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人的資本レポート公開インタビュー
多様な能力を持つエンジニアを惹きつけ、活躍と成長を支える決意を伝えたい
NECソリューションイノベータ 人財企画部長上浜 敏基


事業成長の原動力は「人」。NECソリューションイノベータでは、かねてから社員一人ひとりが成長し、最大限に力を発揮できるよう人材への投資や、人事制度の改革に取り組んできました。そして、これから当社への入社をご検討いただける方、現在仕事をしている従業員をはじめとする全てのステークホルダーに向けて、自社初となる「人的資本レポート」を公開。発行責任者である人財企画部長の上浜敏基にその狙いを聞きました。
「人的資本レポート」を公開した理由
2023年3月31日、NECソリューションイノベータは「人的資本レポート」を公開しました。当社の人事評価の仕組み、役職の種類や選定のプロセス、福利厚生など、人事に関する情報を余すことなく公開したレポートです。ここまで踏み込んだ内容のレポートを公開している企業は、いまのところ少ないと思います。当社が「人的資本レポート」を公開した理由は、大きく2つあります。
1つ目は、当社の人事制度改革を進めるため。従来の日本型雇用慣行が限界を迎えつつある中、当社も最先端のICTを扱う企業として成長していくためには、多様な人材に当社を選んでいただき、働きがいをもって活躍してもらえるように人事マネジメントを改革していかなければなりません。本レポートは、現在の人事制度の内容と、これからの改革に向けた決意を社内外に伝えるためのものです。
2つ目は、当社が人事マネジメントに真摯に取り組んでいることを、社員の方々に知ってもらうためです。現場の従業員は、会社にどんな人事制度や福利厚生があり、どんな課題があるのか、あまり理解していないのが実情です。当社の人事制度は、国内の有数企業と比べても優れていると自負しています。それを知ってもらいたいのです。

職位体系と高度専門職制度
当社の人事制度のどんな点が優れているのか? 例えば専門職をメインとしたキャリア体系です。
私たちはデジタル技術でお客様に価値を提供する会社で人材の中心はエンジニアです。一般的な人事制度では、経験を積んで管理職、役員とキャリアアップをしていくごとに現場から遠ざかり、部下の進捗管理や予算策定などのマネジメント業務にあたることになります。しかし当社のエンジニアは、最先端のデジタルテクノロジーを活用し価値を生みたい、技術者としてキャリアアップしたい人が多いのです。
そういったキャリア意識に応えられるように、エンジニアとして活躍し続けられる職群と等級、職位体系を整備しています。具体的には、主として専門職キャリアと組織長キャリアにわかれ、専門職キャリアを選択すればエンジニアとしての業務を続けることができます。もちろん、本人と会社の話し合いを経て、専門職から組織長にキャリアチェンジすることも可能です。
また、専門職キャリアで部長職相当以上に適用されるのが、「高度専門職制度」です。3年ごとに技術認定の審査があり、仕事の実績に加えて技術を更新できているのかをチェックします。こうすることで、技術を磨き続けることができるのです。管理職が技術を磨き続けるメリットは、本人だけにとどまりません。幹部が業界をリードする技術的な知識を持っていれば、従業員への説得力も増すでしょう。一般的に幹部ともなれば技術的なことは現場に任せ、自身は経営に専念するというケースも多いのですが、例えば、幹部が新しいサービスの会見をするときに技術的な話もすべて説明できたらイメージも向上するでしょう。
ダイナミックにキャリアアップする機会を提供
「ジョブチャレンジ制度」
エンジニアのキャリアに関する課題は他にもあります。例えば、同じ上司、同じ部下、同じメンバーと同じ領域の仕事をすることが多く、ややもすると単線的なキャリアに陥りやすい、という課題です。もちろん、同じメンバーで長く仕事をすれば、メンバー同士がお互いを理解し意思疎通がとれて、スムーズに仕事ができるでしょう。一方で、同じ領域のプロジェクトばかりを担当していると、異なる領域の案件に対応できにくくなるのではないかという懸念もあります。こういった事態を避けるために、エンジニアは技術を磨き続け、さまざまなチームで多様なプロジェクトを経験する必要があります。
当社はジョブチャレンジという制度を採用しています。各部門が社内に求人を出し、求人を見た従業員が応募し、必要とする能力やスキルなどの条件を満たしていれば異動が成立します。別のチームやプロジェクトを経験したい、ちがう部署で自分のキャリアをもっと伸ばしたいと思う社員のキャリア意識を尊重して社内異動できる制度を整えました。2020年の11月にスタートして2年と少しが経ち、徐々に手を挙げる応募者の数が増えてきています。
また、全国1万人のエンジニアの能力と経験、育成情報をデータベース化した「タレントマネジメントシステム」を活用したプロジェクトへのアサインも新しい取り組みです。社員の職歴やスキルなどの情報とともに育成情報も登録。AIやセキュリティといった当社の強化領域については、『強化領域人材育成プログラム』と呼ばれるOJTも含めた中長期的な研修と実際の業務経験を踏まえて、スペシャリストとして認定する仕組みをつくり、認定者の情報をデータベースに登録。認定者を積極的に当該領域にアサインするよう促進しています。
さらに「私のキャリア」という仕組みがあり、社員が自分自身のキャリア情報を確認できるようになっています。上司と共に設定したキャリアプランやこれまでの仕事、教育受講状況などが蓄積されているので、上司との1on1やキャリアレビューなどの機会では、「私のキャリア」画面を上司と共有し、実態を踏まえ今後どうしていきたいかという会話が可能です。つまり、会社にとっては各領域に最適な人材を素早く簡単に検索することができ、社員にとっては自らのキャリアを考えるツールとして使うことができるという、双方にとって大きなメリットを得られるシステムが整いつつあるということです。

