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リユースは、
楽しくなければ始まらない。
お弁当箱を起点にした、
自然なかたちの環境貢献。

『+R Smart Lunchbox』
環境負荷低減

イノベーション推進本部
萬辺 実生

入社5年目。大学では経済学を専攻。ITへの興味からNECソリューションイノベータに入社し、1年目から新規事業開発を担当。不動産、観光などまちづくりに関わる新規事業開発を手がける。

イノベーション推進本部
中村 美月

入社3年目。大学では保全生態学を専攻。技術で社会課題を解決したい思いから入社を決意。プロダクトマーケティングを1年経験したのち、エリアマネジメントチームに参加。

プロジェクト概要
『+R Smart Lunchbox』は、お弁当箱を介して行動変容の仕組みを提供し、購買促進・リユース促進を図るプロジェクトです。
当社が提供する、エリアにおける企業のサービスとニーズを繋げるプラットフォーム「シェアリングステーション」などと組み合わせることで、利用者がカラフルなお弁当箱(リユース容器)のQRコードからサステナビリティをテーマとしたコラムなどのコンテンツを体験し、自然に楽しく環境に貢献できることが特徴です。
「容器を起点とした情報発信」は、技術に基づいたビジネスモデルとして特許を取得。

ICTを活用した新たな価値サービスの創造に向けて、多様な業種で試行錯誤を続けてきたNECソリューションイノベータだから生まれたプロジェクトといえます。
今後はハード(容器)、ソフト面(コンテンツ)、の両面でさらなる展開を目指し、地域の事業者と人々を「楽しさ」でつなぐことで、エリアの活性化を促進していく予定です。

色とりどりの容器から、
色々な体験がひろがる楽しさ。

萬辺:当社が提供するエリアマネジメントサービスの一環で、自然なリユースを促進する『+R Smart Lunchbox』(以降、『+R』)というプロジェクトに取り組んでいます。10色のカラフルなお弁当箱を作って、色ごとに異なるコンテンツが体験できるようにすることで、面倒と思われがちなリユースに、楽しく参加できる仕組みを作っています。

中村:プロジェクトの始まりは、エリアマネジメントサービス『COREDOシェアステデリバリー』の利用者との繋がりを強めていくことでした。利用者が楽しく参加できる仕組みやプラットフォームを作るにはどうすればいいか。そんな観点でアイデアを考えていきました。

萬辺:『COREDOシェアステデリバリー』は、ランチのデリバリーによってエリアの事業者と住む人・働く人を繋ぐサービスです。しかし、デリバリーをするということは、必然的にエリアのゴミが増えてしまうということ。普段は捨てられてしまっている「容器」を有効活用して、そこから利用者との繋がりを作れたら。そんな考えのもと、容器というプロジェクトの軸が決まっていきました。

中村:「容器からはじまる体験」というコンセプトを聞いたとき、これまでのリユースにはない可能性を感じました。容器を使って生まれる「楽しさ」にフォーカスすることで、リユースに対する意識が高い人だけではなく、そうではない人も気軽に参加できる身近なサービスになるのではないかと。

萬辺:例えば、私自身ファッションが好きで、洋服をリユースしたいという思いはあるのですが…正直、「いいことをやろう」という強い意識がないとできないハードルの高さは感じていました。回収時間が限られていたり、リユースに関する情報がなかったり、あるいは仕組みが整っていなかったりと、やった方が良いと理解はしていますが、結局捨ててしまっています。

中村:世の中にあるリユースのサービスも、リユースそのものが目的になっていて、義務感でやることが多いのが問題に感じます。そうではなく、リユースとは別のところに楽しい目的を作ることができれば、積極的に参加したくなるのではと思います。

自由な発想が出てくるのは、
「好き」を共有し合うから。

萬辺:『+R』の容器についたQRコードを読み込むことで体験できる、Instagramのエフェクトやコラムなどのコンテンツを今回、渋谷教育学園渋谷高等学校の生徒と協力して、ワークショップ形式で作り上げていきました。私たちにない発想が、想像を超えて次々出てきたのがいちばん面白いポイントだったと思います。

中村:生徒たちはエフェクトをデザインするとき、好きなものをちゃんと発信してくれたと思います。自分の好きなものからモチーフを考えてもらったので、「私はキラキラしたものが好き」とか、「私はファンシー系の世界観を持っている」とか、それぞれ個性があって、ありきたりなものにならないところが良いと思いました。みんなSNSを使って発信することに慣れていて、好きなものが明確なのだと思います。

萬辺:とくに驚いたのがエフェクトの使い方です。エフェクトは顔につけるものという印象が私たちにはありましたが、彼らには「モノを可愛くする」ためにエフェクトを使うという発想があって、そこから「お弁当箱に手が生える」といったユニークな表現アイデアも出ていました。

中村:発想の豊かさは、コラムを書いてもらうときにも感じたことです。サステナビリティをテーマに、興味のある企業やお店に取材をして記事を書いてもらったのですが、エネルギー企業、再生素材を扱う服屋さん、ヴィーガン団体、環境に配慮した美容室と、多彩な切り口が出てきて取材先の選定からアポイント、原稿執筆、発表までの工程を、すべて自発的にやってきてくれるのに驚きました。

