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「LGBTQに対して特別な配慮は必要ない」プライド月間に考えたい“ありのままを受け入れる”生き方


NECソリューションイノベータでは、性的指向・性自認(ジェンダーアイデンティティ)に関わらず、誰もが自分らしく安心して働ける職場を目指し、LGBTQに関する正しい理解とAlly(支援者・理解者)を増やす活動を行なっています。その一環として、6月19日に『プライド月間に考えたい“ありのままを受け入れる”生き方』をテーマにイベントを開催しました。
身を挺して守ってくれた上司がいたから今がある
イベントに登壇したのは、デジタル企画本部に所属する甲斐誉隆です。新卒で大手銀行に就職し、銀行の統合を経験しながら約10年間バンカーとして勤務。その後戦略コンサルティングに転職、さらに自ら会社を立ち上げて複数の会社を経営します。しかし、40代で家族の介護が必要になったタイミングで「親孝行の時間を取ろう」と決心し、働き方を大きく変えました。その後、NECソリューションイノベータにキャリア入社しました。
まさに「多様性のある」キャリアを歩んでいる甲斐は、人生最大の転機のひとつに、銀行員時代の上司との出会いを挙げました。影響の大きさは「この人がいなかったら自分の今はない」と言い切るほどです。 「営業のイロハは上司から徹底的に教わりました。日常の業務から仕事のトラブルを収めてもらうことまで、さまざまな面でお世話になりました。年の離れた上司で、自分が獲得したお客さんや業績も全部部下の成果にしてくれたんです。『俺のキャリアはもう短いからこれでいい。そのかわり、甲斐が将来後輩を持ったら同じようにしてやれ』と言って。おかげで僕の営業成績は全国トップになりました」
「今でも昨日のことのように覚えているエピソードがあります。ある時、融資をお断りしたお客様が苦情を訴えご来店されたことがありました。自身のオペレーションにも規約上も問題はありませんでしたが、上司が『自分に免じて許してやってください』と身を挺して守ってくれたんです。私のために頭を下げてくれたあの姿を忘れることはできません」

何かしなければという衝動に駆られた男子中学生のニュース
甲斐はその後、30代で大手コンサル会社に転職します。しかし時を同じくして、ビジネスの基礎を彼に教えてくれた父親を病気で亡くしました。30代は会社勤務や、自ら会社を起業するなど、仕事に邁進しましたが、40代に入ると、今度は母親の介護が始まるなど、人生を考える出来事が続きました。
そんななかで、あるニュースを見たときに甲斐は自身の考えを改めます。そのニュースとは、LGBTQの男子中学生が自らを傷つけたことを報じるものでした。甲斐自身もバイセクシャルで、LGBTQの当事者の一人です。
「それまでは、自分が楽しければいい、自分が幸せであればいいという感覚で生きてきました。ですが、そのニュースを見たときに、何かしなければという衝動に駆られたんです。あるアンケートでは、10代のLGBTQの子のうち、60%近くが自傷を考えたことがあるという結果が出ています。多感な子ども時代のカミングアウトはリスクが大きく、非常に難しい。だったらその子たちに代わって自分が公表することで、何の役に立つかわからないけれど、1人でも救ってあげられたらと思うようになりました」

数年前にカミングアウトした甲斐ですが、母親に告白できたのはつい最近だと言います。ずっと気がかりだったものの打ち明けられず、ようやく伝えたところ「気づいてあげられなくてごめんね」と言われたのだそう。その言葉を聞いてホッとしたそうですが、打ち明けることがすべての人にとっていいとは限らない、LGBTQの方は無理にカミングアウトしようとしないでください、と話します。伝えることで自分が傷つくリスクもある。本当に伝えたい人に伝えたらいい。自身の経験から紡ぐメッセージです。
「LGBTQは、日本の人口の20%とも言われています。NECグループ全体で言うと、約26,000人がLGBTQの当事者ということになりますが、なかには打ち明けられずに悩んでいる方も大勢いるでしょう。逆に上司や同僚の方の中には、どう接していいかわからないと悩んでいる方もいると思います。ですが当事者の立場から言わせていただくと、お互い何も気を使う必要はありません。特別な配慮も必要ありません。変に気を回すと、当事者も困惑してしまいます。お互いに尊重する気持ちを持ったうえで、ありのままを見て、ぜひそのままを受け入れてみてください」
LGBTQだけじゃない、誰もが多様性の当事者
トークセッションの後半には、多様性についても話が及びました。
「多様性は本来“他の人と異なる特質・特徴を持ったもの”ですが、多様性というとLGBTQの人たちなどを指す傾向があります。本当は人生やキャリアの中で得た経験、考え方、性格や服装の違いも多様性なのに、そういった意味合いで使われることはあまりありません。LGBTQだけでなく誰もが多様性の当事者で、各々の持ち味をうまく使うことで、会社の発展にも貢献できるのではないでしょうか」
最後に「さまざまな違いをもつ方に対して許容や理解が生まれ、結果的に多様性のある組織は強みになります。今後はその多様性をどんどん仕事に生かし、伸ばしていくべきではないでしょうか」と結びました。
LGBTQに対して配慮しすぎなくていい

NECソリューションイノベータでは、これまでレインボープライドへの協賛、婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業を可視化する「Business for Marriage Equality」への参画、社内啓発活動を行なってきました。担当するI&D推進室の佐野寛子は、トークセッションを終えてこのように話しています。
「LGBTQの当事者の話を伺うイベントは以前から開催したいと思っていましたが、本日ようやく実現しました。社員には、“LGBTQの方に対して配慮しすぎなくていい”ということを伝えることが大事だと考えています。多様性は個々の様々な経験や価値観を尊重することであり、特別な配慮は必要ないということを伝えていきたいと思っています。今後もこのような場を積極的に作り、LGBTQに限らずさまざまな価値観や経験を尊重できるカルチャーにしていきたいと思っています」
会場にはレインボーシュガーで彩られたクッキーやアライステッカーが準備され、参加者がスマホ用、PC用と複数のステッカーを手にする場面も見られ、多くの社員がこれを機会にアライへの意思表示と多様性への理解を深めることができました。
インクルージョン&ダイバーシティにおける当社の取り組みは、これからも進化していきます。

【プライド月間とは】
1969年6月にアメリカで起きた事件をきっかけに、毎年6月に世界各地でLGBTQの権利について啓発を促すさまざまなイベントが開催されるようになりました。以来、6月はLGBTQの方々のプライドを祝い、記念する月として「プライド月間(Pride Month)」と呼ばれています。
UPDATE:2023.06.30