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「Microsoft Ignite 2025」現地レポート──AIエージェントが示すビジネスの可能性

マイクロソフト社が毎年11月に開催する大規模なテクノロジーカンファレンス「Microsoft Ignite」では、同社が1年間磨き上げてきた最新技術とビジョンが発信されます。2025年はサンフランシスコに約2万人が集結し、NECソリューションイノベータからも10名が参加しました。生成AIやAIエージェントが一気に実用フェーズへと移行しつつある今、彼らは現地で何を見て、何を感じたのでしょうか。最新の技術トレンドや海外エンジニアとの交流など、貴重な体験を通じて得た知見をどのように事業へ還元していくのか──技術戦略や社内活用促進を担う管理職2名と、現場の最前線で挑戦を続ける若手エンジニア2名に話を聞きました。
最新動向のキャッチアップと次世代育成
NECソリューションイノベータとして「Microsoft Ignite」に参加するのは、コロナ禍以降初めてと聞きました。今回の狙いを教えてください。
櫻井 2025年は「AIエージェント元年」とも呼ばれ、AIが業務を自動で実行する時代への転換点です。当社としても、生成AIやMicrosoftのクラウド基盤であるAzure・Microsoft 365を中心に、最新技術を現地でキャッチアップし、提案力の強化などにつなげたいと考えました。

DXサービス事業部門 AIエージェント統括部 シニアプロフェッショナル
徳谷 私はOfficeアプリやTeamsに組み込まれているAI支援機能「Copilot」を社内で活用推進する役割を担っており、その立場で参加しました。社内事例を積み上げるだけではなく、他社の取り組みやマイクロソフト社の最新動向を捉えた上で、全社的に活用レベルを引き上げることを目指しています。

IT・セキュリティ統括部 ディレクター
櫻井 もうひとつの狙いは、若手エンジニアの育成です。最先端の技術に触れ、マイクロソフト本社のエンジニアと交流する機会を通じて、より高度な課題解決や業務効率化のヒントを持ち帰ってほしいと思っていました。個人の成長とともに、組織全体の技術力向上につながることを期待しています。
若手の育成という話が出ましたが、入社4年目の奥原さん、入社6年目の神谷さんは、なぜ今回参加しようと思ったのでしょうか?
奥原 私は公共分野を中心に、お客様のシステムをAzureへ移行する業務に携わっています。Microsoft製品に日常的に触れていることもあり、現地で得た知見を部門内に共有し、日々の業務に新しい視点を加えたいと考え、参加を希望しました。

PFSI事業部門 クラウドSI統括部
神谷 私は官公庁向けにMicrosoft 365の設計・構築・移行業務を担当しています。「Microsoft Ignite」は過去にオンラインで参加したことはありましたが、今回は現地でしか得られない経験や空気感に触れることが最大の目的でした。

DXサービス事業部門 AIエージェント統括部
サンフランシスコで体感した技術の最前線と刺激
「Microsoft Ignite 2025」に参加した感想を教えてください。
奥原 現地ではマイクロソフト社やパートナー企業の方々と積極的に対話し、多くのブースをまわりました。どの会話でも「AI」「エージェント」という言葉が繰り返し登場し、時代の転換点を肌で感じました。特に印象的だったのはCopilotです。Agent Modeが導入され、 “回答のみ”という従来のチャットベースのCopilotとは異なり、例えばOfficeアプリでは生成した画像やコンテンツを直接反映させることができます。Officeアプリに限らず今後も様々なエージェントが登場することが予想され、より複雑な作業が可能となります。私たちの業務そのものを刷新していく存在となっていく未来像に大きなインパクトを受けました。
神谷 私は現地開催のみのクローズドなセッションを中心に参加しました。中でも印象深かったのが、Microsoft 365に関連したエージェント開発を行うハンズオン形式のセッションです。画面上での設定や選択・入力によりエージェントを構築していく内容で、コードを書かずに業務を実行するエージェントを設計できる点が新鮮でした。業務で活用しているTeamsでも、会議内容の要約やタスク整理を行うファシリテーター機能が組み込まれており、AIエージェントをデジタルな従業員のように扱い、人とエージェントが協業してビジネスを最大化するような設計へと移行しつつあると感じています。




