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< 第3回 >
新たな需要を掘り起こし
需給ギャップをコントロールする

[事業による価値創造]

地域観光の未来を持続可能にする
予約支援サービス

[事業による価値創造]

地域観光の未来を持続可能にする、予約支援サービス

< 全3回 >

< 第3回 >

新たな需要を掘り起こし
需給ギャップをコントロールする

左から
一般社団法人大洗観光協会 旅行事業部 マネージャー 平間 一輝 様
一般社団法人大洗観光協会 事務局長兼専務理事 鬼澤 保之 様
イノベーションラボラトリ 助川 由樹
イノベーションラボラトリ ディレクター 川村 武人
以下敬称略

茨城県大洗町で進められている『大洗オンライン トラベルエージェント(以下、OTA)プロジェクト』は、NECソリューションイノベータの『NEC ガイド予約支援サービス』を基盤に、参加事業者に新たな観光需要をもたらしています。

例えば、これまで電話予約のみだったアンコウ料理店ではオンライン予約の導入により、これまで獲得できていなかったファミリー層の来店が増加しました。またヨガ教室では、観光客が手ぶらでも参加できる早朝ワークショップを企画し、滞在中の新たな過ごし方として人気を集めています。こうした取り組みを通じて、地域に眠っていた潜在的な需要が少しずつ形になりはじめているのです。

大洗観光協会 旅行事業部マネージャーの平間はこう語ります。「観光協会の集計によれば、このプロジェクトで作成したサイトの現在の利用者は、40〜50代のファミリー層が中心です。特定のアニメ作品やイベントなど、明確なコンテンツを目的とした来訪者の割合は全体の1〜2割程度にとどまっています。特定の世代や目的に偏ることなく、日常的な観光や体験を求める層の利用が広がり、結果として世代や目的を限定しない、より幅広い来訪につながりはじめていることが分かります」。

観光協会では今後、参加事業者をさらに増やし『大洗OTAプロジェクト』を単なる観光情報発信拠点ではなく事業者の収益向上に直結する仕組みとして位置づけ、価値を明確に伝えながら参加を呼びかけていく方針です。
同時に、井上靖や山村暮鳥といった多くの文化人が作品に取り上げた大洗町の保養地としての歴史にも改めて光を当て、海と自然に囲まれた環境で、ゆったりと過ごす「滞在型観光」の促進を目指します。

大洗駅に隣接する観光案内所、うみまちテラス。
観光案内はもちろん、レンタサイクルやレンタカーの貸出サービス、お土産品販売等を行っている。

情報発信と予約をオンラインで一体的に管理することで、観光需要の偏りを緩和し、需給バランスを調整できる可能性も広がります。冬の名物であるアンコウ鍋だけでなく、年間を通じて楽しめる大洗町の食の魅力を発信することで、オフシーズンの来訪動機づくりにつなげていきます。
また来訪者一人ひとりの嗜好に寄り添った提案は、従来のOTAや旅行代理店では採算面の制約から難しい領域でした。しかし生成AIの活用によって、個別ニーズへの対応も現実的なものになりつつあります。こうした取り組みは、大洗町に限らず全国の地域観光にも応用可能です。

経済面でも効果が表れています。一般的に外部の観光予約サイトを利用すると、予約ごとに20〜25%程度の手数料などが発生し、その多くが地域外へ流出。一方、『大洗OTAプロジェクト』では観光協会が設定する手数料を約10%に抑えることで、その分地域事業者の受け取る収益が大きくなり、地域内でお金が循環しやすくなる好循環が生まれています。さらに、通常のOTAとは異なり、手数料の一部は町内事業者の販売促進に寄与する支援に活用するなど、地域の観光振興に還元されるビジネスモデルとすることで、地域経済の活性化にも貢献しています。NECソリューションイノベータにとっても、システムを提供して終わるのではなく、観光協会と協働し、参加事業者の収益拡大を通じて自社の価値を高めていく新たな事業モデルとなりました。
「システムはあくまで手段です。観光も手段。最終的なゴールは、訪れる方と地域の方々の双方が笑顔になり、経済が循環すること。地域の人たちが主役となり、持続可能な経済モデルをつくることが大切だと思っています」と助川は語ります。

地域版OTAは、地域が自走するための仕組みです。必要なシステムやノウハウを届けることで、地域経済の自立的な活性化を後押しする。それが、NECソリューションイノベータが地域版OTAに取り組む理由です。地域の経済を持続可能なものにし、訪れる人はもちろん、地域の人々の暮らしも幸せにしていくことが、この取り組みが目指す本当のゴールです。

プロジェクトのポイント

日本には自然や食、文化などの豊かな観光資源が点在しています。そうした恵まれた資源を有しながらも、地域によって状況は大きく異なります。オーバーツーリズムが問題になっている地域がある一方で、魅力を十分に発信できず、観光客を呼び込めない地域も少なくありません。こうした課題を解決するため、NECソリューションイノベータは、観光を通じた地域経済活性化に向け、トータルソリューションを提供しています。その一つが『NEC ガイド予約支援サービス』です。
茨城県の大洗観光協会は、同サービスを導入し地域の魅力を掘り起こしてオンラインで発信するとともに、観光事業者や飲食店の予約につなげる地域版OTAを立ち上げました。地域の魅力をその土地に関わる人々の言葉で世界に届ける取り組みは、日本の地域観光に新たな可能性を示しています。

UPDATE:2026.03.25