みなし残業とは?2つの意味やメリット・デメリット、導入時の注意点も解説 | NECソリューションイノベータ

サイト内の現在位置

コラム

みなし残業とは?2つの意味やメリット・デメリット、導入時の注意点も解説

UPDATE : 2021.04.09

「みなし残業」という言葉を聞いたことがある方は少なくないと思います。
しかし、みなし残業には、「みなし労働時間制」と「固定残業代制」と2種類あり、それぞれの違いや中身を知っている方は多くないのではないでしょうか。
この記事では、みなし残業制度の導入を検討されている企業の担当者の方に向けた内容をご紹介。みなし残業の種類やメリット・デメリット、導入時に気をつけるポイントなどを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

INDEX

人事総務・経理、働き方改革の
ホワイトペーパー

  • ホワイトペーパー

    在宅勤務の3大課題をいかに解決するか?

    「コミュニケーション不足」「生産性の低下」「隠れ残業」実はこうした課題にはある共通の解決策があるのです。

  • ホワイトペーパー

    テレワーク状況に関するアンケート調査結果報告書

    人事・経理・情シスの実務担当者約1000人に、コロナ禍のテレワーク事情についてアンケートを実施いたしました。

みなし残業とは?

一般的に「みなし残業」は、大きく分けて「みなし労働時間制」と「固定残業代制」の2種類に分類されます。1つ目のみなし労働時間制とは、1日の労働時間を決めて、そのみなし時間分の給与を従業員に支払う制度です。例えば、企業と被雇用者が「1日8時間労働」で合意した場合、9時間働けば、超過した1時間分をみなし残業とします。社外での仕事が多く、実際の労働時間を確認しづらい営業職などに適用されます。
2つ目の「固定残業代制」とは、実際の労働時間にかかわらず、月々の基本給や年俸に固定の残業代が含まれているとみなす制度です。原則として、月に何時間分の残業代が含まれるのかを定めておく必要があり、この予め決められた時間分の残業をみなし残業と呼びます。

みなし残業の仕組み

みなし残業(固定残業代制)を導入している場合、以下の割増賃金が給与に含まれているとみなされます。

  • 労働基準法に則った1日8時間、週40時間を超える時間外労働に対する割増賃金
  • 夜10時から朝5時までの労働に対する深夜割増賃金
  • 休日に出勤して行う労働に対する割増賃金

これらの割増賃金をみなし残業代として予め給与に含めて支払いますが、設定したみなし時間を超える残業が発生した場合は、その超過分の残業代を支払う必要があります。

みなし残業(みなし労働時間制)の3つの種類とは?

実際に働いた時間にかかわらず、予め定めた時間分の労働を行ったとみなす、みなし労働時間制の種類をご紹介します。

事業場外労働

社外での業務が多い職種で、企業が社員の労働時間を正確に把握することが困難な場合に多く利用されます。具体的には、「事業場外での業務が中心となる」、「会社からの詳細な指示や管理が行いにくい」、「実際の労働時間の算定が難しい」といった要件を満たすことで適用されます。
想定される職業は、外回りの営業職や旅行会社の添乗員、バスガイド、テレワーク・在宅勤務者などです。事業場外労働に加えて社内に戻ってから労働を行った場合もみなし労働時間に含まれます。

専門業務型裁量労働制

労働時間の配分や業務進行などについて、企業側が細かな指示や管理を行うことが難しく、社員の裁量に任せたほうが効率的に業務を遂行できる職業に適用されます。
対象となる職種は、新技術や科学系の研究者、情報処理システム関連職、弁護士などの各法曹、公認会計士、テレビやラジオなどのプロデューサー、コピーライターや編集者、デザイナー、インテリアコーディネーター、中小企業診断士、建築士など、厚生労働大臣から指定された19種類の特定専門職です。

企画業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制と同じように、労働時間の配分や仕事の進め方などを労働者個人に任せることで、より良い成果につながったり、業務の効率化が期待できたりする場合に適用されます。
ただし、対象業務は、経営企画や財務・経理、人事・労務、広報、生産、営業領域の調査・計画・企画・分析といった分野に限られます。

裁量労働や事業所外労働でなくても「みなし残業」導入は可能?違法性はない?

