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「AWS re:Invent 2025」参加レポート──若手の成長を支援するグローバルな学びとAIの最前線

2025年12月、クラウドサービスを提供する「アマゾンウェブサービス(以下、AWS)」が主催する「AWS re:Invent 2025」がラスベガスで開催されました。NECソリューションイノベータは例年、この国際イベントに現地で参加しており、今回は若手育成を目的に17名を選抜し、派遣しました。海外カンファレンスは、最新テクノロジーに直接触れる機会であると同時に、多様な価値観や働き方と出会える“グローバルな学びの場”でもあります。
参加者の中から、育成を担うシニアプロフェッショナル3名と、若手エンジニア2名に、現地での体験とそこから得た学びについて聞きました。

参加がゴールではない──気づきを行動へ変えるために

まず、NECソリューションイノベータがre:Inventに参加する狙いを教えてください。

田中 AWSが示す最新のビジョンやロードマップが最も早く発表される場がre:Inventです。現地で最新情報を得ることによって、技術トレンドの理解が深まるだけでなく、お客様との対話や提案の質にも大きく影響します。また、参加する若手が現地で得た刺激や知見を持ち帰り、組織全体の技術力向上につなげてくれることも期待しています。

田中 拓摩(たなか・たくま)
PFSI事業部門 デジタルPF統括部 シニアプロフェッショナル
Japan AWS Top Engineers

佐々木 若手エンジニアにとって海外カンファレンスは、自身のキャリアを考えるきっかけになります。最先端の技術に触れ、さまざまな国や企業のエンジニアと交流することで、技術力だけでなく、コミュニケーション力や仕事に対する姿勢など、自分に何が足りないのかが自然と浮き彫りになります。新たな視点の獲得や視野の広がりが、次の成長につながると考えています。

佐々木 航太(ささき・こうた)
イノベーションラボラトリ シニアプロフェッショナル
AWS Ambassadors・Japan AWS Top Engineers
参加メンバーはどのようにして選ばれたのでしょうか?

好光 今回の選考で最も重視したのは、“参加すること自体がゴールとならないように”という点です。re:Inventで何を得たいのか、帰国後にどのようなアウトプットにつなげるのか、その意欲やプランを含め、総合的に評価しました。海外派遣には相応のコストがかかりますが、それ以上の価値を生み出せるメンバーを選んだつもりです。

好光 泰章(よしみつ・やすあき)
PFSI事業部門 クラウドSI統括部 シニアプロフェッショナル
Japan AWS Top Engineers

世界のエンジニアと出会い、見えた自分の“現在地”

若手を代表し参加したお2人に伺います。まず、上田さんがre:Inventへの参加を希望した理由を教えてください。

上田 私は入社5年目で、新規事業創出を担当しています。日々の業務に対して受け身でこなしてしまうところがあり、このままでいいのかと悩んでいました。そんな時、好光さんから「世界が変わるよ」と声をかけていただき、思い切って挑戦することにしました。

現地では、自分の意見をはっきり伝え、情熱を持って働くエンジニアたちの姿を目の当たりにし、その熱量に圧倒されました。その姿勢に触れ、自分ももっと主体的に考えて行動したいと強く感じました。

上田 香織(うえだ・かおり)
PB事業開発室

好光 上田とは、私が主催する勉強会で知り合い、キャリアの相談を受ける中でre:Inventを紹介しました。実は私自身もre:Inventへ参加したことで、AWS認定エンジニアの資格取得や勉強会の立ち上げなど、多くの挑戦につながりました。かつての自分がそうであったように、視野を広げるチャンスとして、若手には海外カンファレンスに積極的に参加してほしいと思っています。

畑さんの参加理由はいかがでしょうか?

 私は入社4年目で、公共・自治体分野を中心に、既存システムのクラウド移行プロジェクトを担当しています。日本の自治体システムはクラウド移行の過渡期にあり、クラウドの特性を十分に活かしきれていないと感じる場面があります。日本の現状と世界との違いを自分の目で確かめたいと考え、参加を希望しました。

畑 彰毅(はた・しょうき)
PFSI事業部門 パブリックPFSI統括部
現地で実際にどのようなギャップを感じましたか?

