サイト内の現在位置
コラム
企業や自治体で進むチャットボット活用事例8選
~社内ヘルプデスクへの問い合わせが90%減という成果も~
UPDATE : 2021.06.11
昨今、多くの業界で耳にするようになった「チャットボット(chatbot)」。Webサイトや社内システムなど多くのシーンで活用が進んでおり、実際に使ったことがあるという人も多いのではないでしょうか? ここではそんなチャットボット活用の現在について、実際の活用事例をもとに解説します。
INDEX
- チャットボットの活用はもはや常識になりつつある
- 有名企業でも活用が進むチャットボット 業務効率化、売上増、人件費削減に大きな貢献
- 「マナミさん」が毎月1万件以上の顧客対応を代行(アスクル)
- 複雑な社内手続のサポートをチャットボットで効率化(三井住友銀行)
- チャットボットがおすすめコーディネートを提案(ユニクロ)
- 初めての旅先でも安心の自動プランニング機能を実現(ナビタイムジャパン)
- 地方自治体でもチャットボット活用が加速 地域住民の生活を支える存在に
- チャットボットを活用した粗大ごみの受付を開始(横浜市)
- 県民からの救急相談にチャットボットでいつでも対応(埼玉県)
- アイデア次第でチャットボットの可能性はこれからも広がり続ける
- チャットボットをマーケティングに活用 20万人のファンが人気キャラクターと楽しく会話(小学館)
- 国内最初期のAIチャットボットはいまだ健在 さらなる可能性を模索して独立も(マイクロソフト・rinna)
- まとめ
チャットボットの活用は
もはや常識になりつつある
「チャットボット」とは、人間のオペレーターに代わって、コンピューターが顧客や従業員の問い合わせに応答するシステムのことです。特殊な操作を覚えることなく、まるでSNSでものを尋ねるような感覚で使えるため、ITリテラシーの低い人でも必要な情報を引き出せるメリットがあります。特に昨今ではAI技術の発展により、回答の精度が大きく向上。人件費を大幅に削減できるメリットもあり、カスタマーサポートからマーケティングまで幅広く活用されるようになっています。
有名企業でも活用が進むチャットボット
業務効率化、売上増、人件費削減に大きな貢献
すでに多くの業界で活用が始まっているチャットボット。ここでは、それらの中から特に大きな成果を挙げている成功事例を紹介します。
「マナミさん」が毎月1万件以上の顧客対応を代行(アスクル)
通販大手アスクルの個人向けサービス「LOHACO」で活躍する「マナミさん」は、国内チャットボット黎明期に登場したサービスのひとつです(2014年にサービス提供開始)。ユーザーは「配送日時の変更方法を知りたい」「領収書がほしい」などといったサービス利用に関するさまざまな質問を、気軽に行うことができます。営業時間を問わず、24時間利用できることも好評で、現在は1か月あたり約1万3300件の問い合わせに対応。コールセンター業務の効率化に大きく寄与しています。また、同社ではマナミさんのほか、法人向けのチャットボット「アオイくん」も提供中。こちらは1か月あたり約4万9600件もの問い合わせに対応しているそうです。
複雑な社内手続のサポートをチャットボットで効率化(三井住友銀行)
三井住友銀行グループは、行内のOAシステム利用や人事手続に関する従業員向けヘルプデスク業務をチャットボット化。担当部署の負担軽減に加え、マニュアルは整備されているものの、あまりに膨大すぎて欲しい情報にたどり着くのが難しいといった課題を解決しました。結果、OAシステム利用に関しては約90%、人事手続に関しては約87%の問い合わせがチャットボット内で完結するという大きな成果を挙げています(2018年8月時点)。現在は顧客向けにも提供を開始したほか、同様の課題を抱える外部企業へのライセンス提供も開始しています。
チャットボットがおすすめコーディネートを提案(ユニクロ)
アパレル大手のユニクロは、「あなた専用のお買い物アシスタント」と銘打ったチャットボットサービス「UNIQLO IQ」をLINE上にて提供中。登録されたユーザー情報をもとに、LINE画面上でおすすめコーディネートを見たり、キーワードを入力すると要望に合わせた最適なコーディネートを提案してくれたり、などということができます。オンラインストアのIDと連携させることで、購入済み製品をもとにしたコーディネートやおすすめされた商品のお気に入り登録なども可能となります。
初めての旅先でも安心の自動プランニング機能を実現(ナビタイムジャパン)
