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学会・研究成果発表
【研究成果発表】看護師の離職リスクにおける予測バイオマーカーに関する探索研究が論文に掲載されました
DATE:2024.02.13
研究テーマ:バイオセンシング
看護師の業務における疲労やストレスが離職リスクにつながることが知られています。しかし、離職の予測に用いる主観的な判断はバイアスが含まれるため精度に限界があります。これまで、デザイン・ラボ、バイオセンシングは北海道大学保健科学研究院の矢野理香教授らの研究チームと唾液バイオマーカーを用いた探索研究を行い、看護師の蓄積疲労が唾液バイオマーカーと関連することを明らかにしました。

今回は、看護師が離職するリスクを唾液の中のコルチゾール[1]濃度で予測する有用性を明らかにしました。実験期間3ヶ月のうち、最初の1ヶ月間のコルチゾールプロファイルを用いた予測モデルは、実験3ヶ月後のreluctance to stay[2]と負の関連があったという結果が出ました。また、主観指標(疲労感やバーンアウトの状態)を調整した予測モデルにおいてもコルチゾールとreluctance to stayは有意に負の関連性があることが明らかになりました。本研究成果は、看護師のreluctance to stayを予測することで、離職リスクを管理することが可能であることが示唆されました。
この研究の成果は、「Journal of Physiological Anthropology」(オープンアクセス:https://jphysiolanthropol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40101-023-00349-w)に掲載されました。看護師の離職リスクを予測するために唾液バイオマーカーが有用であることが示された本研究成果は、看護師不足に直面する現代社会において大きな価値を持つものといえます。今後は、唾液バイオマーカーという客観的な指標を用いた、手軽な体調管理サポートが可能か、引き続き研究を行っていきます。
- [1]ストレスホルモンの一種である。
- [2]本実験においては、就業継続に消極的で、しぶしぶ働いている状態のことを指す。
担当者紹介
研究テーマ:バイオセンシングの研究開発
担当者:志賀 孝宏
コメント:バイオセンシングの研究開発を担当しています。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーション推進本部 デザイン・ラボ2
bio-contact@nes.jp.nec.com