みなし残業を適切に運用していくための条件などを見ていきましょう。

労働基準法の要件を満たしていれば導入可能

「みなし残業時間制は違法ではないか」という先入観を持たれることもありますが、必ずしもそうとは言えません。事業場外労働や裁量労働に当てはまらなくても労働基準法の要件を満たせば、実はどの企業でもみなし残業時間制を導入できますし、会社独自の就業規則も設定できます。

適法であるための「みなし残業」の条件

みなし労働時間制・固定残業代制を導入する場合、適法であるための条件は以下となります。

  • 従業員に対して労働条件・就業規則を明示している。
  • 基本給と残業代が明確に分けられている。
  • 規定時間の超過分には差額を支払う。

みなし残業を導入するメリット

みなし残業制度の導入によって、どんなメリットがあるのか解説します。

残業代の計算の手間が省ける

予め定めた時間内の残業であれば別途残業代が発生しないため、社員個別の算定業務が不要となり、賃金処理の効率化を図ることができます。

人件費の見通しが立ちやすくなる

どの企業にとっても大きなコストとなる人件費。みなし残業制度を導入することで、月ごとの残業代の変動が抑えられ、年単位の人件費の見通しが立てやすくなります。

従業員の業務効率が上がる

勤務時間内の労働だけであっても残業代が受け取れるので、定時に上がれるよう仕事を効率的に進めるなど、社員の意欲向上につながります。仕事が遅い社員ほど、残業代で収入が増えるという不条理が回避できるのもメリットです。

従業員が安定した収入を得られる

固定の残業代が毎月の給与に含まれるため、残業時間が少ない月でも同額の残業代が受け取れ、収入が安定しやすくなります。給与に変動がないことで、生活の見通しが立てやすくなり、収入の増減を心配する不安感の払拭にもつながります。

みなし残業を導入するデメリット

みなし残業制度の導入で考えられる、デメリットについても見ていきましょう。

従業員が残業していなくても残業代の支払いが発生する

企業側のデメリットとしては、従業員の労働時間が就業規則で定めたみなし残業時間を下回る月でも、一定の残業代を支給しなければいけないこと。場合によっては、みなし残業制度を取り入れる以前よりも人件費が高くなる可能性があります。

規定時間は残業しなければならないと誤解される場合がある

強制的に残業をしなければならないと思われがちですが、必要がなければ当然、定時に帰宅しても構いません。社内が帰りづらい雰囲気になるのを防ぐためにも、誤解のないよう十分に説明することが重要です。

サービス残業を促進させる可能性がある

設定したみなし残業時間を超える残業が発生した場合、超過分の残業代は別途支払わなければなりません。しかし、「規定時間以上は残業代を申告できない」といった間違ったルールが浸透しているケースもあります。こうした誤認はサービス残業の温床を招く原因になりかねません。

みなし残業で違法になるケースは?企業が注意すべき点

みなし残業制度を導入する際の法律に則った運用の重要性を解説します。

雇用契約書・就業規則・募集要項などに必要事項の記載がない

雇用契約書や就業規則、人材の採用における求人広告に、必要事項を記載していないと違法とみなされる可能性があります。いずれの書面においても、下記すべての項目を明示しておかなければなりません。

①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間数と金額
③固定残業時間を超える残業や休日の労働および深夜労働に対して割増賃金を別途支給

従業員の労働時間を正しく管理・把握できていない

設定したみなし残業時間を超える残業や深夜労働、休日出勤を社員が行った場合、別途割増賃金を支給する必要があり、労働時間の把握を怠ると違法にあたる恐れがあります。労働基準法では、雇用主は従業員の労働時間を正しく管理する責務があると規定されているので、適切な対応が欠かせません。

(関連記事:「勤怠管理の必要性とは?管理方法や問題点、勤怠管理システムの導入についても解説」

基本給が最低賃金を下回っている

固定残業代を含めた月給を設定する場合、基本給を下げてその分を固定残業代で補う形で金額を決めると、最低賃金法に抵触する恐れがあります。厚生労働省が定めた都道府県別の最低賃金を下回らないよう計算し、適切な金額設定を行うことが重要です。

時間超過分の残業に対して差額を支払っていない

設定したみなし残業時間を超える残業を行った場合、その超過分の残業代を支給しなければなりません。例えば、20時間分の固定残業代を支給されている従業員が30時間残業した月は、みなし残業時間を超えた10時間分の残業代を別途支払う必要があります。

給与明細に残業時間数・みなし残業代が記載されていない

みなし残業制度の運用においては、給与明細に固定残業代の金額やそれを超えて残業した時間を記載する義務があります。超過分の残業代の未払いを防ぐためにも、労働時間を正確に把握しましょう。

月45時間を超える残業時間を「みなし残業」としている(36協定の超過)

