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カルチャー変革インタビュー
もともとあった良さはそのままに。カルチャー変革が「今」必要な理由
1万人を超える従業員が集うNECソリューションイノベータにとって、企業カルチャーの醸成は欠かせません。経営企画部カルチャー変革室の渡邊葉一に、どんな企業カルチャーをどのように作り、育て、そしてこれから変えていくのかを聞きました。
統合前から責任感や気概が
カルチャーとして根付いていた
NECソリューションイノベータの根幹となるカルチャーはどのようなものなのでしょうか。
渡邊 当社は2014年に、NECグループのソフトウェア会社7社が統合し誕生しました。2015年にNECソフト沖縄、2017年にはNEC情報システムズも統合し、国内トップクラスの人数のシステムエンジニアを擁する企業となりました。 前身の旧各社は、それぞれNECと事業連携し、官公庁や地方自治体、民間企業のお客様に向けたシステムインテグレーション事業やソフトウェア開発事業を行ってきました。我々を取り巻く環境が大きく変化する中で、社会課題の解決やお客様の事業成長に向けたソリューション・サービスの提供を強化するため、各社のエンジニアを集結させ、より大きな貢献ができることを狙った統合でした。
当社のケイパビリティ(強み)である「実装力」を支えるエンジニアの姿勢や行動は、統合前から培われてきた文化だと感じています。それは、お客様の事業を理解し、幅広い業種・業務ノウハウや高い技術力を活かして事業を展開してきたこと、まさにお客様の課題や実現したいことに真剣に向き合い続けたことの積み重ねによるものではないでしょうか。
お客様としっかりと向き合うことで必要な技術やノウハウを培うこと、幅広い事業領域をカバーする中で各職場が実践してきたこと、それらが脈々とつながり、当社のカルチャー(価値観や行動様式)として根付いているのだと考えています。
コロナ禍によりはからずも
強制的にカルチャー変革に迫られた
COVID-19を経て、世の中が大きく変化しています。企業カルチャーにどのように影響しているでしょうか。
渡邊 VUCAの時代といわれて久しいですが、これまでの価値観が通用しない環境下で、お客様は常に試行錯誤しながら事業を遂行されています。加えてCOVID-19の感染拡大を機に、ICTの活用がさらに加速しました。このような変化の中、我々への期待が変化してきていることを強く感じています。求められるのは、お客様の事業戦略の背景も理解した上で、ICTを用いてその実現に向け伴走する「戦略パートナー」という役割です。一人ひとりのエンジニアに対しても「言われたことを着実に実行する」ことから、「課題を共に考え、最適なものを提供し続ける」ことが求められています。
また、2018年にはNECグループの大改革「Project RISE」がスタートし、社員一人ひとりの成長を支え、促進する諸施策を関係会社とも一体で進めることになりました。当社においても働き方改革など諸施策をスタート。2020年には、10年後を見据えた「NECソリューションイノベータ2030ビジョン」(以下、2030ビジョン)を策定しました。当社がどのような方向性で社会に貢献していくのか、社員一人ひとりと共有したタイミングでもあります。
「自ら考え、自ら行動する文化」を作る
どのようなカルチャーを育て、また変えていくのでしょうか。
渡邊 2021年、2030ビジョンの実現に向けた「第Ⅰ期中期経営計画(2021-2023)」がスタートしました。その中で、2030ビジョンに掲げる「事業基盤の変革」の柱の一つとして、カルチャー変革の推進を企図した「NES Project RISE」を定めました。これは、2019年からスタートした活動を加速させ、当社の最大の資産であり事業の推進力を生みだす人材が、自己実現(自身の叶えたいことが社会にも資すること)し続け、それが組織・会社の成長にもつながることを目指すものです。自律的なマインドの醸成、ワークスタイル・ビジネススタイルの変革、多様性を活かす組織風土の醸成に向けて様々な取り組みを実行しました。
2022年からは、社会にさらなる価値を提供し続け、お客様と共に成長し続けるために「自ら考え、自ら行動する」文化の醸成に取り組んでいます。トップマネジメントが環境整備を図る「公助」、ミドルマネジメントがミドルアップダウンと共に社員一人ひとりの成長を支える「共助」(コーチング)、社員が自らの成長への高い意識を持つ「自助」と、3つのレイヤーがそれぞれの役割を果たす「三位一体経営」を全社方針としています。
具体的な取り組みについてお聞かせください。
