サイト内の現在位置

「AWS re:Invent 2024」参加レポートVol.2

効率化や自動化が進む未来への実感と危機感

毎年、ラスベガスで開催されるアマゾンウェブサービス(以下、AWS)最大の学習型カンファレンス「AWS re:Invent」。2024年は12月2日から6日にかけて開催され、世界各国から約6万人が会場を訪れました。NECソリューションイノベータからは20名の社員が参加。現地参加したエンジニアの体験談をお届けする第2回は、ソリューションサービス事業ライン 第三PFSI事業部の園田泰子が語る、新情報のキャッチアップや現地での交流についてお届けします。

AWS新サービスをハンズオンで体験

「AWS re:Invent 2024」に参加した感想を教えてください。

園田 この2年ほど、Webアプリケーションの開発やAWS移行に関連する業務を担当していて、普段からAWSサービスをよく利用しています。そうしたこともあり、以前からre:Inventには興味を持っていました。上司から声がかかった時、業務の進行やチームへの影響を考えると、長期間職場を離れることに悩む部分もありましたが、ここで断ったら後悔しそうだなと思い、参加を決めました。
実際に会場に足を運ぶと、モチベーションの高い参加者たちが世界中から集まっているので、その熱気はすごかったですね。また、AWSの新サービスや新機能をいち早くワークショップなどで体験できたことも有意義でした。

園田 泰子(そのだ・やすこ)
ソリューションサービス事業ライン 第三PFSI事業部 主任
2012年、NECソリューションイノベータに新卒で入社。
6年間Webアプリケーション開発に従事し、その後NECへ出向してデータ分析・AI活用提案の支援に携わる。現在はNECソリューションイノベータに戻り、ソリューション開発やお客様のシステムのAWS移行案件を担当。
どんなセッションが印象に残っていますか?

園田 ハンズオン形式の「Workshop」と呼ばれるセッションが面白かったです。特に開発者向けの機能が搭載された、対話型のAIアシスタントサービス「Amazon Q Developer」を使ったデータ分析のセッションは印象的でした。スピーカーによる短い講義のあと、実際にAWS環境で手を動かして分析を行う流れでした。チャット形式のユーザーインターフェイスに「こういう分析をしてほしい」と指示を入力するだけで、自動的にデータの前処理から分析モデルの構築までを実行してくれるのです。これまでのデータ分析ではソースコードを書きながら進めることが当たり前だったので、デモ用のデータとは言え、会話形式で簡単に分析結果を得られることに衝撃を受けました。プレビュー版なのですぐに業務適用とはいきませんが、業務外で試したいと思いました。

自動化や効率化が今後、ますます進むイメージでしょうか?

園田 その通りです。Amazon Q Developerにはユニットテストの自動生成やコードレビュー、ドキュメント生成といった開発者支援機能も搭載されていて、これまで手動で行っていた作業を効率化するツールが次々と登場しています。こうした技術の進化を目の当たりにして、効率化がさらに進む未来を強く実感しました。
ただ、効率化によって生まれた時間をどう活かすかが重要です。本来、私たちが注力すべきは、お客様視点に立った課題解決や提案力を高めることです。そうしたスキルをこれまで以上に磨いていかなければ、市場で戦うのは難しくなるのではないかという危機感を抱きました。

知的好奇心を刺激する出会いも

re:Inventの中でも基調講演「Keynote」は毎年、示唆に富んだ内容が話題になります。

園田 私も参加しました。Keynoteは一番大きな会場で行われ、熱気がすごいと聞いていたので楽しみにしていました。今回は開催期間中に5つのKeynoteがありましたが、中でもAWSの最高技術責任者(CTO)であるワーナー・ヴォゲルス氏の講演が印象に残っています。
ヴォゲルス氏は「システムが拡大するにつれ複雑になることは避けられないが、その複雑さを管理するにはシンプルさが重要」という趣旨を6つの教訓を通じて語られていました。その中で、「何を自動化するかではなく、何を自動化しないか」という視点にはハッとさせられました。手当たり次第に自動化するのではなく、人間の高度な判断が必要な領域を見極め、それ以外を自動化することでミスやリスクを減らせるという考え方です。この教訓は、自分の業務にも応用できると感じましたし、深く心に残りました。

そのほかに印象に残っているセッションはありますか?

園田 「GameDay」と呼ばれる、AWSのサービスを活用して技術的課題を解決するゲーム形式の学習イベントは楽しかったです。私が参加したセッションでは、4名でチームを組み、制限時間内に運用監視に関する課題の解決に挑みました。各クエストをクリアするとポイントが付与され、その合計点を競うスリリングなものでした。私はAWSのソリューションアーキテクトの認定資格を持っていますが、知識として得ている内容と、「AWSのサービスを実際にどう組み合わせて課題解決に活かすのか」といった実務的なスキルの違いを実感する良い機会になりました。

現地では社外の方とどんな交流がありましたか?

園田 最終夜に開催された「AWS re:Play」という野外フェスのような大規模パーティーで印象的な出会いがありました。このイベントは音楽のライブステージやアトラクションエリアなどが設けられており、リラックスした雰囲気の中で交流が楽しめる場です。
飲食スペースで偶然隣り合わせたのが、「AWS Partner Award」を受賞したNGOのメンバーでした。彼らはAWSとパートナーシップを結び、ドローン技術を活用して災害被災地の支援活動を行っている団体です。具体的には、ドローンで撮影した被災現場などの映像を分析し、倒壊した建物の特定や、捜索救助の最適なルートを判断するための研究を進めているそうです。 AWSが提供する映像解析の技術が社会貢献に活用されている事例、さらにはAWSがNGOと提携して事業を展開していることを知り、知的好奇心を非常に刺激されました。
私は英語にあまり自信がなかったので、それほど多くの方と交流をしたわけではありませんが、それでも海外の方々と直接意見交換をするネットワーキングの機会を得られたことは、自分の視野を広げる貴重な経験となりました。

NECソリューションイノベータの社員も参加したようですが、マラソンイベント等のアクティビティもあったようですね。

園田 ラスベガスの街を走る「re:Invent 5K Run」には私も参加しました。早朝、公道を通行止めにして5kmを走るイベントで、本気でタイムを競う方から散歩感覚で歩く方まで、参加の仕方はさまざま。ギラギラと輝くビル群を眺めながらのランニングは清々しかったです。そのほか、「Sports Forum」の会場では、AWS技術をスポーツで活用した事例紹介を聞きました。映像解析をリアルタイムで行い、サッカーのイベントデータ(コーナーキック、フリーキック等)と組み合わせて分析するアーキテクチャは興味深かったです。

危機感を力に変えて、より高い価値を提供

今回のre:Inventの経験を、今後どのように活かしたいですか?

園田 今回の研修を通じて、効率化や自動化が進んでいく未来を肌で感じることができました。同時に、そうした流れの中で自分自身のスキルや価値をどう高めていくべきか、あらためて考えさせられました。先ほどお話した危機感を前向きなエネルギーに変え、お客様により高い価値を提供するための力を磨き続けていきます。
また、re:Inventで得た新しい情報や気づきを、今回参加できなかった事業部のメンバーらに積極的に還元していくことで、チーム全体としての成長につなげられればと思います。

次回はソリューションサービス事業ライン第一PFSI事業部の加藤裕士から、AWSコミュニティビルダーとしての視点で、現地での交流やAWSコミュニティについてお伝えします。

<関連リンク>

UPDATE:2025.2.12