36協定とは、法律で決められた労働時間を超えて残業する場合に従業員と会社の間で結ぶ取り決めのことです。36協定で定められた時間外労働は、月45時間以内とされています。特別条項をつけることで、上限時間の延長はできますが、あくまで一時的に許可されるものです。原則として、45時間を超える固定残業を設定することはできません。

みなし残業を導入する際に留意するポイント

みなし残業制度の記載方法やみなし残業代の設定方法などについて解説します。

求人広告への表記の仕方

2017年に「職業安定法」という法律が改正され、みなし残業制度を導入している企業は自社の求人広告において、その内容を記載することが義務化されました。明示する必要があるのは下記の5つの項目です。

①みなし残業代の金額
②設定する残業時間数
③みなし残業代の計算方法
④みなし残業代を含まない基本給の額
⑤みなし残業時間を超える残業を行った場合、超過分の残業代を別途支払うことを明記

会社と従業員間のトラブルを未然に防ぐためにも、みなし残業制度の詳細について適切な記載を徹底することが重要です。

みなし残業代の設定方法

みなし残業代の金額を設定する際は、下記の3つの項目に留意します。

①みなし残業代の金額と対象となる残業時間数を決める
②みなし残業代の対象となる残業時間数は月45時間以内とする
③みなし残業代を含めた月給を設定する際は、労働基準法に定められた最低賃金を下回らない基本給とする

これらの内容をクリアしていないと違法となる可能性があるので、適切な対応が不可欠です。

雇用契約書・就業規則へ明記すべきこと

みなし残業制度を導入する場合、雇用契約書や就業規則に以下の項目を記載する必要があります。

①みなし残業代が割増賃金の支払いとして支給されること
②みなし残業時間を超えた場合、超過分を別途支給すること
③みなし残業代が時間外割増賃金、深夜割増賃金、休日割増賃金のどれに該当するのかの内訳
④みなし残業代の金額を毎月の給与明細に記載すること

給与明細へ記載する内容

みなし残業代を基本給に含めて給与明細に記載すると違法にあたる恐れがあります。そこで社員に配布する給与明細には、みなし残業代の金額および残業時間数を明確に区別して記載するよう徹底しなければなりません。

勤務先に未払いの残業代を請求する方法は?

勤務先に未払いの残業代を請求する方法をいくつか解説していきます。

勤務先と話し合い・交渉をする

まずは勤務先の上司に超過分の残業代の未払いがある実態を伝え、支給を受けられるよう相談することが大切です。その際に残業時間が正確に記録された証拠(タイムカード、出勤簿のコピーなど)をそろえておくとよいでしょう。未払い分の残業代が算出できたら、支払ってくれるよう会社側と話し合い、しっかりと要請します。

内容証明郵便で勤務先に請求書を送る

話し合いで解決しない場合は、勤務先に内容証明郵便で請求書を送付します。内容証明には、「◯◯の理由で◯◯円の残業代が支払われていないため、その超過分の残業代を請求する」といった具体的な理由と請求額を明記することが重要です。
残業代請求の時効は2年間。しかし、1回でも内容証明郵便で請求を行えば、それを一時的に止められるメリットもあります。

労働基準監督署に相談・報告する

一人で会社と交渉する自信がない場合は、労働基準監督署に報告するのも一つの方法です。労働基準監督署では電話での相談を受け付けており、匿名で通報できるので、個人を特定されずに会社への未払い要請が可能です。行政が動くことで対応してもらえる期待値も高まります。

労働審判を起こす

上記の方法でも残業代を支払ってくれない場合は、労働審判を起こす最終手段があります。労働審判とは、企業と労働者の間で起きた労働問題の解決を目的とする裁判所の手続きです。一般的な裁判だと解決まで年単位の時間を必要としますが、労働審判は申し立てから審理終結まで平均2ヶ月と早期解決が可能です。手続き自体は簡単で、穏便な解決も期待できます。

まとめ

今回は、みなし残業制度の意味や特徴、メリットやデメリット、導入の際の留意点などについて解説しました。長時間労働の是正や人件費削減などの経営最適化のために、みなし残業制度は今後多くの企業に活用されていくでしょう。
導入を検討されている企業担当者の方は、本記事で紹介したポイントをぜひ参考にしてください。

みなし残業制度の導入の際は、勤怠管理システム「勤革時」をご活用ください。
働き方改革関連法案に対応した標準機能を搭載し、導入企業数は約16,000社もの豊富な実績があります。PCとインターネット(VPN不要)だけで利用可能で、サポートスタッフが就業規則に合わせた設定・運用をサポートするサービスがあるのも信頼を集めるポイントです。

NEC 勤怠管理システム「勤革時」の詳細はこちら