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学会・研究成果発表
日本認知・行動療法学会第45回大会にて、
育児相談チャットアプリの実証実験の成果を発表しました
育児相談チャットアプリの成果
DATE: 2019.10.28
研究テーマ:育児支援
ラボには睡眠日誌の他にも、認知行動療法(CBT)を用いたプロジェクトがいくつか存在します。そのひとつが育児支援のプロジェクトです。
育児支援のプロジェクトでは、CBTや応用行動分析をベースに、子育て中の親の育児ストレスを軽減するサービスを研究・開発しています。特に、親に育児の知識を与えることで子どもを間接的に支援する「ペアレント・トレーニング(以下ペアトレ)」に注目しており、ペアトレをICTで推進することを目標としています。

昨年度、私たちは、子どもの困った行動に対して、チャットで対応方法を相談できる「育児相談チャットアプリ」を開発しました。このアプリは、「子どもが泣きわめく」、「きょうだいを叩く」などの困った行動を入力すると、コンピュータのガイドのもとに子どもの行動分析ができ、対応方法を学べるというものです。昨年冬には、アプリの効果検証のため、未就学児の親を対象とした実証実験を行い、アプリ利用者の育児スキル向上と、日常のストレスの低減傾向が確認できました。
今回の日本認知・行動療法学会第45回大会では、「育児相談チャットアプリ」の実証実験の結果を発表してきました。発表は概ね盛況で、ひとときの人気者気分を味わいました。聞きに来てくださった方は、心理士さん、保健師さん、心理学系の学生さんなどが多く、みなさんから様々な知識を授けていただきました。聞いた話によると、今や、医療、教育、福祉、と領域を問わず、様々な場面でペアトレのニーズが高まっているのだそうです。専門家を介さずにペアトレを学べるという点や、導入しやすいという点を評価してくださる声も多々ありました。
アプリ自体にはまだ改良が必要だと考えていますが、お褒めのコメントをいただけたこと、臨床現場の現状を聞けたことが今回の収穫でした。
このプロジェクトに関わってから、子育ては「楽しい!かわいい!」だけではないことを学びました。子育て中の親は、日々、家事や育児や人付き合いに奮闘しているんですね、頭が下がります。
児童虐待件数の増加に伴い、悲しいニュースを耳にすることが増えた今、育児支援の必要性を強く感じています。育児相談チャットアプリを含め、私たちのプロジェクトが提供するサービスが、より充実した子育てライフのサポートとなれるよう、今後も改修を続けていきたいと思います。
担当者紹介
研究テーマ:育児支援
担当者:谷沢 典子
コメント:育児支援を担当している心理士のたまごです。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ papamama-soudan@nes.jp.nec.com
