農地台帳システム導入事例
統合型GISと連携する農地台帳システムを導入し、農地利用状況調査や農地管理、水稲生産計画など幅広く行政対応に活用
課題と効果
農地利用状況調査を正確かつ効率的に行うためGISを活用
江南市様では、平成21年12月の改正農地法施行に伴い、平成23年11月より、農地台帳システム「GISAp Agricultural」を導入しました。改正農地法では、農地の権利取得に係る許可要件の見直し、農地の賃借規制の見直し、農業生産法人要件の見直し、農地の面的集積の推進などが位置づけられました。農業委員会は毎年農地の利用状況を調査することが必要となり、農業上の利用の増進を図るために必要な指導を行うこととなりました。生活産業部産業振興課副主幹の堀尾道正氏は、農地台帳システムの導入について次のように語ります。
「改正農地法の施行により、農地の状況を正確に把握するため農地台帳システムの導入が必要でした。これまでは、都市計画図の紙地図を利用し農地利用状況調査を行ってきましたが、現地で調査すべき農地を特定することができないことも多々あり課題となっていました。正確で効率的に農地の状況を把握し、農業委員会が行うべき指導に役立てるためにも、統合型GISと連携した農地台帳システムの導入が不可欠であると考えるようになりました」
統合型GISと連携可能な農地台帳システムを選定
改正農地法の施行により、農業委員会から農地利用状況調査にGISを活用したいという要望がありました。それを踏まえ議会からは、全庁で地図が利用できる統合型GIS導入の提議があり、市長の決断と指揮のもと事業化が進められました。これを受け、統合型GISと連携する農地台帳システムの導入に向け検討を開始しました。「NECに相談したところ、改正農地法に対応しGISと連携した農地台帳システムがあることが分かりました」(堀尾氏)
NECソフトウェア中部(現NECソリューションイノベータ)は、産業振興課様向けに農地台帳システムのデモンストレーションを実施。農地台帳システムと統合型GISを同時に導入することを提案しました。同時に導入することで、統合型GISで整備する地図や他部署で管理している情報をもとに農地基本台帳データが作成でき、短納期かつコストを抑えた導入ができるというメリットを産業振興課様にご理解いただくことができました。
「デモンストレーションを見て、農地の状況を地図に色分け表示することで農地の利用状況調査が、より正確で効率的に実施できること、また、農地基本台帳の情報のデータ化により、事務効率が飛躍的に向上することが分かり、システム導入の有効性を実感しました」(堀尾氏)
農業委員会業務を完全にバックアップ
江南市様が導入された農地台帳システム「GISAp Agricultural」は、効果的な検索と充実した機能により、台帳管理から地図連携まで幅広くご利用いただけるシステムです。
農業委員会業務の流れに合わせたメニュー構成でスムーズに処理を行うことができます。定期的に使用する検索条件を登録することが可能であり、必要な情報を簡単に抽出することができるため業務の標準化と効率化を図ることができます。
地図連携により農地基本台帳と地図の双方から検索表示することができ、農地の利用状況などの色分け表示も簡単に行えます。
また、お客様独自で管理する項目は、パッケージ標準装備の拡張項目が利用できるため、カスタマイズが不要な汎用性の高いシステムです。
農地利用状況調査での未調査部分が減り、最新データで農業振興に活用
平成23年11月より本格的に稼働した農地台帳システムの導入効果について、堀尾氏はこう述べます。
「GIS連携の利用によって、農業委員会が行った平成23年度、24年度の農地利用状況調査では大きな成果を上げています。従来は、都市計画図を利用して調査を行っていましたが、色分けされた農地図を利用して調査を行うことで、より正確なデータに更新できるようになりました。またシステム上では、地図データと、農地の状況や所有者の情報がリンクしており、調査員のフォローも適切に行えるため、精度の高い調査ができるようになりました。また、これまでは農地基本台帳を紙ベースで管理していましたが、電子データの管理に変えることで、毎年の調査データを反映した最新の農地状況及び使用貸借関係情報等が常に正確に把握できるようになりました。システムについては利便性も高く、非常に役立っています」
任意の調査図等の作成や経年変化を把握した行政対応に活用
江南市様では、農地台帳システムを積極的に活用しています。生活産業部産業振興課農業振興グループの千田尊義氏は、現在進めている活用法について次のように語ります。
「毎年実施している水稲作付け調査や水田台帳の作成にも活用しています。また、農地の利用状況に応じて、任意に色分け表示・管理できる機能を活かして調査図や農地利用図を作成することによって、各種農業行政に役立てていきたいと考えています」
「現在、NECソフトウェア中部(現NECソリューションイノベータ)と検討しているのは、農地利用状況を時系列で把握することです。年度ごとにどのように農地状況が変化してきたのかを把握できれば、今まで以上に効果が得られ行政に役立てることができます。今後の提案を期待しています」(堀尾氏)
(平成25年3月)