AI-OCRとは? メリット・デメリットから活用事例、選び方まで徹底解説 | NECソリューションイノベータ

サイト内の現在位置

コラム

AI-OCRとは?
メリット・デメリットから活用事例、選び方まで徹底解説

UPDATE : 2021.11.26

企業のデジタルシフトや働き方改革を妨げる一因となっている “紙の書類”をデジタルデータ化するAI-OCR技術。業務効率を向上させ、生産性を高める解決策の一つとして注目を集めています。AI-OCRとは何か、具体的には何ができるのか、メリットやデメリット、導入する場合の注意点、さらに活用事例から自社に合う選び方まで詳しく解説します。

INDEX

AI-OCRとは? 
文字認識の精度向上で業務効率化を推進

AI-OCRとは、紙の書類をスキャナーなどで取り込みテキストデータ化する「OCR」に、「AI」を融合させた技術のことをいいます。AIを組み合わせたことにより、文字の認識精度が大きく高まりました。

あらゆる企業において、デジタル技術を駆使し生産性を高めていくことが求められている中、多くの現場を悩ませているのが、FAXで送られてきた注文書などを人力でデジタルデータ化する作業の効率化です。その解決法の1つとして「AI-OCR」が注目されています。

OCRとAI-OCRの違い

OCRとは「Optical Character Recognition(またはReader)」の略で、直訳すると光学文字認識のことをいいます。スキャナーあるいはカメラで取り込んだ(画像データ化した)紙の書類を解析し、テキストデータ化するという以前から存在する技術です。この解析部分にAIの力を駆使し、劇的に認識精度を高めたのが「AI-OCR」。AI-OCRでは印字されたビジネス帳票(請求書や発注書などの帳票)のほか、これまでのOCRが苦手としていた手書き文字もかなりの精度で読み取ることができます。

また、一部のAI-OCRでは、帳票のレイアウト・キーワードなどの設定情報を元に、抽出したい項目を探してくれます。例えば請求書の場合、「発行日」のキーワードで請求書発行日を、「支払期日」のキーワードで支払予定日を抽出してくれるのです。AI-OCRは書類や送信元によってレイアウトが異なる準定型帳票にも対応してきています。

AI-OCR導入が進んだ背景

AI-OCRが待ち望まれていた背景には、多くの企業で生産性の向上が求められていることがあります。多くの業界では労働力不足が課題となっており、アナログ(紙)からデジタル(データ)への変換作業に人手を割きたくないのは当然のことです。そうした中、従来のOCRと比べて読み取り精度が高く、しかも活用しやすい形にデータを整えてくれるAI-OCRは、待ちに待った存在だったといえるでしょう。

AI-OCRのメリット・デメリット

アナログ(紙)からデジタル(データ)への変換作業を効率化してくれるAI-OCR。ここではそのメリットとデメリットについて紹介します。

AI-OCRのメリット

業務フローにAI-OCRを採用した際のおもなメリットは次の4つです。

①データ入力の作業時間を大幅削減できる

AI-OCRによるデータ化(読み取り処理)は、1枚あたり数秒〜数十秒というわずかな時間で完了します。データ化することで、RPA(Robotic Process Automation)等によるシステムへの入力がしやすくなり、時短効果は絶大です。特に毎月数千枚、数万枚の書類を扱う部署では作業時間の大幅削減が期待できます。

②ミスが軽減でき品質向上につながる

これまでのように担当者が紙の文書を見ながらデータ入力していく方法では、見間違えや打ち間違えなどの入力ミスが避けられず、品質を確保するためにダブルチェックが欠かせませんでした。AI-OCRでも誤認識は避けられないのですが、担当者が誤認識の確認・修正に注力できることもあり、ミスを未然に防ぐ可能性が高まります。

③データ管理や検索が容易になる

AI-OCRと電子ファイリングソフトを組み合わせることによりビジネス帳票をデジタルデータ化することで、データ管理や検索が容易になるというメリットも生まれます。従来は過去の文書を探し出すために、膨大な書類の束の中から必要な1枚を探し出さなければならず、多大な手間がかかっていました。ところが読み取り後のデジタルデータであれば、検索することで瞬時に見つかります。

④ペーパーレス化につながる

取引先から送られてくるFAXを印刷せずにファイルサーバーへ蓄積し、AI-OCRでデータ化するシステムを構築すれば、オフィスのペーパーレス化につながります。

AI-OCRのデメリット

AI-OCRにはデメリットもあります。こうした弱点をきちんと把握した上で導入することも、AI-OCRを上手に活用していく秘訣です。

①文字認識率は100%ではない

AI技術の導入によって劇的に認識精度が向上しているAI-OCRですが、人間の目がそうであるように認識度は100%ではありません。そのため、実際の業務フローに組み込む際は、突合するデータをシステム的に用意しチェックを自動化できない場合、必ず目視で確認するフェーズが必要です。

②対応できないフォーマットも存在する

AI-OCRには、準定型や非定型フォーマットの書類に対応していない製品もあります。送られてくるビジネス帳票がすべて対応した定型フォーマットである場合は問題になりませんが、さまざまなフォーマットのビジネス帳票に対応しなければならない場合は注意が必要です。

AI-OCR導入により効率向上が見込める業務

トータルではメリットがデメリットを大きく上回るAI-OCR。特に経理・会計業務のような大量の細かな数字を取り扱う業務、注文書や納品書など日々膨大な「紙」のやり取りが発生する業務、過去資料など紙や手書き資料のデータ化を求められる業務では、大幅な業務効率が見込めるでしょう。