現地では、どのような交流がありましたか?
奥原 夜の交流イベントでは、中国系アメリカ人の方と話す機会がありました。その方は高校を卒業したくらいの年齢でしたが、仲間と会社を立ち上げ、新規事業への投資を呼びかけるために参加していたそうです。自分よりも若い世代が、起業して資金調達を目指して行動している姿は、自身の仕事観を見直すきっかけになりました。また、海外の参加者は臆せず積極的に質問し、前のめりで情報を取りにいく姿勢がとても印象的で、ぜひ見習いたいと思いました。
神谷 海外からの参加者と交流する中で特に印象的だったのは、彼らが Microsoft 製品を単なるツールとして受け取るのではなく、自分たちがそうしたプラットフォームやサービスを使って世界をリードしていく、という気概を持っていたことです。 AzureやMicrosoft 365、Copilotをどう活用するかではなく、どう進化させ、自分たちの産業をどのように変革していくかという視点で語り合っていました。
Igniteのプレイベントで、シリコンバレーのEBC(エグゼクティブ・ブリーフィング・センター)に招待されクラウドへのモダナイゼーションについてディスカッションする機会を得ました。そこで、クラウド移行戦略やOpenShiftの仮想化技術といった深いテーマだけでなく、「OSI参照モデルのどの階層が好きか」といったユーモラスなやり取りをしたことが特に印象に残っています。 技術とビジネスを俯瞰する高い視座と、遊び心ある問いを行き来する柔軟な思考。その背景にある、技術リーダーとしての広く深い知見に強く感銘を受けました。

生成AI・エージェント技術に見るビジネス変革の方向性
Microsoftの最新技術やトレンドが、現場やビジネスにどのような影響をもたらすと感じていますか?
櫻井 カンファレンス全体を通して感じたことは、AIファーストな時代に向けて必須となる基盤整備が着々と進んでいるということです。特に、AIのパーソナライズなど業務担当者にとってのCopilotの進化、情報システム部門におけるAIエージェントのセキュリティとガバナンスの強化、プロコード開発者や市民開発者のためのエージェント開発ツール群の整備と充実、この3つのアップデートが顕著でした。
さらに、Azureは、AIによるビジネス変革を支えるクラウドプラットフォームとして継続的に強化されており、Microsoftのテクノロジースタック全体が、人とAIが協業するワークスタイルへの移行を後押ししていると実感しています。日本ではAIをフル活用したサービスの成功事例はまだ多くありませんが、技術の進化が加速することで、顧客体験やビジネスモデルそのものを再定義し、新たな価値が創出されると考えています。
徳谷 今回の「Microsoft Ignite 2025」では、AIエージェントが複数の処理やサービスを自動的に連携させ、それらをまとめて管理する仕組みがすでに用意されていると感じました。こうした新しい技術が導入される局面では、現場が一時的に混乱したり、運用が追いつかなくなったりすることがあります。その混乱も織り込んだうえで技術をどのように活用していくかという視点こそが、今後のビジネスの可能性を広げる上で重要だと考えています。
また、NECグループには自社を最初の顧客とする「クライアントゼロ」という考え方があり、社内を実験の場として捉えています。最新技術をいち早く検証し、成功も失敗も含めた「生きた知見」を蓄積していきたいと考えています。

櫻井 Agentic AI時代に向けて、お客様のビジネス創出を支援する当社は、さらなる存在感の発揮が求められています。
私たちは、最新のテクノロジーを活用したエージェントやAIプラットフォームの提供を通じて、お客様に高い価値を届け、変革と成長をリードし、未来のビジネスに持続的に貢献していきます。

テクノロジーの進化とともに、私たちが向き合うビジネス環境はこれまでにないスピードで変わり続けます。NECソリューションイノベータは、AIを活用するだけではなく、AIを前提に業務や開発プロセスを再設計する「AIネイティブカンパニー」への変革を進めています。今回のMicrosoft Igniteで得た知見や刺激は、その実現に向けた糧となることは間違いありません。これからも挑戦を続け、お客様と社会の未来を切り拓いていきます。
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