のある人とない人の平等な機会を確保するために、障害の状態や性別、年齢などを考慮した変更や調整、サービスを提供することを「合理的配慮」と言います。
- (注4)利用ライセンスに加えて、同時並行する環境分の追加ライセンスの購入が必要になります。
- (注5)大学などで聴覚障がいをもつ学生が卒業するなどして、遠隔要約筆記環境が不要となる場合、登録情報のみを維持するために利用ライセンスの代わりに購入いただくライセンスです。
- ※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
- ※本システムは、(独)情報通信研究機構の情報バリアフリー事業助成金(2011年度)を受けて開発いたしました。
「遠隔要約筆記支援システム」に関する情報
本件に関するお客さまからのお問い合わせ先
NECソリューションイノベータ システムテクノロジーラボラトリ
E-mail:cnt-support@var.necst.nec.co.jp
本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
NECソリューションイノベータ 広報担当
E-mail:press@nec-solutioninnovators.co.jp
NECは、社会ソリューション事業を推進する
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