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< 第2回 >
「答えを提示しないAI」が問いを深める。
広島の高校で始まった挑戦
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探究を支える新しい学習
AIと未来を切り拓く

探究を支える新しい学習、AIと未来を切り拓く

- 第1回 探究学習の拡大とともに浮き彫りになった、課題を補う『AIメンタリングシステム』
- 第2回 「答えを提示しないAI」が問いを深める。広島の高校で始まった挑戦
- 第3回 人にしかできない領域をAIで。教育現場から広がる未来への展望
「答えを提示しないAI」が問いを深める。
広島の高校で始まった挑戦

左前:イノベーションラボラトリ 加賀 茜
右:広島県立広島皆実高等学校 数学科 教諭 木下 由喜 様
以下敬称略
探究学習に用いている『AIメンタリングシステム』は答えを提示するのではなく、「なぜそう思うのか?」と問いかけることで利用者の思考を深め、別の視点を促すAIです。教育現場では、AI活用は「生成AIがすぐに答えを出してしまう」懸念がありますが、問いかけ型のAIであれば、生徒の自律的な学びを後押しする存在になりえると考え、広島県立広島皆実高等学校(以下、広島皆実高校)では木下教諭とのご縁から2年間にわたりパイロット運用(※1)を実施しました。
- ※1新しいシステムを導入する前に試験的に運用し、実際の運用における課題を把握するプロセス。

初年度の2023年には、NECソリューションイノベータの社員が生徒に「思考を深掘りするAIとの対話」や教員に「AIを使った指導法」を直接支援しながら効果を検証しました。その後、教員自身もAIを授業に取り入れることができるように、探究学習(※2)のカリキュラムを共同で作成しています。
その結果、生徒からは「次に何を考えるべきか、新たな疑問や問いが浮かんだ」、教員からは「視点を広げたり深めたりする訓練になる」「日常的に使いたい」といった前向きな声が寄せられました。
- ※2探究の見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことをとおして、自己理解を深めながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することを目標とする教科のこと。


2年目の2024年には『AIメンタリングシステム』の導入を拡大し、教員が主導してAIを活用、NECソリューションイノベータの社員はサポートにまわる形で授業を展開しました。
広島皆実高校のプロジェクトを担当する加賀は「生徒の反応を見ながらカリキュラムに沿ったAIの使い方や、対話するタイミングを調整し、さらに踏み込んだ検証を実施しました」と振り返ります。その結果、「『AIメンタリングシステム』を活用することで、支援にまわる余裕が生まれた」「生徒とAIの対話が指導のヒントとして活用できるようになった」などの評価が教員から寄せられ、教員のリソース不足を補いつつ、生徒の自律的な学びを支える効果が認められました。


このように『AIメンタリングシステム』は教育現場における探究学習の実践を支援しながら、質の高い学びと教員の指導環境を両立させる新たな仕組みとして、活用の可能性を広げています。
次回は「人にしかできない領域をAIで。教育現場から広がる未来への展望」をご紹介します。
| プロジェクトのポイント |
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日本の教育現場では、生徒の自律的な学びを育む「探究学習」が推進される一方で、答えのない課題の評価や専門外のテーマへの対応など、教員の負担が課題となっています。NECソリューションイノベータは「答えを提示しない」問いかけ型の『AIメンタリングシステム』を開発し、広島県立広島皆実高等学校(以下、広島皆実高校)で2年間のパイロット運用を実施。その結果、生徒の自律的な学びが促進され、教員の負担軽減にも効果があることが確認されました。 |
UPDATE:2025.12.08
- 2025.11.28
<第1回>
探究学習の拡大とともに浮き彫りになった、課題を補う『AIメンタリングシステム』

2025.12.22 公開予定
<第3回>
人にしかできない領域をAIで。教育現場から広がる未来への展望
