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第94回日本産業衛生学会にて、睡眠日誌アプリの研究成果が優秀演題賞を受賞しました
DATE:2022.02.22
研究テーマ:心理学的行動変容
COVID-19の影響で人々の睡眠はどう変わったか?
2021年5月から6月にかけてオンライン開催された第94回産業衛生学会にて、我々が開発した「睡眠日誌」アプリを用いた研究成果の発表を行いました。オンライン開催ということもあり、どれほど多くの方に発表を見て頂けたかはわかりませんが、ありがたいことにこの発表が「新型コロナウイルス感染症関連セッション優秀演題賞」を受賞しました。

過去に行ったユーザデータの分析からは、「睡眠日誌」アプリの継続利用により、睡眠・覚醒リズムを乱す生活習慣が減少することが示されています。しかし、昨今のCOVID-19による新しい生活様式において、人々の生活スタイルは大きく変化しました。テレワークやオンライン授業の拡大により、睡眠時間や眠りの深さの変化を感じる人は少なくありません。
そこで今回の研究では、2018年から2020年にかけて収集された「睡眠日誌」アプリユーザのデータを分析することで、COVID-19感染拡大期(緊急事態宣言中)における人々の睡眠の特徴を明らかにしました。具体的には、緊急事態宣言下においては、睡眠覚醒リズムの規則化や睡眠負債の解消といった良い変化もみられた一方で、不眠症状や入眠困難を訴える人の増加も確認されました。このことから、COVID-19感染拡大の影響下では、入眠の質を向上させる生活習慣に着目し、日中の習慣や就寝前の行動に関する健康指導が必要であることを提案しました。この発表が、睡眠改善の視点からCOVID-19感染拡大の影響下における健康問題の解消に貢献したと評価され、上記の受賞に至りました。
「睡眠日誌」アプリの基本的な機能として、睡眠の質を向上させるための習慣を学ぶことができたり、それらの習慣の有無を記録したり、その記録を閲覧して改善に役立てたりすることができます。今回の研究結果より、「睡眠日誌」アプリは、入眠の質を向上させる習慣の形成に活用することで、平常時のみならずCOVID-19感染拡大の影響下といった特殊な生活様式においても有用であると考えられます。
「睡眠日誌」アプリは、幅広い一般ユーザに利用して頂いており、今もなおデータを収集しています。今後もさらなる研究知見を蓄積し、その成果を公表するだけでなく、より皆様のお役に立てるよう機能改善に役立ててまいります。
担当者紹介
研究テーマ:心理学的行動変容
担当者:市川 玲子
コメント:心理学の研究開発や研究支援をしています。博士(心理学)・公認心理師です。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーション推進本部
cft-sleep-contact@nes.jp.nec.com
