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認知症ケア支援研究の活動内容をご紹介します

高齢者の気持ちを考慮したケアの取り組みを支援するICT技術を検討しています

DATE:2018.08.24
認知症ケア

近年、高齢化社会により介護を必要とする人は年々増加しており、その中でも認知症患者の増加が社会的な課題となっています。2012年には高齢者の認知症患者数は約462万人と推計され、2025年には700万人以上(65歳以上の高齢者の5人に1人)になると予想されています。

認知症高齢者の介護は、認知症の人が示す不適応行動により介護者に大きな負担があり、一方で認知症高齢者にとっても、介護者の不適切な対応によりストレスがかかり症状が悪化します。
そのため近年は、高齢者を尊重し、高齢者の立場に立ったケア(介護)が注目されています。政策面でも、厚生労働省が介護サービスに関する検討会での議題に「高齢者の満足」を取り上げるなど、介護において高齢者の気持ちが重視されつつあります。

高齢者の気持ちを考慮して適切なケアができれば、高齢者の心理状態が良くなり症状も改善し、たとえ認知症になったとしても幸せに生活を送れることができると考えています。

そこで、高齢者の気持ちを考慮したケアへの取り組みをICTで支援できないかと考えて、10件程度の介護施設を訪問して現場の課題、特に高齢者の気持ちを考慮したケアの課題、について、経営者の方々にお伺いしました。

介護施設を見学させて頂きました。
介護施設の様子です。皆さんが幸せな生活を送れるようなお手伝いをしたいですね。

現場で重要視していることをお伺いしたところ、施設の収益よりも高齢者の状態、特に心理面を重要視していることが分かりました。やはり現場でも高齢者の気持ちが重要と考えているようです。

また高齢者の気持ちを考慮したケアに取り組む上での現場の課題をお伺いしたところ、

  • 介護記録作成の負担が大きく、細かな状況を記録共有できていない
  • ケアは介護者のスキルに依存している

などの意見が聞かれ、高齢者の気持ちを考慮したケアに取り組むには介護者の手間やスキルを要するという課題があることが分かりました。

そこで、これらの課題をICTで解決することで高齢者の気持ちを考慮したケアに取り組む活動を支援できないかと考えており、現在は介護施設において、私たち活動メンバーが得意とする画像認識等のメディア処理技術やAI技術を生かした、以下の2つの支援を検討しています。

① 介護記録作成の効率化
位置情報を利用することで、いちいちメモやスマホ端末へ記入する必要なく、いつ誰にどのような介護を実施した等の簡単な介護記録を自動的に作成します。これにより、細かな状況の記録共有に時間を割けると共に、介護職員の高齢者へのケアの時間が増えることが期待できます。

② 高齢者の気持ち(満足)の見える化
カメラを利用して、笑顔や会話などの高齢者の日常の様子を分析することで、介護者の主観や観察のスキルに依存せずに、高齢者の気持ち(満足しているか)を可視化します。これにより、高齢者の気持ちを踏まえてケア方針を検討でき、高齢者に適切なケアを提供できることが期待できます。

これからも、現場の方々と連携して社会に役立つ価値の実現に取り組んでいきます!

担当者紹介

研究テーマ:認知症ケア支援
担当者:小泉 博一
コメント:高齢者介護の分野、特に認知症の高齢者に対するケアに関する研究を担当しています
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ 社会行動理解グループ sbu-contact@nes.jp.nec.com