スマートフォン向けに各種ナビゲーションサービスを提供しているナビタイムジャパンは、アプリ『NAVITIME Travel』において、チャットボットを利用した旅行プランの自動プランニング機能を提供開始。アプリ内でチャットボット「Mr.NAVITIME」に日程、移動手段、エリアを伝えるだけで、おすすめの日帰り旅行プランを提案してくれます。提案されたプランをユーザーが独自にアレンジすることも可能です。土地勘のないエリアを訪れる際のハードルを大きく下げることに成功しました。
地方自治体でもチャットボット活用が加速
地域住民の生活を支える存在に
チャットボットが活躍しているのはビジネスの世界だけではありません。さまざまな地方自治体が住民サービス向上のためにチャットボットを導入しており、こちらもすでに多くの成果を挙げています。ここでは2つの事例を紹介します。
チャットボットを活用した粗大ごみの受付を開始(横浜市)
神奈川県横浜市は積極的にチャットボットを活用している自治体のひとつ。2017年にゴミの分別問い合わせにチャットボットを導入したことが話題になりましたが、2020年3月からは粗大ゴミの申し込みもチャットボットで行えるようになりました。これまでも行えていた手数料の確認に加え、現在では最短収集日の確認、収集の申し込み・変更・取り消しをチャットボットで24時間行えます。なお、同市は2021年3月から「横浜市AIチャットボット」の試験運用もスタート。戸籍や税から公共施設の活用、市営交通などまで市政全般に関する問い合わせをチャットボットで行えるようにしています。
県民からの救急相談にチャットボットでいつでも対応(埼玉県)
埼玉県は2019年7月から「埼玉県AI救急相談」チャットボットの本格運用をスタート。埼玉県の公式Webサイトからチャットボットにアクセスし、年齢や性別などの基本情報と症状に関して選択・入力していくことで、AIが可能性のある症状をリストアップ。緊急度の高いものは119番のボタンを表示し、ワンタッチで救急車を呼べるようにしています(スマートフォンの場合)。なお、埼玉県も横浜市と同じく業務全般に関して対応可能なチャットボット「埼玉コンシェルジュ(AI総合案内サービス)」を提供中。新型コロナウイルスに関する情報提供などでも活用されています。
アイデア次第でチャットボットの可能性は
これからも広がり続ける
現在は主にユーザーサポートを中心に活用されているチャットボットですが、近年では従来の枠を超える取り組みも多く見られるようになりました。ここでは、それらの中で特にユニークな事例を紹介します。
チャットボットをマーケティングに活用
20万人のファンが人気キャラクターと楽しく会話(小学館)
国民的コミック作品『名探偵コナン』は、単行本の販促キャンペーンにチャットボットを活用。2018年には本作を原作とする劇場映画『名探偵コナン ゼロの執行人』の公開にあわせ、人気イケメンキャラクター・安室透とLINE上で会話できるチャットボットを期間限定で提供しました(現在はサービス終了)。その結果、映画公開にあわせた原作コミックスフェアでの売上は過去最高を記録。20万人を超えるファンが人気キャラクターとの会話を楽しみました。
国内最初期のAIチャットボットはいまだ健在
さらなる可能性を模索して独立も(マイクロソフト・rinna)
アスクルのチャットボット「マナミさん」と並び、国内チャットボット黎明期からサービスを提供しているマイクロソフトの女子高生AIチャットボット「りんな」。当初は明確な目的を持たない、雑談重視のコミュニケーションチャットボットとして、LINEやTwitterで活動していましたが、2018年ごろからマーケティング支援や歌手活動など活躍の場を拡げ、2019年には女子高生からの“卒業”を宣言したことでも話題になりました。そして、2020年8月にはマイクロソフトから独立し、新会社「rinna株式会社」を設立。「すべての組織とすべての人にAIキャラクターを」をビジョンとして掲げ、これまで以上に幅広い活動をしていくとしています。
まとめ
AI技術の高度化に伴い、これまで以上に幅広く、柔軟な対応ができるようになったチャットボット。記事中の事例でも紹介したりんなの活躍などに象徴されるよう、今後はさらに幅広い業界で活用されていくことになるでしょう。チャットボット開発・運用ソリューションも活況となっており、導入のハードルも低くなっていますので、これを機に自社サービスにチャットボットを導入してみてはいかがでしょうか。