サイト内の現在位置
女性リーダーは“支援される側”じゃない──自ら動き出す力を育む、スポンサーシップ型研修


NECソリューションイノベータは、日経WOMAN「女性が活躍する会社BEST100」に2年連続で選出され、2025年版では、「管理職登用度部門」にも新たにランクインしました。その背景には、女性人材の育成や幹部層の多様化に、長期的な視点で取り組む姿勢があります。
なかでも2024年度に始動した「スポンサーシッププログラム」は、次世代の女性リーダー候補の視座と行動力を育む、新たな育成施策として注目を集めています。
経営幹部が“スポンサー”として選抜メンバーに寄り添い、1on1や上位職の業務を経験するシャドーイング、キャリアについての対話を重ねることで、受け身ではなく自ら動く人材への変化を後押しする取り組みです。今回は、プログラムに参加した2人の女性社員と、運営を担う事務局に話を聞きました。プログラムを通じて彼女たちが掴んだ手ごたえ、そしてこれから挑むステージとは──。
“支援される人”から“動く人”へ──女性リーダー育成の新しい挑戦
NECソリューションイノベータは、「誰もが力を発揮できる公平な環境」「個性が活かされる組織」の実現に向けて、女性管理職の育成に継続的に取り組んできました。2030年度末までに課長職以上の女性比率を、全社員における女性比率と同等の20%、女性役員の比率を30%に引き上げるという目標を掲げているのも、「重要な意思決定の場にこそ、多様な視点が必要」という認識に基づいています。
I&D(インクルージョン&ダイバーシティ)推進の一環として、多角的な施策を展開。女性に限らず誰もが公平に機会を得られる環境を目指して、男性の育休取得促進、管理職層へのアンコンシャス・バイアス研修(無意識の思い込みや偏見に気づくための研修)、全社横断の風土改革などを進めてきました。
今回紹介する「スポンサーシッププログラム」も、そうした流れの中で生まれた実践的な取り組みです。
運営を担った、I&D推進担当の馬場さゆりはこう語ります。
「私たちが取り組んでいるI&D戦略は、環境整備や制度改革にとどまらず、一人ひとりの意識や行動の変化にまで踏み込もうとしています。『スポンサーシッププログラム』もその流れに沿ったもの。制度を整えるだけではなく、経営層と直接関わる中で生まれる“伴走する関係性”が学びや成長を育んでいる。そんな手ごたえを私自身、感じ始めています」

NEC エンプロイーリレーション統括部 主任 ※NECに出向中
2024年度にスタートしたこのプログラムは、執行役員以上の経営幹部が“スポンサー”となり、選抜された女性社員と1on1やシャドーイング(役員の業務に同席・同行し、日々の意思決定やコミュニケーションの様子を観察するプログラムの一環)などを通じて育成を行うというもの。制度設計のモデルとなったのは、社外取締役の佐藤千佳がNECで立ち上げたプログラム。そこに社外のI&D先進企業との情報交換等で得た知見も取り入れ、独自のプログラムを作り上げました。
馬場は、その構成について次のように説明します。
「各事業ラインの幹部と人事が選抜した女性社員を対象に、2024年度は17名がプログラムに参加しました。1年をかけ、スポンサーとの1on1やシャドーイング、社内外の講師による講演などを通して、上位職に必要な視座や行動力を高めていきます。ポイントは、参加者が“支援される側”に留まらず、主体的に動くこと。会議で自ら発言したり、他のスポンシー同士で情報交換したり、気づきや行動をスポンサーにフィードバックしたりと、相互に育つ関係を目指しています」(馬場)
こうした取り組みの先にあるのは、単なる「登用数」の達成ではなく、多様な価値観があたりまえに共存する組織文化の定着。そのための第一歩として、「スポンサーシッププログラム」は参加者たちに新たな視点と対話をもたらしています。
参加者の声から見える「経営視点」への気づきと変化
プログラムに参加した社員は、現場では得がたい学びや成長の機会を口々に語ります。 DXサービス事業部門 AXサービス統括部でディレクターを務める⻄村有美子は「最も印象に残っているのはシャドーイングだった」と振り返ります。
「監査役との打ち合わせに同席した際、役員の方が事業状況や中期経営計画の進捗についてどう答えるのかを目の当たりにしました。どんな視点で組織を見ているのか、どう判断し、どのような意図で手を打つのか──その視座の高さ、視野の広さに圧倒されました。現場に数値は降りてきますが、経営層の思いまで知る機会は少ないので、とても刺激になりました」(西村)

