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学会・研究成果発表

日本心理学会第87回大会にて、Intimate Partner Violence被害経験による居場所感及び孤独感への影響に着目した研究のポスター発表を行いました

DATE:2023.12.20
研究テーマ:心理学的行動変容

行動変容支援を研究している鈴木、市川です。
2023年9月15日から17日に開催された日本心理学会第87回大会にて、親密な関係における暴力(Intimate Partner Violence:以下IPV)の被害者への情報提供を通じた相談行動の喚起に着目した調査の結果についてポスター発表を行いました。

私たちは普段行動変容を支援する為の技術やその応用について研究を行っているのですが、今回はその行動変容支援技術の応用可能性の一つとしてIPV被害からの離脱に着目しました。
IPV被害は反復的・常態的被害が問題視され、被害からの離脱の一歩として被害者の方に相談へ繋がってもらう為の支援が重要です。しかし、内閣府の調査(2021年)によると、DV被害の相談においては女性の約4割、男性の約6割はどこ(誰)にも相談していないことが明らかにされています。そこで私たちは、IPV被害の常態化が生じている要因や相談行動を妨げる要因として被害者の孤独感と居場所感に着目し、被害者の方が相談に繋がる事でそれらの影響を低減できないかと考えました。

今回報告した調査の結果によると、IPV被害を受けた際に居場所感の低下や孤独感の上昇が見られました。更には、①心理的援助に対する抵抗感が低い場合には性的暴力などの被害を受けてもIPV被害者の居場所感が低下しないことや②心理的援助への抵抗感の高さは暴力被害を受けた際のIPV被害者の孤独感に寄与しないことが示されました。
これらのことから、援助に関する情報提供と併せて、自己に根差した肯定感を向上させる介入や孤独感を低減する介入が必要な可能性があると考えられます。

発表日時が初日の早朝だったにもかかわらず、多くの方にご質問やアドバイスをいただき、大変勉強になりました!お忙しい中発表を聞きに来てくださった皆様、ありがとうございました。今後も行動変容支援技術の幅広い領域への応用に向けて、検討や研究を重ねてまいります。

担当者紹介

研究テーマ:心理学的行動変容
担当者:鈴木 美穂
コメント:行動変容をテーマとした研究でデータ分析を担当しています。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーション推進本部
bt-design-contact@nes.jp.nec.com