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ATMをあらゆる手続きの窓口に。
世界をリードする認証技術で、
その可能性を拡げていく。

『セブン銀行 +Connect』

便利さを追求するだけでなく、生活基盤として社会の安心を支える存在を目指して、
ATMの機能を革新し続けるセブン銀行とNECソリューションイノベータ。
約20年にわたる技術の積み重ねで、新しいATMの可能性を切り拓く。

セブン銀行 ATM+企画部
兼 コーポレート・トランスフォーメーション部
高尾 庄吾 様

小売×金融に携われる可能性に魅力を感じ、2019年セブン銀行入社。赤池と同時期にプロジェクトに参画し、セブン銀行側の主担当としてけん引。

金融ソリューション事業部
赤池 優太

ICTの高い技術力を身に付けたいとの思いで2017年入社し、セブン銀行を担当。2022年4月に本プロジェクトに加入して以降、システム担当としてチームをリードする。

プロジェクト概要

セブン銀行ATMの機能を活用して簡単・便利に、安心してあらゆる手続きができる窓口へと進化させるプラットフォームサービス。2023年9月より、第一弾のサービスとして届出情報の変更有無を確認することができる「ATMお知らせ」と、口座開設や諸届変更などがATM上で完結する「ATM窓口」の提供が開始された。第4世代の認証機能を用いて、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カード)の顔写真と撮影した顔イメージを照合することで、住所変更や口座開設に必要となる認証をATMで行うことができる。

デジタル化する社会に適した、
新しいATMのかたち。

赤池:2023年9月に発表されたセブン銀行さんの新型ATMを使った新サービス『+Connect』。その中核を担う認証機能を開発しています。私たちが第4世代と位置づけるこのATMの構想がはじまったのは2015年。変わりゆく世の中や、そのニーズへの対応ができる新しい要素が必要と見据えて、第4世代ATMでは本人確認書類の読み取り機能や顔認証機能など新機能を搭載することになりました。

高尾:これまでATMは入出金を中心として進化を遂げてきましたが、私たちが提供できる価値はそれだけではないのでは、と考えています。社会のデジタル化が進む中で、「リアルな場からデジタルへと繋がること」も幅広い社会のなかではお客様のニーズにお応えすることに繋がるのではないか。『+Connect』はこのような想いを形にしたサービスです。

赤池:『+Connect』の最大の特長は、住所変更や口座開設など、今まで銀行の窓口に行かなければできなかった手続きがATMで簡単にできること。日中仕事が忙しくて営業時間内に窓口に行けない。WEBでの手続きに抵抗がある。そういった方にとって非常に便利なサービスになると思っています。さらに顔認証で入出金の手続きもできるよう開発を進めています。従来のキャッシュカードを入れる動作がなくなり、現金の出し入れが「顔認証」でできることは、新たな体験と感じていただけるはずです。

高尾:スマートフォンの登場によって、様々な業種で窓口に行かずに手続きができる時代になりました。ユーザーの生活動線上で「コンビニに行ったついでに銀行窓口での手続きもできる」ようにする。社会の変化により生まれたニーズに応える機能は当然あるべきという発想で、最初から搭載しようという考えでした。

20年の技術の積み重ねで、
手続きを圧倒的に簡単に。

赤池:『+Connect』はATMで様々な手続きが可能となる画期的な新しいサービスです。一方で、新しいサービスであるがゆえに受け入れやすくすることが、サービスを形にしていくうえでの一番のポイントでした。ユーザーや提携先に受け入れてもらうために最も工夫したのは『+Connect』のメリット、すなわち「シンプルさと便利さ」を魅力的に感じてもらうことです。言い換えるなら、銀行の窓口では時間がかかる各種手続きのイメージをいかに塗り替えていくか、ということでした。

高尾:時間の短縮は、お客さまの体験の中でも最大の論点ですよね。今回の『+Connect』はデジタル機器の操作に苦手意識がある方にも優しいインターフェースであろうという思いからつけた機能でもあるため、シンプルさや便利さにはこだわる必要がありました。サービスを設計する際に「口座開設が約3分で終わるようにする」など、手続きをどれぐらいの時間で収めるか、具体的な目標を立てて挑んでいきました。

赤池:今回のサービスのようにATMだけで手続きを完了しようとしたら、通常は画面に入力してもらう、ボタンを選択してもらうなどユーザー側の操作が増えがちです。手続きの時間を短くするためには、ユーザーによる「操作のプロセスを省略する」ことを常に考えながらサービス設計やシステム開発を行う必要がありました。

高尾:操作プロセスを省略するにあたっては、NECソリューションイノベータさんがこれまで培ってきたATM技術に非常に助けられたと思います。たとえば、文字情報の読み取り機能によって、本人確認書類を「置くだけで」必要情報を読み取れること。入力しなくていい情報はICチップで読み込ませ、操作は「確認だけ」にすること。実は顔認証技術だけではなく、様々なATM技術を総合的に活用することで解決できたことが多いのです。

赤池:ATMが情報を代わりに入力してくれるような感覚ですよね。第4世代ATMは非常に多彩な機能を搭載していますが、その多くが第1~第2世代を含む過去の技術の蓄積にあります。当社がセブン銀行さんの開業当初からATMの開発を担ってきた20年にわたる歴史の中で、これまでも様々な課題がありました。そういった課題を随時解決しながら、今日の社会変化や、セブン銀行さんの思いを汲みつつ進化してきた姿がこの第4世代ATMなのです。

