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イノベータ’s VOICE
物流倉庫の人手不足、作業ミスの業務課題を
WMSで一気に改善
UPDATE : 2021.11.19
コロナ禍による消費者行動の激変などに伴い、今、物流業界に変革の波が押し寄せています。旧態依然とした、属人的な倉庫管理手法を捨てきれない企業はこれからの時代を生き残るには困難な状況となっていくでしょう。この記事ではこれからの時代を乗り越えるための、倉庫管理の改善策を紹介。加えて物流倉庫の改善に役立つソリューションとその導入事例も解説します。
INDEX
- 物流倉庫でありがちな課題
- 物流倉庫の業務改善のヒント
- 作業ルールを標準化する
- VRを使ったオンライン研修
- 操作が簡単な在庫管理システムを導入
- 作業プロセスの工程管理
- 物流倉庫の改善には「ULTRAFIX/WMS」を提案
- 最小限の操作で物流倉庫の業務フローをカバー
- 作業効率化に役立つロケーション管理
- リアルタイムな進捗管理でミスを回避
- 「ULTRAFIX/WMS」による改善事例
- 【製造業の事例】在庫の見える化と棚卸し金額差異が1/10に減少
- 【卸売業の事例】作業効率の向上と属人化の解消
- まとめ
物流倉庫でありがちな課題
コロナ禍以降、消費者行動が大きく変化したことなどに伴い、物流に大きな変化が生じています。以下は、物流の要である倉庫業務で実際に起こっている問題をピックアップしたもの。いわゆる「巣ごもり消費」によって急増した個人向け宅配の物流量増加に加え、物流業界以外でも問題となっている人手不足がこうした問題を引き起こしています。
【物流倉庫が抱えるおもな課題】
- 業務量が増えたにもかかわらず、慢性的な人手不足で更なる業務負荷が発生している
- 作業が属人化しているため、増員だけでは人手不足は解消されない
- 仕事が忙しすぎて、新人教育の時間確保が難しい
- 出荷優先の業務により、所定の保管場所への入庫格納が後回しとなり、モノ探しが発生
- 作業者に柔軟な要員配置の指示が出せない
なお、物流業界の負担増加は、スマートフォンやSNSの普及に伴うオムニチャネル戦略の推進など、コロナ禍に起因しない購買行動モデルの変化への対応によっても引き起こされています。そのため今後、コロナ禍の影響が小さくなっていっても、状況が劇的に改善されることはないでしょう。物流量増加、人手不足という課題に真正面から向き合った、根本的な対策が求められています。
物流倉庫の業務改善のヒント
物流倉庫の問題はどのようにして解決していくべきなのでしょうか。ここではIT技術を利用した対策をいくつか紹介します。
作業ルールを標準化する
入荷作業のミスはそのまま出荷作業のミスに直結します。入荷作業のミスをなくすために必要なのは、なによりもまず、作業のルール化・標準化です。経験の浅い従業員でも適切に作業できるような環境を作りあげることで、全体の作業精度を高めていきましょう。
具体的な手段として、バーコードリーダーやOCR機能を備えたハンディターミナル(HT)を利用した検品システムの用意や、欠品しやすいアイテムを優先的に入庫格納するルール作りなどが挙げられます。あわせて保管ロケーションごとに入荷順や出荷ピッキング順のルール化を行うことで、倉庫内の動線最適化など、更なる作業効率アップが可能です。
VRを使ったオンライン研修
従業員が短期間でスキルアップできるようなトレーニング環境の構築も重要です。特に近年注目を集めているのがVR(バーチャル・リアリティ)技術を活用したオンライン研修です。仮想空間を通して実際の作業現場を疑似体験できるので、紙のマニュアルやシステムを通してベテラン社員が教育するよりも、新人の物流オペレーションの習熟度が早くなります。
例えば、ピッキング作業後に出荷検品や出荷梱包ラベルをどのような流れで実施すればよいか、取扱アイテムの温度帯管理に即した入荷はどのような流れで実施すればよいかなど、システムでは指示しきれない運用手順をイメージ把握できます。これにより、経験の浅い社員の育成だけでなく、新設の物流センター稼働前の運用トレーニングも可能です。VRを活用することで、様々な視点で体感的にトレーニングや運用事前検証もできるため、机上の議論では導き出せなかった問題点の洗い出しにも寄与するでしょう。
操作が簡単な在庫管理システムを導入
高性能な倉庫管理システム(WMS)を導入しても、実際にそれを利用する従業員が使いこなせないのでは意味がありません。その対策として分かりやすいマニュアルを用意することも重要ですが、そもそも誰でも直観的に使いこなせるように設計された、シンプルで分かりやすいシステムを導入すべきでしょう。そうすることで、新人でも業務マニュアルを熟読することなく、短時間での業務習得が可能になります。また、誰にでも使えるシステムの導入は、作業ミスを低減する効果も期待できます。
作業プロセスの工程管理
