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< 第1回 >
探究学習の拡大とともに浮き彫りになった
課題を補う『AIメンタリングシステム』
[事業成長のためのエンジン]
探究を支える新しい学習
AIと未来を切り拓く

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日本の教育現場では、生徒の自律的な学びを育む「探究学習(※1)」が推進される一方で、答えのない課題の評価や専門外のテーマへの対応など、教員の負担が課題となっています。NECソリューションイノベータは「答えを提示しない」問いかけ型の『AIメンタリングシステム』を開発し、広島県立広島皆実高等学校(以下、広島皆実高校)で2年間のパイロット運用(※2)を実施。その結果、生徒の自律的な学びが促進され、教員の負担軽減にも効果があることが確認されました。
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探究を支える新しい学習、AIと未来を切り拓く

- 第1回 探究学習の拡大とともに浮き彫りになった、課題を補う『AIメンタリングシステム』
- 第2回 「答えを提示しないAI」が問いを深める。広島の高校で始まった挑戦
- 第3回 人にしかできない領域をAIで。教育現場から広がる未来への展望
探究学習の拡大とともに浮き彫りになった
課題を補う『AIメンタリングシステム』

数学科 教諭
木下 由喜 様

プロフェッショナル
宍倉 健司

加賀 茜
以下敬称略
近年、小・中・高等学校では、従来の授業に加えて「探究学習」が導入されています。従来の講義型授業は、教員が数十名の生徒に対して講義を行うため、生徒が自ら考え、試行錯誤する機会が限られており、課題解決能力が育ちにくいといわれています。一方、探究学習は自ら問いを立て、考え、答えを見出すプロセスを重視しており、生徒が自己理解を深める資質や能力を養う学習として注目されています。変化の激しい社会に対応するためにも、その重要性はますます高まっています。
しかし、この探究学習は、教育現場に新たな課題をもたらしています。第一に「時間の制約」です。探究学習はテーマ設定から調査、考察、成果発表まで一連のプロセスを踏む必要がありますが、授業時間や年間の指導計画の中では十分な深掘りが難しく、内容の浅さや学びの不完全燃焼につながることが少なくありません。
次に「指導と評価の手法」です。探究学習では答えが一つに定まらない課題に取り組むため、従来のように正誤で点数化することができません。生徒の思考過程や探究の深まりをどう評価するか、また教員自身がどのように質の高い対話を行い、学びを支援すべきかについては、現在も模索が続いています。
さらに「教員の負担」も大きな課題です。
広島皆実高校の木下教諭は「担当教科と違い、探究学習では専門外の分野を完全に補完することは難しく、生徒と質の高い対話を担保するために何ができるか、指導の難しさを感じます」と語ります。教員は自身の専門領域を超えたテーマにも対応する必要がある上、生徒一人ひとりの理解度や探究の進め方に寄り添った指導が求められるため、時間的負担が大きくなっています。
また、生徒にとっても探究学習は新しい挑戦です。進め方を理解するために時間が必要な生徒や、深掘りのしかたに戸惑う生徒など悩みは人それぞれです。探究学習では生徒一人ひとりに寄り添ったサポートが重要であり、それが、自律的学習を後押しし、適切な指導へとつながっていきます。しかし、限られた時間と人材で全員に寄り添った対応を行うには限界があります。
こうした課題の解決策として期待されているのが、NECソリューションイノベータが開発した『AIメンタリングシステム』です。一般的な生成AIのように答えを提示するのではなく、利用者の問いを深掘りし、自ら考えることを促す「代理存在AI(※3)」を活用したサービスです。
生徒は『AIメンタリングシステム』との対話を通じて自分の問いを深め、学びを主体的に進めることができます。その結果、教員の時間的負担を減らすことができ、生徒にはより多くの学習機会が確保されます。
『AIメンタリングシステム』の導入は、教員と生徒がともに伴走できる環境を整え、教育の質の向上と持続可能な探究学習の基盤づくりに貢献します。
- ※3特定人材の価値観とスキルを再現、本人に代わって働くAIエージェント。コミュニケーションの介在が重要な「人にしかできない」領域で、不足するヒューマンリソースの課題へのアプローチを可能とする。

次回は「「答えを提示しないAI」が問いを深める。広島の高校で始まった挑戦」をご紹介します。
UPDATE:2025.11.28
2025.12.08 公開予定
<第2回>
「答えを提示しないAI」が問いを深める。広島の高校で始まった挑戦

2025.12.22 公開予定
<第3回>
人にしかできない領域をAIで。教育現場から広がる未来への展望