圧倒的に業務効率が向上した
AI-OCR活用事例

ここではAI-OCRを利用することで、実際に業務効率を大きく改善した導入事例を2件紹介します。

事例①【経理業務】請求書の入力作業を大幅削減、RPA連携で締め日を半分に短縮

ファッション通販の大手企業A社では、請求書の処理にAI-OCRを組み込んだ請求書自動処理ソリューションを導入しました。同社ではそれまでさまざまな形式で送られてくる請求書を一元管理するため、メールなどで送られてきた請求書も一旦印刷した上で、入力・保管する方法を採っていました。

そこで業務の効率化とペーパーレス化を目的に、請求書処理のデジタル化を決意。郵送で送られてきた紙の請求書をAI-OCRでデータ化し、さらにRPAと連携することによって、請求書業務の自動化に成功しました。結果として、締め日に要していた日数が7営業日から3.5営業日へ約半分に短縮できたといいます。

事例②【受発注業務】注文書読み取り業務で3割以上の工数を削減

メーカー向けに受注処理プロセスのBPO(Business Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供するB社では、お客様各社が受け取る手書き注文書の処理にAI-OCRを導入。FAXで受け取った注文書について、AI-OCRでデジタルデータ化する仕組みを新たに提供しました。

これにより、この企業のBPOサービスを導入した大手食品メーカーでは、人力で毎月2万枚以上の注文書を処理していた受発注業務が劇的に効率化。従来に比べ3割以上の工数削減が実現できたそうです。

AI-OCRのタイプと選び方

先の活用事例のように、大幅な業務効率化が期待できるAI-OCR。しかしながら、AI-OCRにはさまざまな製品が存在し、その機能は一様ではありません。AI-OCRによる業務効率化を実現するためには、自社の業務に合った製品を選ぶことが重要です。以下に、そのチェックポイントをまとめました。

文字認識の精度

AI-OCRの文字認識精度は製品によって異なります。認識率は開発メーカー各社が公開しています。印字されたドキュメントを対象としたAI-OCRの場合、90%台後半のものが多いようです。ただし、認識率は保証されていませんので、あらかじめ実際に確認するようにしましょう。

手書き文字・印字への対応

印字と手書き文字のどちらに対応するのか、あるいは両方に対応しているのかもあらかじめ確認しておくべき要素です。製品によって対応の可否がありますので、自社の用途に最適なものを選択してください。また、特定の専門用語に強いなどといった特長を持つものや英語に対応している製品などもあります。

対応している帳票の種類

定型・準定型・非定型のどの形式に対応しているか、事前に確認が必要です。型式の他にも、全てのページが同じレイアウトになっている固定レイアウトの帳票や、明細行の行数など印字内容によりレイアウトが変わる可変レイアウトの帳票といった分類もあります。そのような観点でAI-OCRを選択することが必要で、例えば、同じ請求書でもA社から受領したものとB社から受領したものでは異なるAI-OCRを使うという選択肢もあります。

RPAに連携が可能か

先に紹介した事例にあったように、AI-OCRはRPAと連携させることで、さらに作業効率がアップします。こうした活用を前提とする場合は、AI-OCRがRPAとの連携事例があるか、連携しやすい構造(APIを持っているか等)になっているか、あらかじめ確認しておく必要があります。

また、上記のポイントに加え、事前に実際の帳票を用いて検証(PoC)することが重要です。AI-OCRを本格導入する前には必ず検証を行い、自社で取り扱う帳票でどの程度の認識精度を実現できるかを確認するようにしましょう。

RPA連携と内製化を視野に入れよう

AI-OCRを利用したビジネス帳票のデジタルデータ化は、人力による入力作業の手間削減やミスを軽減するというだけでも充分に効果的なのですが、そのメリットを最大限に活かすのであれば前述したように、RPA連携を視野に入れるべきでしょう。RPAを連携させることで、AI-OCRで読み取ったデジタルデータをシステム上のフォーマットに入力、保存といった次に続く業務フローが自動化できます。

たとえば紙の請求書の読み取りから振り込み処理まで、発注書の読み取りから納品処理まで、などといった業務の自動化が可能です。AI-OCRとRPAの組み合わせによって業務プロセス全体が加速します。

また、自社業務へのさらなる最適化や適用する業務範囲を広げていくことなど考えると、内製化も視野に入れると良いでしょう。自社で開発すれば、より現場のニーズが反映されやすくなります。初期段階では難しい場合でも、本格導入し定着するまでのステップを見据えて検討してみましょう。

まとめ

業務効率向上に大きな期待が寄せられるAI-OCRですが、自社に合わない製品を導入してもその効果は発揮できません。製品の選定や導入にあたっては、専門家のサポートを受けることをお勧めします。NECソリューションイノベータでは、お客様のAI-OCRやRPA導入に向けて、適用診断、検証支援、システム構成支援、環境構築支援、読取定義、人材育成研修などのサポートをご用意しています。まずは相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。

【監修】
NECソリューションイノベータ株式会社
AI-OCR 導入支援ソリューション担当

ソリューションビジネス事業部
第三インテグレーション部
プロフェッショナル
田島 隆行
営業統括本部 第三グループ 
コンサルティンググループ
プロフェッショナル
山口 篤