NECソリューションイノベータと北海道大学、「画像認識による虫画像の同定を支援する技術」に関する共同研究を開始
~ 病害虫の同定をICTでサポート ~
2015年7月21日
NECソリューションイノベータ株式会社
国立大学法人北海道大学
NECソリューションイノベータと北海道大学 情報科学研究科 メディアダイナミクス研究室(教授:長谷山 美紀、以下、北海道大学長谷山研究室)は、「画像認識による虫画像の同定を支援する技術」に関する共同研究を2015年7月に開始します。
農業の生産現場では、農作物上に見つけた虫の種類を即時に特定することが難しく、適時/適切な防除を実施しにくいという課題を抱えています。
このような課題を解決するため、NECソリューションイノベータと北海道大学長谷山研究室は、同研究室の発想支援型の画像検索研究(注1)による知見や画像認識特許技術(注2)を活かし、特定の虫の画像を様々な虫画像を集めたデータベースと照合して類似するものを検索する技術を共同で開発します。
本研究の成果を踏まえ、スマートフォン等で撮影した虫画像から虫の種類を同定するためのシステムを開発することで、病害虫の適切な防除を支援し、安心・安全な農作物の生産、生産性の向上に貢献することを目指します。
紛らわしい病害虫の例
研究の背景
今日、環境の保全や食品の安全性に対する消費者や生産者の関心の高まりから、病害虫の種類に合わせて農薬の使用量を最小限にする(注3)など、人の健康と環境へのリスクを軽減する適切な方法で病害虫を防除し、農作物被害を防ぐことが農業従事者に求められています。
しかしながら、多くの昆虫が分布している日本において、"害虫"とされる昆虫は約2000種にのぼります(注4)。外観が似ている病害虫も多いため、生産者が即時に種類を特定することは難しい状況です。
NECソリューションイノベータと北海道大学長谷山研究室は、農業従事者へのヒアリングから上記のような課題を把握し、その解決に向け、同研究室が世界に先駆けて始めた発想支援型の画像検索研究による知見や画像認識特許技術を活かした技術開発を開始しました。
研究の概要
- 研究期間
2015年7月から2016年3月まで
- 研究の目的
北海道大学長谷山研究室が保有する画像認識特許技術を基礎とした、特定の虫画像と類似したものを虫画像データベースから検索する技術の開発
- 研究内容
(1) 対象データの収集による検索精度変化の確認
1) 検索対象種の収集量と検索精度変化の研究
2) 検索対象種の分類による検索精度変化の研究
(2) 類似画像検索エンジンの、虫に適した検索アルゴリズムの研究
(3) 類似画像検索エンジンの改良
今後について
NECソリューションイノベータは本研究の成果を受け、スマートフォン等で撮影した虫の画像から病害虫の種類の同定を支援するシステムの開発を行う予定です。
NECソリューションイノベータと北海道大学は、さまざまな分野で産学連携を促進し、新たな価値の共創による地域、さらには全国各地の農業への貢献を目指していきます。
参考
北海道大学 情報科学研究科 メディアダイナミクス研究室
https://www-lmd.ist.hokudai.ac.jp/
以上
- (注1)画像や映像、音声などの非構造化データを連携することで、対象の類似性を抽出し、その結果を効果的に提示することにより検索者に気づきを与え、発想を支援する情報検索のための研究。
- (注2)特許第5229744号:特徴領域の抽出による近縁画像の類似度判別に関する特許
- (注3)総合的病害虫管理(Integrated Pest Management:IPM)に基づく取り組みIPM:病害虫による被害を抑えるための手段を総合的に講じ、人の健康へのリスクと環境への負荷を軽減するために国際的に提唱された概念。
- (注4)農林有害動物・昆虫図鑑(1987年)、日本農業害虫大辞典(2003年)
- ※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
- ※本技術は、特許出願済の技術を採用しています。
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NECソリューションイノベータ 北海道支社
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