会社の垣根を越えて、
「日常の未来」を生みだし続ける。

赤池:昨年4月から1年半にわたりセブン銀行さんと密に連携し仕事をしてきたことで、セブン銀行さんとは、より良いサービスのために何でも議論できる関係が築けたと思っています。高尾さんは業務側、私はシステム側の担当として専門領域は違いますが、実証実験など案件を推進していくそれぞれの立場で、ベンダーとクライアントの垣根を越えてお付き合いができていると実感しています。アイデアをフラットに出し合えるのは、高尾さんがシステム側の目線で考えてくださることが大きいように思います。

高尾:私が出社するやいなや赤池さんたちを気軽に捕まえて「ちょっといいですか?」と質問をしたり、毎日のように議論をしたりしていましたね(笑)。一番助かっていることは、一緒に働く仲間として当社の思いに共感してくれるところです。難しい局面に立った時に、エンドユーザーの視点で、あるいはプロジェクトにとって何が得策なのか考え、プロジェクトを導いてくれたのがとてもありがたいと思いました。

赤池:それは会社としても個人としても非常に意識しているポイントです。お客さまの立場であるべき姿を考えて、そこに私たちのシステム技術を組み合わせて最適解を出す……といったことがSIの本来の仕事であるということは、今回のプロジェクトをとおして改めて強く感じたところです。

高尾:システムを設計する際、やはり制約はつきもので、元々あった業務フローを踏襲してつくっていくことが一般的なのですが、赤池さんは「それで本当にいいのか?」という観点で都度真剣に向き合い考えてくれ、時に耳が痛い意見もあえて言ってくれたことが非常に助かりました。

赤池:私から見た高尾さんやセブン銀行さんは、「提携先やユーザーの課題をなんとか解決したい」という思いが非常に強いように感じました。また、高尾さんのように社会変化のトレンドや先進技術に関する情報収集力がある方が多いため、その知識が今回のサービス開発にも活かされていますし、あるべき姿を一緒に議論できているのだと思います。

高尾:それはセブン銀行の成り立ちが「コンビニで銀行取引ができたら」というユーザー側の声からはじまっているからですね。そのためユーザーの意見に耳を傾けるのはもちろんのこと、社会変化のトレンドや最先端技術をいち早く取り入れて市場に送り出そうという社風なのだと思います。2021年に開業20周年の節目を迎え、「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」をパーパスとして掲げました。今回の取り組みもまさに、先進技術を活用して「日常の未来」を生みだすものになっていると思います。

デジタルとリアルの間にある、
次世代のインターフェースを目指して。

赤池:今回搭載した機能はATMでは先進的な取り組みだと思っています。認証技術に関しては世界トップクラスの評価を得ているNECの技術ですので、先進サービスをいち早く取り入れるセブン銀行さんと当社だからこそ実現できることではないでしょうか。

高尾:『+Connect』のようなプラットフォームサービスを導入するにはソフト面だけでなく、ハード面にも障壁がありますよね。銀行のATMというのは、全国でかなりの台数が展開されているものですので、そのすべてに顔を認識するカメラや券面を撮影するカメラを搭載しようとすると相当な時間とコストがかかり、投資するのに覚悟が必要です。そのため、銀行業界ではATMはコストがかかり利益を生まないものと捉えられがちですが、私たちはむしろそこに強みがあり、リアルの場のデジタルなインターフェースに進化させていくことができるのではと考えています。

赤池:導入いただく提携先はまずは銀行なのですが、実は銀行以外の事業会社とも提携が進んでいます。たとえばホテルのチェックインサービス。ATMで本人確認をすれば部屋番号などの必要情報がユーザーに送られてきて、その情報を使ってチェックインできる。このようにATMを幅広いチャネルに使っていただき、単にお金を出し入れするだけではないプラットフォームとしての新しいサービスを、セブン銀行さんと一緒に考えています。

高尾:銀行以外にもサービスを広げていくことは、サービスの開発をはじめた段階から考えていました。開発コンセプトはATMの概念を変えていく「ATM+」でしたから。また、搭載する機能によって社会課題を解決することも当然視野に入れていましたね。

赤池:社会課題の解決として、一番わかりやすいのは災害時における被災者支援に使えることです。昨今、震災や津波など自然災害が増えている中、カードやスマートフォンがなくてもお金の出し入れができるということは、社会的な安心や生活の基盤になる。ATMが人の命を守れるものにもなるということを、開発段階で強く意識して進めていました。

高尾:生活導線の中で窓口になれることは、支店へのアクセスの課題対応にも有効だと思います。駅から離れた場所にお住まいの方にとって、多くの銀行支店があるのは駅前で、アクセスしにくい場所。対してセブン‐イレブンは駅から離れた国道沿いにもたくさんありますから、銀行窓口と比べてアクセスしやすいといえます。コンビニにあるATMを「銀行の窓口」として使っていただけることは、ユーザーにも提携先にもお役に立てることではないでしょうか。銀行サービスを手軽に利用できる手段としてインターネットバンキングも広まっていますが、やはり一定以上の世代の方には抵抗があるもの。リアルな窓口とデジタルのインターネットバンキングの中間として、ATMという「デジタルに繋がる入り口」が現実に存在することには新しい可能性があると思います。

赤池:第4世代ATMは9月のサービスインを皮切りに、安全面やユーザーインターフェース(UI)を向上させながら今後も新機能を追加していく予定です。『+Connect』によって全国津々浦々にあるコンビニATMが金融機関をはじめとした様々な手続きの窓口となり、その機能が高まることは、デジタル機器の操作に苦手意識がある方の役にも立てること。ATMを入り口に新しい便利をお届けできればと思っています。

UPDATE:2023.11.30