 正直、想像以上でした。例えば、既存の公共サービスを作り替えるワークショップでは、複数のAWSサービスを組み合わせ、ほとんどコードを書くことなく本格的なAIエージェントを組み込んだアプリを構築できました。完成したアプリはチャットで会話するだけで公共サービスの各種申請が完結し、誰にとっても使いやすい設計が徹底されている点に驚きました。一方で、日本の多くの公共システムはそのワークショップにおける「作り替える前の構成」にすら追いついていないものも少なくありません。自分たちはまだスタートラインにも立てていないのではないかと考えさせられました。

畑さんからセッションの話がありましたが、上田さんは印象に残ったプログラムはありましたか?

上田 「AI vs AI」と題したハンズオン形式のセッションがすごく興味深かったです。AIが生成した文章や画像などを、別のAIを使って判定・検証するという内容でした。私自身、生成AIを活用したサービス開発に携わる中で、ハルシネーションへの対応は常に課題になっています。AIがAIをチェックするという視点は、精度を確保するための現実的なアプローチだと感じました。

会場の様子

現地での学びを次の挑戦につなげる──成長を支える組織の力

re:Inventを終えて、いまどんな変化や手ごたえを感じていますか?

上田 現地で学んだことで印象深かったのは、クラウド上のデータ保存サービス「Amazon S3」のアップデートです。帰国後すぐに開発メンバーと情報共有し、設計やコストの観点からどこまで適用できるのか、検討を進めています。また、交流会で知り合ったアメリカのエンジニアとは継続的に連絡を取り合い、働き方や開発プロセスについて意見交換を続けています。異なる文化を持つエンジニアの価値観を知ることで、自分の視野が広がっていく実感があります。

 私は今回が初めての海外で、すべてが刺激的でした。re:Inventではクラウド活用事例や海外の開発アプローチなどの技術的な学びに加え、人としても多くの経験を積むことができたと感じています。現地には少し早く到着し、シルク・ドゥ・ソレイユを観たのですが、本場の迫力に圧倒されました。

佐々木 他の参加メンバーも空き時間に街へ出て、現地の文化や空気を自分の肌で感じていました。今や日本だけを見ていてはビジネスが立ち行かない時代です。異文化に触れ、世界のエンジニアがどのような価値観で仕事をしているのかを知ることは、技術者としての厚みにつながると思います。

今回の活動を振り返り、どのような気づきや学びがありましたか?

上田 働く意味や生き方など、さまざまなことを深く考えた5日間でした。海外エンジニアとの交流では翻訳機に頼る場面が多かったため、今後は語学力を高めていく必要性も感じました。技術だけでなく、さらに深い対話ができるように勉強したいと考えています。

 AIは「与えられたものを使う」段階から、「自分で作り、課題に合わせて構築する」段階へと進んでいる。それぞれの課題をいかに柔軟に解決していくかが問われる時代になったと感じました。re:Inventで学んだ考え方や事例は、社内にも積極的に共有していきたいと思っています。

育成側から見て、今回参加した若手の成長や変化をどのように感じていますか?

田中 現地での体験をきっかけに、次の行動を意識し始めていると感じています。帰国したばかりで情報の整理が追いついていない部分もあるかと思いますが、ここからどのように行動するかで、学びの価値は大きく変わります。2人はもちろん、今回参加したメンバーには、ぜひre:Inventで得た知見を業務に取り入れ、周囲を巻き込んで、会社を牽引する存在へと成長していくことを期待しています。

好光 「こんなことをしたい」「悔しい思いをした」と感じられたこと自体が成長の証です。そして、これからも若手がチャレンジできる環境を整えていきたいと思います。

NECソリューションイノベータは、今後も国内外さまざまな技術カンファレンスへの参加を後押しし、エンジニアの挑戦と成長を支えていきます。最新技術を価値につなげ、お客様や社会の課題解決に貢献できるよう、これからも組織として進化し続けていきたいと考えています。