開発者の声
NECの社員メールシステムでの実績を背景に
第二ブロードバンドシステム事業部
シニアエキスパート 菅沼 宏正
私たちはNECの社員メールシステムを手掛け、約10万人の利用者を対象に10年間無停止運用を積み重ねてきていました。そんな実績を経て、メール誤送信防止システムが誕生しました。
どのようなチェック機能を設けるか、業務の効率を落とすことなく誤送信を確実に止めていくようにするためにどうしたらよいか、NECの情報システム部門より、具体的な要望、さまざまなアドバイスをもらいながら機能検討を進めました。
とりわけ、重要視されたのは3点です。
- 業務を止めてはならない
信頼性はもとより、機能追加や増設を業務を止めることなく無停止で行えること - 柔軟に成長していくものでなければならない
メール使用環境の変化や新機能の登場にも柔軟に対応できるシステムであること - 運用が一律であってはならない
業務やプロジェクトなどの内容によって運用形態が変えられるものであること
その後、具体的にシステムを詰めていき、NECグループへの全面導入にいたる作業をさせていただいたわけですが、実はその時に開発したものが「ADVANCED MAILメール誤送信防止システム」のベースになっています。
お客様先への訪問で学んだこと
NECグループでのシステム稼働後のことです。お客様先でメール誤送信防止システムについてご紹介することが幾度かありました。その時、お客様に学ばせていただいたことを積み重ねていく中で、最初は「アドレスチェック」、「自己確認」、「第3者承認」の3大機能を主にしていたシステムですが、添付ファイルの自動暗号化といったように機能拡充を随時行ってきました。その結果、お客様のご要望に応えられるようなトータルソリューション ADVANCED MAILが生まれました。'Advanced'とは、「進んだ、進歩した」という意味の言葉です。どんどん進化していく、前進していくメールシステムという思いを名称に込めました。
柔軟な対応を目指して
ADVANCED MAILという名称を付けた背景には、お客様の環境に私たちのシステムが柔軟に対応しながら活用していただけるものになればと考えていたからです。お客様の回線環境一つとってみても、太い帯域が既にあるところもあれば、そうでない環境もあります。メールサーバの状況もそうです。メールサーバは本社にあるが、メール誤送信対策をしたいのはいくつもある支社の中の1支社だというお客様もおられます。そんな時に、サーバを細かくチューニングしなくても導入できるのだろうかとか、メインシステムと分離した形で構築できるだろうかとか、実にさまざまです。運用面での手離れの良さに関心をお持ちのところもあります。いろいろ勉強になることが多く、ADVANCED MAILは、これらのさまざまな事情に応えられるようにしようと思いました。
「いいこと」と「楽になること」をセットで
「入れて面倒くさくなるのは困るよ」とは、よく言われます。確かにメール誤送信防止システムは、アドレスチェックや本人確認、場合によっては第三者承認が必要など、いわゆる手続きばかりについ目がいくようです。しかし、例えば、添付ファイルの自動暗号化などはステップの効率化につながります。しかもADVANCED MAILなら、より便利になる機能を運用しながら付け加えていくことも可能です。つまり、手間がかかることばっかりではなく、「いいこと」とを合わせてシステム展開をされてはどうか、「いいこと」と「楽になること」、これをセットで考えるようにしていただきたいと思っています。
一番の特徴は、システムとしての構造の違い
メール誤送信防止に向けた製品は既にいろいろありますが、ADVANCED MAILのような自由度を持ったものは他にないと思っています。ADVANCED MAILなら、必要な機能が選べるだけでなく、あとから手軽に追加することもできる。他の多くの製品は、最初からひとつのパッケージングとして完結していて、パッケージに含まれていない、オプションでも用意されていない機能は、別の製品を別のサーバに入れてということになっていると思います。ADVANCED MAILはそうではありません。構造が違います。機能決め打ちでつくるのは簡単ですが、そうではなくて後から追加できるようにする、そこが一番むずかしかった点でしょうか。
