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営業をカガクする
変革を迫られたなか成し遂げた営業DXとは
Forbes JAPAN NEW SALES OF THE YEAR 2024「DX推進賞」受賞 

NECソリューションイノベータは、世界的な経済誌の日本版「Forbes JAPAN」が主催する、新時代の営業活動を表彰するアワード「Forbes JAPAN NEW SALES OF THE YEAR 2024」で「DX推進賞」を受賞しました。アナログ中心だった営業方法から、コロナ禍をきっかけに変革を迫られ、全社的に取り組んだDX化が評価されました。受賞に至るプロセスを、営業統括本部とマーケティング推進本部のプロジェクトメンバーに聞きました。
コロナ禍で対面前提の「3K」営業からの転換が急務に
取材の場で、受賞への喜びを語る4人。営業の人数は300人ほどで「規模としてそう大きくはない」と言うのは、営業統括本部 ゼネラルマネージャーの河村博司です。
「このたび、栄誉ある賞に選んでいただけたのは、私たち営業の活動を評価していただけたということでうれしい限りです。社会価値創造をICTで担う当社では、新規のお客様の開拓も常に重要です。営業における手法を、大きく変えざるをえなかったのがコロナ禍の到来でした。従来、対面での商談が当たり前であった現場では、営業担当者それぞれの経験、根性、勘を頼りにした『営業の3K』と呼ばれるスタイルも存在していました。そんななかでコロナ禍となり、お客様との対面での接点が絶たれた状況では、従来の営業スタイルを変えていく必要がありました。社会情勢の変化に対応する必要にも迫られたことから、営業のDX化の推進は急務でした」(河村)

実際の現場でお客様と向き合う営業統括本部 主任の田中里奈は、現場での苦労を振り返ります。
「コロナ禍以前の私の営業スタイルは、お客様と対面での接点ができた後、商材を通してお客様の課題解決に向けたご提案やフォローを実施し、成約までつなげるというプロセスが中心でした。ところがコロナ禍に突入し対面での商談が難しくなり、成約までのほとんどのプロセスがオンラインに切り替わったため、どのように交渉を進めていくべきか試行錯誤しました。現在はリモートと対面のハイブリッドの営業になり、お客様の決裁権者とのやり取りがスムーズになったので、クロージングまでの時間の短縮につながりましたが、このスタイルを確立するまでに時間がかかりました。今回の受賞はそのプロセスまで含めて評価いただいたものだと感じており、大変うれしく思います」(田中)

ウェビナーへの注力でお客様との接点を
展示会やセミナーを通して接点を持ったお客様と商談を重ね、クロージングへと至る。王道の手法がコロナ禍で絶たれました。マーケティング推進本部長の飯島圭一は、お客様との接点のデジタル化を加速させたと言います。
「直近2年間で売り上げが1.5倍になるなど、データドリブン戦略と成果を社外から認めていただけたのは光栄でした。常に有料リードを取り続ける。つまり、お客様との接点を作るのはマーケティング視点での必須課題です。コロナ禍では展示会もセミナーも開けなくなりましたが、それ以前より着手していたウェビナーの全社標準化を進め、顧客接点のデジタル化を加速させたんです。1年継続した結果、顧客接点をほぼ100%デジタルに変えることができました」(飯島)

マーケティング推進本部 DXアーキテクトマネージャーの瀬崎大輔は、展示会やセミナーなどのマーケティング施策において、デジタル活用の手法が定着したと成果を語ります。
「コロナ禍以前より、営業とマーケティングが一体となって展示会やセミナーを実施し、お客様からいただく名刺をデータ化していました。当初は人力でデータ入力を行っていたため、名刺のデータ化に1ヶ月ほど費やすこともあり、そこからメール等でフォローアップしても、なかなか成果に結びつかないという状況が続いていたのです。営業フォローアップのリードタイムを何とか短縮させたいと思い、導入したのが営業DXサービス『Sansan』でした。展示会やセミナーで営業担当者が受け取った名刺をその場でスキャンすることで、翌日には全ての名刺をデータ化し、イベント終了の2、3日後には営業とインサイドセールスが分担してフォローアップを行えるまでに進化させることができました。コロナ禍で一時的に展示会やセミナーを実施できない時期もありましたが、現在は展示会等に加え、ウェビナーにおいても、デジタル活用の定着により次のアクションを促しやすくなりましたし、新たな案件創出につながっていることの効果も感じています」(瀬崎)

遠隔のインサイドセールスは生成AIで自動化
マーケティングと営業が連携して、営業活動の価値最大化を目指す。河村と飯島はそれぞれの立場から、営業DXにおける現状の課題と将来を俯瞰します。
「営業DX化を推進できたとはいえ、効率化や高度化を図れる余地はまだあります。先述した『3K』の意識も残っているのも事実で、営業チーム全体で変化に合った次の営業モデルへ進化させていくのが現在のフェーズだと捉えています。それができれば、当社のソリューションを選んでいただくために、適切なタイミングでお客様とのコミュニケーションを取れるはず。営業チームが一丸となり、さらなるDX化に取り組む必要性を感じています」(河村)

「生成AIによるマーケティングの工数削減も今後必要になると考え、2023年より実験を重ねています。例えば、ニュースメールは、人の手をいっさい加えずに完成できるように自動化を試みました。より高度な部分では、お客様情報や売上げデータなどを関連付けて、特定のお客様が『将来的にどのような製品をほしがるのか』をAIがリコメンドしてくれるような研究もしています。これらはすでに実用段階に入り、2024年度は標準化を進めています。ICTをリードする当社としても、いち早く定着化を図り、国内を牽引していきたいです」(飯島)
瀬崎は「『3K』を大切にしつつ、データを活用してほしい」と言います。
「『3K』は決して悪いことばかりではありません。例えば、お客様の決裁責任者とどのように関係性を築いていくのかは、データだけでは分析しきれず、営業担当者の勘や経験が頼りになることもあります。ただし、『3K』だけに頼っていてはだめで、より精度の高い営業活動を行うためにデータを活用してもらいたいと思っています」(瀬崎)

河村は「従来型の営業ではなく、提案型のコンサルティング営業への転換が必須である」とも。お客様の課題解決やビジネスにおける価値向上をゴールに据えるなかで、指針としているのが「営業をカガクする」というキーワードです。
「すべての営業担当者が、高度な顧客接点をとれることが理想。『営業をカガクする』とは、経営陣から共有いただいた言葉です。経験や勘のみに頼るのではなく、客観的に論理的に、状況やデータから事業を把握し、営業を科学し、お客様への新たな価値に化けていく化学を意味します。
今後もマーケティングと密に連携し、営業をカガクして、お客様の価値向上に貢献していきます」(河村)

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UPDATE:2024.07.22