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THE WELL-BEING WEEK 2025で発表しました

DATE:2025.5.29
研究テーマ:ウェルビーイング

はじめに

ウェルビーイングの研究をしている丸山と申します。

2025年3月16~23日に開催された「THE WELL-BEING WEEK2025」にて、「ウェルビーイングについてnoteを100記事書いてみた」というタイトルでプレゼンテーションをさせて頂きました。

2023年8月、私たちはNECソリューションイノベータ公式noteとしてウェルビーイングに関する情報発信を始めました。文章量多め・難しめの記事を投稿していることもあってか、初めのころはなかなか記事を読んでいただけませんでした。しかし、最近では多くの方に読んでいただけるようになり、2024年8月の月間PV数は4,133となりました。
開始当初想定していたウェルビーイングの基礎知識系の記事をおおむね投稿しきったことと、記事を投稿し始めて1年以上が経過したこともあり、「読者の方に私たちのことをもっと知ってもらいたい」「読者の方のご感想や反応を知りたい」と感じるようになりました。

そういった経緯があり、今回のTHE WELL-BEING WEEKでは、私たちのnoteの運営に関してご紹介する運びとなりました。本記事では、THE WELL-BEING WEEKでの発表内容について、ポイントをご紹介させていただきます。

noteを始めた経緯

本記事をご覧いただいている方はお分かりかと思いますが、私たち研究部門は研究の実績(学会発表や論文採択など)の報告や、研究内容のご紹介を会社のWebサイト上で実施させていただいております。
こういった情報発信をきっかけに、こちらの記事のように私たちの知見をお役立ていただけることもありました。しかし、私たち研究部門の認知度はまだまだ低く、お役に立てる情報であったとしても、目に留まっていないことが多いのではないか、という課題感がありました。例えば、私たちが行っていた「感謝と信頼」の研究の記事については、確認した時点で月間PV数が211でした。感謝に関する研究は近年増えているにも関わらず、冒頭に示したnote記事のPV数(4,133)と比較して明らかに少なく、あまり見られていないという事実がありました。

研究部門である私たちの発信する情報について、単純に「PV数が伸びればよい」訳ではないと思いつつも、「もう少し多くの方の目に留まるところで情報発信をしたい」と、新たな施策を考えることにしました。
そこでシェアードメディアでの情報発信を考え、検討の後noteで情報発信を行うことになりました。noteの記事を通じて、研究をしている私たちだからこそ発信できるウェルビーイングに関する有益な情報をお届けし、それをきっかけとして私たち自身の研究に興味を持ってもらおう、というコンセプトです。

noteの概要

私たち企業の研究部門ならではの特徴として、「学術的な知見があること」と「企業での実践事例を知っていること」が挙げられるかと思います。この特徴を生かした記事を執筆し、週一回を目途に投稿することにしました。
近年、ウェルビーイングという言葉が以前よりも一般的に使われるようになり、その言葉の意味や基礎知識のような情報はインターネット上で多く見られます。一方、ウェルビーイングが学術的にどのような定義をされていて、どのように測定するのか、といったまとまった情報はあまり見られません。
また、私たちはこれまでエンゲージメントや職場での感謝といった題材で研究を行ってきました。さらに、ウェルビーイングにフォーカスした研究として、ウェルビーイング経営を実践している企業の視察を行い、分析を行うといったこともしています。学術的な視点だけではなく、企業や組織での実践も視野に入れているのです。
ウェルビーイングを企業や組織で活かしたい方にとっては、学術的な担保が取れていること・企業や組織で実践できることが重要かと思います。そのような方のお役に立つような情報が発信できるのではないかと考えました。
こういった背景から、記事当たりの文字数が多かったり、内容が難しいこともありますが、専門用語には補足を入れたり、図表を使って整理するといった工夫をしているつもりです。

はじめのうちはウェルビーイングの基礎知識をまとめたり、World Happiness Reportを読み解くような記事を投稿していましたが、徐々にウェルビーイングに関連する知識や、世間ではまだあまり注目されていない研究のことなどにも話題を広げています。

よく読まれている記事とおすすめ記事

これまで投稿した記事でよく読まれているものをリストアップしてみます。

共通するのは、ウェルビーイングに関する基礎的な知識であることや、日本人にフォーカスした内容であることでしょうか。特に京都大学 内田由紀子教授らにより開発された「協調的幸福感尺度」の注目度が高いように思います。リストアップされているのは、協調的幸福感尺度が発表された論文そのもののご紹介をしている記事ですが、new windowこちらの記事では、ウェルビーイングの文化差にも触れているので、ぜひ併せてご覧ください。

続いて、執筆者らのおすすめ記事をご紹介します。
ぜひみなさんに読んでいただきたいのは、「new window【基礎知識】ウェルビーイングと収入の関係」です。この記事でご紹介している論文では、「幸福は収入に比例せず、頭打ちになる」という従来の言説は正確ではなく、「瞬間的な幸福(感情的ウェルビーイング)は、不幸な人は一定の収入以上で増えなくなるが、幸せな人は収入が増えれば増えるほど幸せになる」ことが示されています。「人々のウェルビーイングを向上するのは収入だけではない」ということを説明するためのエビデンスとして、「年収75,000ドルを超えると幸せを感じなくなる」という研究結果(Kahnemann, 2010)がしばしば引用されます。しかし、最近の研究では異なる結果が出ているのです。まだあまり注目されていない研究結果ではありますが、非常に重要な示唆が得られる内容です。

note運営を通じて見えてきたこと

私たちはPV数だけではなく、「どのような方に読んでいただけているか」といったことを確認するための調査も行っています。その調査の中で、ウェルビーイングそのものの認知度※も併せて測定しています。ウェルビーイング経営や研究部門の認知度は微増ですが、ウェルビーイングそのものの認知度は着実に増えているという印象です。

※ここでは「ウェルビーイングという言葉を聞いたことがあるか」を質問しています。

また、私たち自身も、心理学以外の観点でもウェルビーイングに関する知見が多くあることや、欧米など海外との文化差があるということなどを学ぶことができました。

プレゼンテーションの視聴者方からは、「執筆者らの想いについて知ることができてよかった」とのご意見も頂戴しましたので、今後もこういった機会を設けたいと思っています。ご視聴いただいた方は誠にありがとうございました。

私たちのnoteは毎週金曜を目途に更新中です
new windowhttps://note.nec-solutioninnovators.co.jp/

担当者紹介

研究テーマ:ウェルビーイング
担当者:丸山 佳織
コメント:ウェルビーイング経営や推しとウェルビーイングの関係に着目した研究を担当しています。
連絡先:NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ
wb-research@mlsig.jp.nec.com