NECソリューションイノベータと東北大学、ハートセラピー社と共同で、ストレスチェック結果を活用した職場環境改善活動を支援するソリューションの実証評価を開始
~ 改善活動の継続をITで支援 ~
2015年8月31日
NECソリューションイノベータ株式会社
国立大学法人 東北大学
NECソリューションイノベータ株式会社(以下、NECソリューションイノベータ)と国立大学法人 東北大学 高度教養教育・学生支援機構の高橋修 准教授は、ストレスチェックの結果から職場の課題を発見し、施策を立案して改善活動を実行する従業員参加型のPDCAサイクル「職場環境改善活動」を支援するソリューション(以下、職場環境改善ソリューション)の実証評価を開始しました。
企業におけるメンタルヘルス不調の有効な予防策として、ストレスチェックの分析結果を活用した職場環境改善があげられますが、改善施策の選定の難しさや職場の理解が得られないなどにより、改善活動の推進者の負担も大きく、多くの企業が改善活動の継続に課題を抱えています。
そこでNECソリューションイノベータは、職場環境改善のための活動サイクルを総合的にサポートし、改善活動の継続を促進するコミュニケーション基盤として、職場環境改善ソリューションを開発しました。本ソリューションは、産業・組織心理学の専門家である東北大学 高橋修 准教授のノウハウや先行研究の成果物(注1)および、自社の活動事例から得られた知見を組み合わせて実現しています。
今回開発した職場環境改善ソリューションの有効性を評価するため、東北大学、株式会社ハートセラピー(以下、ハートセラピー社)と評価体制を構築し、日本インジェクタ株式会社(以下、日本インジェクタ社)にご協力いただき、実証評価を開始しました。
拡大する活動状況イメージ
背景
近年、従業員のメンタルヘルス不調が企業活動に及ぼす影響が大きな問題となり、その対策の重要性がますます高まっています。2015年12月に施行を控えた通称「ストレスチェック義務化法(注2)」に関連し、厚生労働省から公開された労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルによると、ストレスチェック結果の集団分析や結果を用いた職場環境改善の活動が、職場のメンタルヘルス対策における一次予防として、重要な位置づけと説明されています。
NECソリューションイノベータでは、2010年から、厚生労働省研究班が作成した「職業性ストレス簡易調査票(以下、BJSQ)」を活用し、自社内のストレスチェックの結果を元に職場環境改善の活動を実施しています。この活動を通じて、活動施策を一定期間継続することが、何らかのストレスを軽減することができるという結果を得ました(注3)。
そこで、改善活動の継続を阻害する要因を分析し、産業・組織心理学の専門家の知見や先行研究の成果を取り入れることで、職場環境改善のための活動サイクルを総合的にITで支援するソリューションを開発しました。
実証評価の概要
- 体制
NECソリューションイノベータ - 職場環境改善支援ツールの開発
- IT基盤の提供
東北大学(高橋 准教授) - 研究計画策定の支援
- 職場環境改善支援ツールの開発支援
- データ分析支援
- メンタルヘルスマネジメント研修
ハートセラピー社 - 実証評価参加社員からの相談窓口
- 実証評価参加企業
日本インジェクタ社
- 評価期間:2015年7月1日~2016年3月31日
- 評価対象人数:約40名
- 実施内容:
職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)を用いたストレスチェック後の一連のプログラム(職場環境改善活動)で、ICT(支援ツール)を活用し、その効果を評価する。
職場環境改善ソリューションの特長
-
産業・組織心理学の専門家のノウハウや知見を見える化
(1) 組織の状況に応じた改善施策の提案
具体的な職場環境改善の活動を検討する際の手助けとして、残業時間や男女比、勤務地等の職場の状況に適した改善活動案を例示します。
この例示に合わせて施策を進めることで、職場の状況に合わない改善活動や、社員の負荷が高く初めから実施困難な改善活動を選んでしまうなどといった問題を事前に防ぐことができます。
(2) 活動状況に応じた専門家の助言
毎月記録する活動状況に応じて、専門家のアドバイスがシステム上で行われます。活動の推進者は専門家のアドバイスを参考に、活動方針の見直しや現場の社員への助言を行うことができます。
これにより、活動状況に応じた適切なアドバイスができず、活動が形骸化、マンネリ化することを防ぎます。 - 活動継続の促進を目指したコミュニケーション基盤
(1) 職場の社員との合意形成を支援
選定した課題や改善活動の検討結果について、「賛成」「反対」の投票を職場の社員に行ってもらい、推進者がその集計結果を確認して活動を実施するのか、改めて見直すのかどうかの判断材料とします。
職場の課題設定や改善活動の内容について、職場の社員との認識の乖離を防ぐことができます。
(2) 活動状況の見える化
毎月の改善活動の活性度を記録し、グラフ化します。開始時からの活動状況の変化を確認することができ、活動状況に応じた次の行動に繋げる判断材料とすることができます。
(3) コミュニケーションの活性化
社内SNSの仕組みを取り入れ、定期的な報告だけでなく、活動状況の共有や進め方の質問等、タイムリーなやり取りによって、職場内のコミュニケーション活性化に役立てることができます。
今後の展開
本実証評価で得られた活動結果データの分析を通じて、ストレスに対する効果や、効果的な活動の進め方などの関係性を更に明らかにしていきます。
職場環境改善ソリューションは、本実証評価を経て、2016年度中にNECソリューションイノベータの「メンタルヘルスケアサービス(注4)」との連携も視野に入れた製品化を目指します。
参考
株式会社ハートセラピー
本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:柳原里枝子
https://www.heart-t.co.jp/
日本インジェクタ株式会社
本社:神奈川県小田原市、取締役社長:田中有仁
https://www.nikk.co.jp/
以上
- (注1)厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」、「アクションチェックリスト」等
- (注2)労働安全衛生法の一部改正
- (注3)2013年第11回人材育成学会、および、第22回産業ストレス学会にて発表
- (注4)企業のメンタルヘルス対策を「セルフチェック」「ラインケア」「セルフケア」の3つのソリューションでサポートするサービス
参考) https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/mentalhealth_saas/
- ※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
- ※本ソリューションは、特許出願済の技術を採用しています。
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NECソリューションイノベータ イノベーションラボラトリ
電話:03-5534-2619
E-mail:ilab-contact@nes.jp.nec.com
本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
NECソリューションイノベータ 広報担当
E-mail:press@nec-solutioninnovators.co.jp