萬辺:ワークショップを設計する上でも、私たちが一方的に伝えるのではなく、生徒同士で自由に話せるような、意見が出しやすい環境づくりを心がけていました。最初はレクチャーするけれど、それよりもお互いの「好きの共有」が大事。私たちが研修を受けるときも、一方的に話されるとつまらなく感じますが、自分の好きなことを同じ目線で聞いてくれれば、積極的に発言したくなりますしね。

実現するための困難を、
チームの力で乗り越えていく。

萬辺:ワークショップを進めていく上で難しかったのは、「生徒たちからいかにアイデアを引き出すか」という点でした。細かく設計しすぎず発想を引き出したいのですが、やはり個人差はあるので、積極的に進められない生徒へのアドバイスをどのようにするかなど、いつもチームで検討しながら進めていきました。

中村:ワークショップの設計から準備、当日の進め方、コラム作成のポイントなど、私にとって初めてのことばかりでした。都度プロジェクトメンバーで検討する時間をつくり、先輩や上司に気軽に意見を聞ける環境に助けられたと思っています。これは人を大切にする当社ならではの社風かもしれません。

萬辺:私は入社5年目になりますが、入社を決めたのも、人に魅力を感じたことが大きかったです。面接官と話していく中で、社会課題の解決を支える姿勢が自分の性格にとても合っていると思いました。実際に入社してからも感じるのは、意見を聞いてくれて話しやすい、穏やかな人が多いことですね。

中村:私が就職活動のときに思ったのは、NECソリューションイノベータはいろいろな技術を持っている会社だということ。学生時代から環境問題の勉強やNGOでのアルバイトを経験していて、もともと社会課題の解決に関わりたかったので、そこに当社の技術を活かすことができれば、解決できることがたくさんあると思っています。

萬辺:最近は私たちのように「社会全体に影響を与えたい」という志望動機で入社する人が多いように感じますね。中村さんは後輩ですがとても頼りになる存在です。一緒にプロジェクトを進めていく中で、生徒から相談があったときに、すぐに対応してくれます。最初はおとなしい印象でしたが、仲良くなるにつれてよく喋るようになりました(笑)。穏やかな中にもいろいろな思いを秘めているところは、当社の社員らしいのかもしれません。

中村:萬辺さんは周りの人に優しいところと、自分の意見をしっかり持っている、ギャップがある人です(笑)。自分の中にアイデアをたくさん持っているけれど、相手の意見を否定せず、「いいね、いいね」と受け止めてくれる。周りの声に耳を傾ける柔らかなスタンスが、ワークショップのやり方にも表れていたと思います。

誰もがワクワクしながら、
自然に課題解決できる社会へ。

萬辺:『+R』は今後さらなる広がりの可能性をたくさん秘めていると思います。中でも大切にしたいのはエリアへの貢献という視点です。リユースというのもエリアの価値を上げる活動のひとつ。地域にあるオフィスやお店、働く人や住む人。それぞれが個別に行っていたことを繋いでマネジメントすることで、環境に貢献するとともに、エリアの価値も高まるのです。

中村:地域のさまざまな人や企業を繋ぐためには、モチベーションをいかに高められるかが重要だと思っています。お弁当を届けるだけなら単なる発注システムで良いかもしれませんが、付加価値を生むためには、たくさんの人が参加したくなるサービスでなければいけません。今回私たちが開発したようなコンテンツの部分は、都度目的ややりたいことに合わせて、もっともっと進化していけると思います。

萬辺:今後コンテンツを広げていくために、私個人としては、いろいろな人を巻き込んでいきたいという思いが強いです。今回コンテンツを生徒たちと作っていく中で、「自分の想像していないやり方があるんだ!」という気づきがありました。今後は憧れのクリエイターと一緒にコンテンツを作るなど、自分の中で発想を狭めずにどんどん広げていきたいと思っています。また、お弁当を食べる時間は人と話す素敵なひとときなので、容器をとおした体験をきっかけに、人との繋がりやコミュニケーションを活性化できたらとも思っています。

中村:私もいろいろな人を巻き込んでいきたいところは萬辺さんと同じです。それと、コンテンツを作るのは私たち開発に携わる人たちだけでなく、容器を使う人もコンテンツを作る人に変えていきたいという思いがあります。使い方を押し付けるのではなく、使う人も作り手になっていくことで、自然と楽しいものができあがる。私が『+R』のコンセプトをはじめて聞いて想像が膨らんだ感覚を、使う人にも持ってもらえると『+R』の可能性が広がると思います。

萬辺:これからも大切にしたいのは、仕事をする時間が楽しい時間であること。働く場所が自由であったり、自分の興味を取り入れて楽しみながら働けたり。今回の『+R』の仕組みを応用すれば、お弁当箱だけでなく、化粧品など私が好きなテーマの製品でも同じサービスが展開できるのではと思っています。まずは自分が楽しみながらものを作る。それが、世の中や見る人にも届くものになると思っています。

中村:私は社会課題を解決する仕事をしたいという昔からの目標があります。ですが、解決する方法を押し付けるようなことはしたくない、という思いが強いです。環境についての勉強やNGOでの経験から「解決するための正しさってなんだろう?」と疑問に思うことがありました。『+R』のコンセプトにもあるように、義務感ではなく楽しさを参加のモチベーションにして、「意識していなくても環境にいいことをしているよね」と思えるものを作っていくことで、もっと自然で、ポジティブに取り組めるものにしていけたらいいなと思っています。

UPDATE:2023.07.24