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ATD-ICE 2018に参加してきました!(第2回)
第2回 従業員は会社を辞めるんじゃない。
上司から、離れたいんだ
DATE:2018.09.07
研究テーマ:エンゲージメント
こんにちは、エンゲージメントの研究をしている山本です。
第1回からだいぶ日にちが空いてしまいましたが、少しずつ追記していきたいと思います。
今回からは、私が見たセッションの中で、気になったセッションをやや詳しくお伝えしていこうと思います。
今回は、MindGym社のRace氏のセッション「SU204: Buddy, Bully, or Boss: The Dark Side of Leadership Behavior」をご紹介します。
組織が崩壊していく理由の説明で、衝撃的でした。

従業員は会社を辞めるんじゃない。上司から、離れたいんだ!
米ギャラップ社の従業員エンゲージメント調査によると、上司と気軽に話せる人ほどエンゲージメントが高いそうで、離職の理由の50%は上司関係だそうです。
ところが、リーダーシップの研究では、「リーダーシップはどうあるべきか?」が主に研究されていますが、「リーダーシップはどうあってはならないか?」はあまり研究されていません。
そこで、Race氏は、リーダーシップの“負の側面”を調査研究することにしたそうです。
図はRace氏の公開資料を基に著者が作成

毒のトライアングルで組織はダメになる!
Race氏は、リーダーシップの研究者なので、リーダーの間違った行動に着目しました。しかし、ダメなリーダーがいるだけなら、優秀な参謀役などがいれば、まだ組織崩壊には至らないことが分かりました。そこで、組織崩壊に必要な条件を調べ、次の3要素が組み合わさった状態を「毒のトライアングル」と名付けたそうです。
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機能不全リーダー(dysfunctional leader)
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影響を受けやすいフォロワー(susceptible followers)
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悪を許容する文化(permissive culture)
図はRace氏の公開資料を基に著者が作成

悪い文化で、さらにダメになる
このように、間違いがまかり通ることが続くと、それが悪を許容する文化として定着してきます。このような文化は、一度出来上がるとなかなか変えられません。新しい人物が入って来ても、大抵の場合、一人では何もできず、悪に染まるか脱落していくことでしょう。こうして、毒のトライアングルが完成し、上司も間違いに気づくことができずに悪循環から抜け出せなくなります。このような組織は、法的・倫理的・道徳的に間違ったことをしていても許容されるため、非常にリスクの高い状態になります。
風通しの良い文化を創ろう!
このような悪循環を抜け出すには、とにかく「声を上げよう」ということでした。セッションでは、時間の都合上、詳しい説明が無かったので、推測になりますが、上述したように「言っても無駄な雰囲気」を払拭するためだと思います。資料では、「職権乱用を管理する」や「いじめ行為を防ぐ・封じ込める制度を創る」などの必要性が言及されています。
まとめ
お気付きの方もいると思いますが、毒のトライアングルはGoogleによって重要性が確認された「心理的安全性」を壊す仕組みになっています。なので、山本は、毒のトライアングル「機能不全リーダー、受容してしまうフォロワー、悪を許容する文化」を反面教師として覚えておこうと思いました!
次回は、別のセッションを紹介したいと思います!
担当者紹介
研究テーマ:エンゲージメント
担当者:山本 純一
コメント:元物理屋、元プログラマー、元スパコン屋なのに、なぜか組織を研究しています。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ ウェルビーイングAIグループ