DXサービス事業部門 AXサービス統括部 ディレクター
一方、現在NECに出向し、公営競技のシステム開発を担う部門でディレクターを務めている霜田久美子は、「役員に対して抱いていたイメージが一変した」と話します。
「これまで役員と接する機会は、昇格試験と大型プロジェクトの審査の時ぐらい。正直、少し萎縮していました。でも実際は、スポンサーの方がとてもフランクで、意見や質問にも丁寧に向き合ってくださり、安心して臨むことができました」
また、霜田もシャドーイングで得た気づきについて、次のように語ります。
「担当領域外の中期計画や施策を知る会議に参加できたことで、自分の視野も広がりました。レビューの際の着眼点や声かけからは、経営層ならではの“全体を見て現場に委ねる”判断基準を感じ、現場をちゃんと信頼してくれているんだ、とうれしくなりました」
なお、霜田はNECに出向中の参加となりましたが、最初にスポンサーとNECソリューションイノベータの上司から、NEC側の上司に対してプログラムの意義がしっかりと共有されたことで、安心して参加することができたといいます。

NEC トランスポート・サービスシステム統括部 ディレクター※NECに出向中
“研修で終わらせない” 自ら動き出すための通過点
参加者からは「社内外のネットワークが築けて良かった」「学びを継続する大切さに気づき、社外講座に申し込んだ」などの声が聞かれました。プログラムを通じて、2人はどのような変化を感じたのでしょうか。
霜田は「目指すキャリア像や具体的な役職はまだ明確ではありませんが、会社に対してもっと自分の影響力を発揮したい。そのために必要な役職や役割を自ら掴みにいこうという意識が芽生えました」と語ります。
「役員を目指すには、能力も視座もまだまだ足りていないと痛感しています。ただ、役員も私たちと地続きの存在であり、決して特別な人ではないという感覚が持てたことは、大きな収穫でした。自分から働きかければ、受け止めてもらえるという実感を得られたことも大きかったです。最後の振り返り会では、『健全な野心を持っているね』という言葉を掛けてもらい、それまでの自分の姿勢が認められたようで励まされました。さらに、シャドーイングや他スポンサーとの対話を通じて視野が広がっただけでなく、人脈もできました。また、社外コンサルタントの方を紹介いただく機会があり、周囲を巻き込んで行動するヒントも得られました。西村さんをはじめとして、同じ立場の女性ディレクターとのつながりができたことも心強いです」(霜田)

300人規模の部署でエンゲージメント向上委員のリーダーも務めた⻄村は、日々現場と向き合う中で、「視座が大きく変わった」と語ります。
「公平な判断をするうえで、女性の視点はやはり必要です。女性管理職が少ないなかで『自分が上に上がるぞ』というより、『自分が上がっていくことで、他の女性たちを引き上げたい』という思いが強くなりました。今年は事業ラインのダイバーシティ推進タスクフォースのリーダーも任されており、このような学びの機会を通じて視座を高め、女性がより力を発揮できる環境をつくっていきたいと考えています。スポンサーからは、『せっかくキャリアを考えているなら、“長”がつく役職を目指しなさい』と助言をいただいたのが印象的でした。副○○のような補佐的な立場ではなく、組織に対して意思決定ができる常務など、事業ラインを担う存在を目指しなさいと。私のこれまでのお客様常駐や顧客折衝の経験が強みであると、さまざまな人を見てきたスポンサーに言っていただけたことも、励みになりました」(⻄村)
I&Dチームとして本プログラムを運営する馬場はこう語ります。
「スポンサーを務めた役員の方々にとっても、学びや気づきがあったのではないかと感じています。立場や世代を越えた対話を通じて、互いの価値観や考え方が少しずつ近づいていくプロセスは、私たち運営側にとっても貴重な経験になりました。『シャドーイングがこれほど効果的とは思わなかった』『部下にも勧めたい』といった声も聞かれ、通常の業務では得られない学びが、確かに生まれ、育成を加速させるプログラムとして有効だと感じています。今年度も新たなスポンサーとともにプログラムがスタートしており、引き続きこの取り組みを進化させていきます」(馬場)
NECソリューションイノベータでは、今後もこうしたプログラムや取り組みを通じて、女性管理職の育成を後押しするとともに、多様性のある組織づくりを推進していきます。

<関連リンク>
UPDATE:2025.9.8