渡邊 まず、会社の方向性や戦略の浸透に向けた共通の認識づくりが重要だと考えています。先に触れた3つのレイヤー毎に、社長との意見交換や対話の機会を設けています。事業の最前線の社員はもちろん、トップマネジメントである執行役員や事業部長まで、各レイヤーにおける悩みや課題とその解決に向けたテーマを設定しています。例えば、執行役員・事業部長を対象に、中長期的な成長に向けた事業課題をテーマとして、社長との対話を行いました。お客様に対してより価値の高いサービス・ソリューションを提供し続けるために、どのように組織として価値を高めていくかなどについて、真剣に意見を交わし合いました。このような機会を提供し続けることで、会社の方向性や取り組みの背景に対する理解が深まり、会社としての総合力を高めることに繋がっていくと考えています。
幅広い事業領域をカバーする当社では、担当領域によって組織の課題が異なります。組織や部員がそれぞれの課題と向き合って進める自律的な変革活動を「MeRISE(ミライズ)」と銘打って推進しています。社員一人ひとりの可能性を引き出しつつ、強い組織づくりに向けた活動とするために、社員の声に耳を傾けながら進めています。トップダウンではなく、若手社員や中堅社員の声から生まれた活動も多く、一人ひとりが組織を作るキーパーソンとして活躍できる風土醸成にもつながっているのではと感じています。
その他、社員がパフォーマンスを最大限に発揮し、自身のキャリア形成につなげていくために、会社として必要な環境を提供し続けることも重要です。働く時間・場所を自律的にデザインできるようなインフラ環境や制度の整備、より生産性を高めるためのIT環境の整備、将来を見据えたエンジニアリング開発手法の確立のほか、ダイバーシティ推進や健康経営の促進など。社員の声も取り入れながら、コーポレート部門が主体となり社員の活動基盤の整備・強化に努めています。これらの取り組みによって、「健康経営優良法人2023」認定や「第6回日経スマートワーク経営調査」の総合評価★4の取得、「D&I AWARD 2022」の最高位「ベストワークプレイス」認定など、社外からも高い評価をいただいています。
取り組みの効果はどのように表れていますか。
渡邊 エンゲージメントサーベイを継続的に実施し、社員の声をベースにPDCAを回しています。カルチャー変革活動をスタートした頃から計測していますが、当初は国内のIT業界平均からは大きく引き離されていました。各要因に関するスコアや社員の声をベースに、改善を行ったところ、直近の測定においては国内のIT業界平均のみならず、日本企業の平均を上回るスコアまで向上しました。
スコアの詳細や経年変化を見ていくと、当社の強みや変化などもわかってきました。例えば、上司に関する質問では、「上司に意見を言いやすい」などコミュニケーションの取りやすさは業界との比較でも高い傾向にあります。私は統合以前に中途入社しましたが、転職したときに「違う意見でも意見が言いやすい環境だな」と感じたことを思い出しました。さらに2020年からは月に一度、全社員が上司と1on1を行っていることもあり、上司と意見を交わしやすい文化の醸成につながっていると推察しています。 その他にも「一人ひとりに権限移譲がなされていること」や「キャリア形成に資する制度が整備されている」ことも高い傾向にあり、そのような環境によって社員自身が尊重されていると感じてもらえているのではないでしょうか。それがエンゲージメントのスコアにも反映されていると感じています。
課題も見えてきています。上司と意見を交わしやすい環境ではありますが、「もう一段レベルを上げるためのフィードバックがほしい」という声は根強くあります。 そのような声に応えるため今年度から、ミドルマネジメント層のコーチング力を強化する施策を展開しています。今年度から3か年で共通認識を深め、スキル醸成を継続的に図ることを目指しています。
お話ししたのはごく一部ですが、変化していくお客様の期待に適応していくためのベースとなる環境は、これまで培ってきたものだと個人的には感じています。今は、そこからさらに一段上のチャレンジを行っていく段階です。社員が声を上げていくことで、より良い環境が作られ、それが社員一人ひとりの働きがいやキャリア形成を通じて、社員のWell-beingにつながっていくと信じています。
これまでに培ってきたカルチャーをさらに社会に貢献できる形に進化させたい。それが企業カルチャーの変革に携わる私の使命だと思っています。 一人ひとりが誇りを持って活躍し続けられる、魅力ある企業になることを目指して、社員とともに進化し続けていけたら嬉しいです。
UPDATE:2023.12.18