物流倉庫の改善には作業プロセスの工程管理も重要です。例えば出荷に遅延が発生した場合、まずどこで遅延が発生したのか、作業完了までどのくらいの時間がかかりそうなのかを把握できないと適切な対処ができません。もちろんその後、どうしてミスが発生したのかを分析し、作業プロセスなどの見直しなどを行っていくことも忘れてはなりません。
こうした一連の作業を手助けしてくれるのが、作業プロセスの管理システムです。入荷予定から検品、格納、在庫、出荷予定登録、ピッキング、出荷検品までの作業状況をリアルタイムに「見える化」することで、トラブルへの対応や適切な要員配置、改善施策を適切に行なえるようにしてくれます。
物流倉庫の改善には「ULTRAFIX/WMS」を提案
ここまでで紹介した物流倉庫の業務改善に役立つソリューションとして注目を集めているのがNECソリューションイノベータの「ULTRAFIX/WMS」です。ここでは同システムのおもな機能について紹介します。
最小限の操作で物流倉庫の業務フローをカバー
シンプルかつ少ない使用画面で入出荷管理や在庫管理が行え、帳票を出力することなく次の作業に進むことも可能です。入荷業務では、ハンディターミナルを使ってバーコードやOCRを読み込むことで入荷検品を行うのと同時に、そのタイミングでWMSに在庫生成されます。そのため、保管場所への入庫格納を待つことなく在庫引当が可能となるので、WMS上での欠品が回避できます。こうした特徴から、最終的に保管したいロケーションに格納したい場合は、出荷作業が落ち着いたタイミングで実施することができるため、入庫格納ミスも防ぐことが可能です。
作業効率化に役立つロケーション管理
「ULTRAFIX/WMS」ではロケーションを最大5階層まで設定可能。フロア・エリア・列・段・間口など、倉庫によって異なるロケーション定義に合わせて登録できます。また、入荷時の棚入れや出荷時のピッキングの際に一筆書きやジグザグといった作業動線を設定したり、保管エリア単位でピッキング方式を指示したりすることも可能です。
リアルタイムな進捗管理でミスを回避
個々の従業員が利用しているハンディターミナルから集まった情報をリアルタイムに表示し、入荷・出荷作業の進捗を「見える化」します。それぞれの作業の進捗率もパーセンテージ表示で確認できるため、作業完了予定を正確に予測し、適切な業務指示を行えます。
また、「ULTRAFIX/WMS」は簡易BIツール「SimpWright」との連携も可能です。「SimpWright」から「ULTRAFIX/WMS」の在庫・入出+「荷」実績データをはじめとする各種マスタが参照できるので、日別・月別の入出荷波動や在庫回転率など様々な情報が可視化できるため、倉庫内の業務改善に大きく貢献するでしょう。
「ULTRAFIX/WMS」による改善事例
では実際に「ULTRAFIX/WMS」を導入した物流倉庫ではどのような成果を得られたのでしょうか。ここでは具体的な導入事例を2例紹介します。
【製造業の事例】在庫の見える化と棚卸し金額差異が1/10に減少
ある工業用機械を取り扱っている製造業社(作業者数120名程度、在庫アイテム数約2万7000件、出荷明細行数は約3万5000件/月)は、広大な敷地内に部材が点在している上、それぞれの状況について保管場所の担当者しか把握しておらず、担当者不在による時間ロスが発生しがちでした。また、書類ベースでの作業指示を行っていたため、記録漏れが発生してしまうことも悩みの種になっていたといいます。
これらの問題を解決すべく「ULTRAFIX/WMS」を導入し、全倉庫・工場でロケーション管理を実現。作業指示をすべてシステム経由で行うようルールを徹底し、Android端末を使ってどこからでも作業を記録できる環境を整えました。こうした改善によってこれまで属人化されていた在庫状況が「見える化」され、在庫精度の向上に成功。期末の棚卸し金額差異を導入前と比べて10分の1まで軽減できたほか、指示系統明確化によるイレギュラー業務の洗い出し、改善も可能になりました。
【卸売業の事例】作業効率の向上と属人化の解消
ある食品卸業者(作業者数30名程度、在庫アイテム数約1万3000件、出荷明細行数約35万件/月)は、ロケーション管理や期限管理をベテラン作業員が都度判断して業務遂行することが常態化していました。更に外部倉庫に至っては在庫情報を正確に把握できていない問題もありました。
こうした状況を踏まえ、事業継続性を向上させることを目的に「ULTRAFIX/WMS」を導入。ロケーション管理や期限管理をシステム化し、自社倉庫と外部倉庫の在庫管理も実現したことで、出荷先へのサービス品質を向上できたといいます。なによりベテラン作業員頼りとなっていた作業を削減できたことで、将来的な事業継続性を担保できました。
まとめ
需要が急激に増加しているにもかかわらず、人手は慢性的に不足している物流業界において、業務・管理のデジタルシフトはもはや避けては通れない道です。作業プロセスを徹底的にスマート化し、効率を高めていかなければ、これからの時代に生き残っていくことはできないでしょう。そのためにも効率的な倉庫管理システムの導入は必須。今回紹介した「ULTRAFIX/WMS」のようなシステムの導入を検討しましょう。