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活動紹介
生ごみ資源循環の促進@南三陸
始まり
南三陸町さまは2015年にバイオガス施設を開所し、家庭の生ごみを再資源化する仕組みを運用開始しました。この仕組みは、ごみ集積場に置かれている生ごみ専用バケツに家庭の生ごみを投入いただき、それを回収、バイオガス施設でメタン発酵することで電気や液肥を取り出し、それを地域に還元をすることで資源を循環させています。私たちが参画した2018年当時、想定より生ごみを回収できていない状況でして、生ごみ回収量を増やすことが課題でした。私たちはこの課題に対してICTや行動経済学・心理学を活用した解決を目指し、活動を開始しました。
データ計測
私たちが参画した当時、生ごみ回収に関するデータはかなり荒い粒度の情報しかありませんでした。また、データは紙で管理されており、データの分析が難しい状況でした。そこで私たちは生ごみ回収業者であるリアスエンジニアリングさまと協力して、ごみ集積場レベルでの生ごみ回収状況をデジタルデータとして記録する仕組みを開発・運用を開始しました。この仕組みによって、どの地区がどのような状況であるのかを細かいレベルで確認することが可能になりました。また、施策の効果を統計学に基づき検証することが可能になりました。
介入設計
データを集めるプラットフォームが完成したので、課題解決に向けて住民への介入を設計しました。介入を設計するにあたり、私たちは感謝に注目しました。感謝は返報性があり社会にとって良い行動(向社会的行動)が増えることが心理学や行動経済学で示唆されていて、その効果を活用することで生ごみ回収量を増やすことができるのではないかと仮説を立てました。
実験実施
設計した介入の効果を検証するために、一部のごみ集積場に感謝状を設置する実験を実施しました。その結果、生ごみ回収量は統計的に有意な差は確認できなかったものの、感謝状を掲示した群の方が生ごみ回収量が増えることが確認されました。また、投入された生ごみに異物が混入していないかという観点では、感謝状を提示した群の方が有意に異物混入が減ることが確認されました。
環境省ベストナッジ賞を受賞
南三陸でのこれら活動を環境省が主催する令和元年度「『ベストナッジ賞』コンテスト」に応募したところ、ベストナッジ賞を受賞しました。今回の受賞では、取り組みの新規性、社会的意義や行動科学の適切性等が評価されました。
宮城県南三陸町がグッドライフアワード環境大臣賞地域コミュニティ部門を受賞
南三陸町さまが資源循環の仕組みを環境省が主催する第9回グッドライフアワードに応募したところ、環境大臣賞地域コミュニティ部門を受賞されました。バイオガス施設を活用した生ごみ資源循環については他自治体でも実施しており、それら地域との差別化要素としてICTや行動経済学・心理学を活用して資源循環を促進していることをアピールし、環境大臣賞を受賞されました。
現在もさまざまな介入実験を実施しています。
現在も生ごみ回収量は想定よりも少ない状況で、南三陸町のステークホルダーのみなさまと連携して資源循環の促進を進めています。1つの例として私たちは可燃ごみ袋を販売している店舗に行動経済学のエッセンスを盛り込んだポスターを掲示する実験を実施しています。この事例以外にもICTを活用した仕組みなども準備を進めています。