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活動紹介
核酸アプタマーとは一本鎖DNA/RNAが立体構造を形成し分子認識する核酸で、進化工学的手法で作製します
アプタマーは自然界ではリボザイムやリボスイッチとして機能しており、抗体に比べて種々の利点をもっています。
また、アプタマーは約40塩基(分子量15k程度)程度に小型化可能であり抗体よりサイズが小さいという特徴があります。
アプタマーはSELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)法とよばれる進化工学的手法で作製されます。
具体的には、様々な配列から構成される「プール」とよばれる1本鎖DNAをターゲットが固相化してあるビーズと混合させます。ターゲットに結合しない1本鎖DNAを洗浄して除き、ターゲットビーズに結合している1本鎖DNA(クローン)を取り出し、PCRで増幅して次のラウンドのプールを作製します。
このサイクルを繰り返し、洗浄の回数やターゲットの量をコントロールすることで、ターゲットに強く結合するクローンが残っていくようにします。
アプタマーに適した修飾核酸(Base Appended Bases(BAB)modified DNA)の開発
一般的にアプタマーは天然のDNAやRNA(天然核酸)から作製されますが、ターゲットに強く結合するアプタマーを作製するために、塩基部分にアミノ酸などの別の分子を化学合成した塩基(修飾塩基)を用いることがあります。
私達は群馬大 桑原博士(現、日本大学)と共同で、JSTからの助成(A-STEP)を受け、天然核酸の塩基部分に塩基を修飾するという新しい修飾核酸(BAB-DNA)を合成に成功し、知財化(特許第6763551号ほか)しました。
BABを用いた核酸アプタマーは、同じ配列でBAB部分を天然塩基に置換したものと比べ、複雑な構造を取ることができることがわっています。
天然塩基に置換したものはターゲットに全く結合しなくなるため、BABアプタマーの複雑な構造がターゲットへの結合に関与していると考えられます。
NESにおけるアプタマー開発の特徴とこれまでに開発したアプタマー
私達は1012~14種類のDNAプールから生化学実験と情報解析技術を組合せてアプタマーを効率的に開発することができます。特に、
- 生化学実験では、アプタマーに適した独自の修飾塩基を使用している。
- 膨大なアプタマー候補配列を探索し、配列を最適化するための解析技術を持っている。
これらの技術を使い、これまでに唾液中のバイオマーカーやウイルスの表面タンパク質に強く結合するアプタマーを取得しています。
アプタマーを用いた検出技術の開発
私達はアプタマーを用いた標的分子の検出技術の研究も行っています。
核酸が酵素のように働くDNAzymeとアプタマーを組み合わせることで、標的分子がアプタマーに結合するとDNAzymeが働いて発色する仕組みや、アプタマーが小型であることを生かした蛍光偏光法による標的分子の検出方法などを開発しています。