例えば、「一時保留」の考え方について
メール誤送信防止のポイントのひとつに、送信メールの「一時保留」があげられます。ただ、気をつけなければいけないのは、「一時保留」のしくみです。メール送信操作後、一定時間はサーバに保留しておいて、一定時間が立った時、その間に送信者から送信取り消し操作などがないと自動的に送信するものもありますが、これでは結局気がつかなかったら出て行ってしまいます。そもそも漏れたら困るものに、漏れるパスがあるというのは誤送信システムを入れてどこまで効果を期待しているのだろうかと疑問をもってしまいます。確認ダイヤログを表示するものもありますが、毎回無条件に確認を求めていると惰性で承認してしまう場合があります。慣れからくるうっかりミスです。
そこで、ADVANCED MAILでは、誤りの可能性を見つけた時に、送信者に承認を求めるのはもちろん、送信者が承認する際にも、確認せずに承認ボタンを押せないように確認チェックボックスを設けています。
ADVACED MAIL(アドレスチェック、自己確認)の基本的な動作は、以下になります。
アドレスチェック
メール送信時に、宛先アドレスに対応した送信キーワードを書くことにより、ADVANCED MAILが送信者の意思と宛先アドレスの妥当性をチェックします。ちなみに、アドレスチェックの厳正さを期するため、ADVANCED MAILでは新開発機能(特許第5051664号)を採用しています。
自己確認
送信者に自己確認していただかないといけない何らかの問題をADVANCED MAILが検知した時(例えば、上記のアドレスチェックで、宛先アドレスと送信者の意思の整合性を確認できない場合や、添付ファイルがある場合とか、宛先アドレスが多い場合とか)は、送信者に確認を促します。自己確認を要求する条件は、お客様の考え方に合わせて設定することができます。
自己承認
アドレスや添付ファイルの確認チェックボックスにチェックしていただくことにより、承認ボタンが押せるようになります。
このようなステップを設けることが、メール誤送信を確実になくすためのひとつのやり方だと思います。企業などでは、何百万件、何千万件の中に起こる一通を防ぎたいわけで、そこに対して確実に止められるようなものが必要だと思います。とにかく対策としてするべきは「誤送信事故ゼロ」の実現なのです。
コンセプトは、「人」と「情報システム」の融合
ADVANCED MAILのコンセプトは、「人」と「情報システム」をバランスよく融合させ、うっかりミスによるメールの誤送信を未然に防ぐとともに、誤送信しても実害を抑える、そのようなメールインフラづくりです。人だけが注意してもうまくいかないのでシステムでバックアップする。ただシステムに任せきりのチェックだとステップが増えてしまい使いにくくなるのである程度は人に任せる、そこを協調させながら誤送信対策をしていこうというのが基本的な考え方です。第三者承認を行う場合でも、のべつまくなしに第三者による承認を必須とするのではなく、添付ファイルがある時とか、メールアドレスが多い(宛先が多い)場合に第三者承認のステップを必要とさせるといったようにすることもできるようにしています。
情報システム部門の業務インパクトを軽減
システムを預かる情報システム部門の方の業務の負担を減らすことにも注力しました。ポイントは運用後です。日々の管理業務に手間をかけずに済むだけでなく、「ADVANCED MAILなら、無停止サービスが実現できる!」。サーバ増設等に伴うシステムの移行時もシステムを止めずノンストップで行えることは、情報システム部門の方の負担やストレスを大いに軽減します。資産移動の場合でもディスクを止めずに、資産を他のディスクに移行できるようになっています。この無停止サービスの実現は、実はすごいことで、情報システム部門の方へのインパクトは大きいです。みなさまに安心してご利用いただけるポイントのひとつだと自負しています。
ちなみに、ADVANCED MAILメール誤送信防止システムは、その名称通り、日々進化を続けています。よりユーザフレンドリーなものになってきているのではと考えています。
これからも企業活動を支える重要なセキュリティツールとして役立つ事を念頭に置き取り組んでいきたいと思います。