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研究開発した「自分日誌」アプリのご紹介~アプリの基本的機能と実証実験機能~

DATE:2024.03.29
研究テーマ:心理学的行動変容

このたび、我々の研究グループでスマートフォンアプリ「自分日誌」を開発し、一般向けに無償公開いたしました[1]。本アプリは、セルフモニタリングの技法を用いて習慣化や行動変容を支援し、目標達成やワークスタイルの変容を目指すためのアプリです。

セルフモニタリングとは、心理学において「自分の特定の行動や習慣が、どのような頻度で、またどのような状況で生じているのかを観察することにより、自分の振る舞いに対する気づきを深める方法」とされています[2]。セルフモニタリングに関する先行研究では、自分のことを観察して記録するだけで特定の行動や習慣を変容させられることが示されています[3]

「自分日誌」アプリは、下記のように目標を立てる→記録する→振り返る&分析する→自分では気づかなかった自分のことに気づく、というサイクルをこなせるよう設計されています。さらに、コラムによる習慣改善のヒントと、自分の性格や傾向を客観的に知るためのチェック機能(心理尺度)も搭載されています。

特に、類似の自己管理アプリにはない分析機能が搭載されていることは、本アプリの最大の特長です。これにより、自分の認知・行動・感情・身体の状態のつながりについての気づきを得ることができ、日々記録したことを活用することができます。また、自分の記録から気づきを得られることで、記録を継続するモチベーションも維持・促進されます。

また、上記のサイクルによって自分の行動や習慣を適切にコントロールすることで、健康以外の側面も含めたwell-beingを向上させることも可能であると考えています。つまり、「自分日誌」アプリの基礎となるセルフモニタリングのプラットフォームは、現代社会で必要とされるさまざまな行動変容・意識改革に応用できると考えています。

そこで、「自分日誌」アプリを特定の集団向けにカスタマイズしたり、実証実験用に運用したりするための機能を搭載いたしました。具体的には、実験参加者にのみ表示される必須記録項目や共通目標、専用コラムを設定する機能です。さらに、実験参加者を複数のグループに分けて介入内容を操作することで、対照実験を行うことも可能となっています。これにより、企業における「自分日誌」アプリを応用した人事施策の効果検証や教育現場における学習習慣の定着およびモチベーション向上のための取り組み、心理学の経験サンプリング法を用いた学術研究を実施する際などにも本アプリをご活用いただけます。

「自分日誌」アプリは、App StoreとGoogle Playにて無償公開されています。ご興味のある方は、ぜひダウンロードしてご使用ください。また、実証実験機能をご使用になりたい方は、お気軽に下記お問い合わせ先までご連絡ください。

参考:

  • [1]
  • [2]
    松本 聰子(2005).セルフモニタリング 坂野雄二(編)臨床心理学キーワード(補訂版)(pp. 231–232)有斐閣
  • [3]
    村井 佳比子(2013).衝動的行動に対するセルフモニタリングの効果 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要, 14, 127–134.

担当者紹介

研究テーマ:心理学的行動変容
担当者:市川 玲子
コメント:心理学に関する研究業務全般を担当しています。博士(心理学)・公認心理師です。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーション推進本部
bt-design-contact@nes.jp.nec.com

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