NECソリューションイノベータにおける評価の基準は
「フェア」であること。
私たちNECソリューションイノベータにおける評価の考え方は、「フェアであること」です。社員である私が言うのもおかしいかもしれませんが、当社は人間関係が非常に良好で、企業風土として根付いています。上司や部下への不満も少なく、コミュニケーションもよく取れていて、本当に仲がいいんです。一方で、部下の評価が上司との関係や印象によって左右されてしまう面も、少なからずありました。
そこで、明確な職務価値と行動基準に基づいて、しっかりと成長と実績を評価する制度にしました。今年度から管理職以上に「9ブロック」と呼ばれる評価の仕組みを適用し、2024年度に全社員へ導入予定です。評価を下すだけでは次への成長に繋がらないので、上司との1on1ミーティングなどでフィードバックを行い、成長するための手段を模索していけるようにしています。
この評価制度は当社にとってはかなり大きな改革で、まだ社内には戸惑いも残っています。ですが、人的資本レポートとして制度を公表したからには、やらないわけにはいきません。本レポートの公開は、「人事制度改革を絶対に実行する」という覚悟の表明でもあるのです。
柔軟な働き方で
どんな人でも働きやすく
当社の社員は、リモートワークまたは従来通りの出社、フレックスタイム制など、さまざまな働き方で業務を行っています。
まず、代表的な制度がコアタイムなしのフレックス制度(スーパーフレックス制度)。社員が自分で働く時間を選び、自分のリズムで業務を行うことができます。特に子育て世代に好評の制度ですね。スーパーフレックス制度を導入する前までは、子育て世代は時短で勤務していましたが、時短勤務ではどうしても業務量と給料が減ってしまいます。しかしスーパーフレックス制度なら、自分で働く時間を選べるので、業務量をあまり減らさずキャリアを形成でき、なにより給料も下がりません。現在では多くの従業員がスーパーフレックス制度を利用し、会社としての生産性も向上しました。
また、リモートワークも導入しています。エンジニアは自走できるなら、会社に来るよりも自宅などで業務を行うことで生産性が上がる場合があります。意外な効果があったのが、単身赴任者です。2年ほど前に単身赴任で転勤していた従業員に対して、「一定の条件を満たし、リモートワークで対応できるなら、転勤先から地元へ戻ってよい」と通達したところ、かなりの社員が地元へ戻りました。
反対に、若い世代には「出社して先輩とコミュニケーションをとりたい」と希望する社員もいました。直接顔を合わせて話をし、先輩の仕事ぶりを見ることで技術を学びたい、ということのようです。リモートワークではできないことですね。もちろん、出社、リモートワーク、どちらで働いてもらってもOKです。
働き方の制度については、リモートワークなど空間軸と、スーパーフレックスタイムなど時間軸のふたつの観点から、今後も従業員の意見を取り入れ柔軟に変更していくつもりです。

「インクルージョン&ダイバーシティ」が
成長戦略を支える
ここまでは社員の働きがいや働きやすさについて述べてきました。当社でもうひとつ重視しているのが「多様性」です。多様性とは、性別や国籍、新卒やキャリア採用、再雇用、など、あらゆる側面を意味しています。
一般的に「ダイバーシティ&インクルージョン」と表現されますが、当社は「インクルージョン&ダイバーシティ」と、順番を逆にして表現しています。NECグループ全体として、インクルージョン(包摂)が発揮されて初めてダイバーシティ(多様性)に価値があることを強調することが目的です。
例えば性別。当社従業員の男女比は、男性が81%、女性が19%です。これは「人的資本レポート」内にも記述してあります。エンジニアは本来、性別とは関係なく活躍できる職種ではあるのですが、応募者の多くが男性なので、女性比率の増加には苦慮しているのが実態です。
女性比率を上げるためには、単に女性を採用するだけでなく、入社した女性が活躍できる環境を整えることが必要です。その一環として、課長職以上の昇進の推薦に際して、女性枠と若手枠を設けています。徐々にではありますが女性管理職の比率は上がってきています。
ただし推薦枠は設けますが、実力に基づいた客観的な評価を行います。昇進はあくまで業務遂行能力があってこそ。この原則を忘れてはいけません。そのかわり、もし昇進から漏れた場合、現場での育成に問題がなかったか、「若手だから女性だから、難しい仕事は任せられない」というようなバイアスがなかったかをチェックします。
女性以外にも、文系の新卒、外国籍、すでにエンジニアとしてキャリアを積んでいる方の採用など、多様な人材に当社を選んでもらうことが、私たちの成長戦略を支えていくと考えています。
本レポートを読む皆様へ
この度公開した「人的資本レポート」は、わたしたちNECソリューションイノベータが本気で人事マネジメントの改革をおこなうという固い決意の表れです。評価、採用、研修など、かなり細かい部分まで紹介しています。これだけの量と内容を公開している企業は、おそらく日本国内にも数えるほどしかありません。これだけの情報をオープンにできるくらい、当社の人事はフェアな評価を行い、エンジニアにとってやりがいがあり、働きやすい環境を整えているのだと、多くの人に感じ取っていただきたいです。そして、「人的資本レポート」を読んで、当社で共に働きたいと感じていただける方が、一人でも増えれば幸いです。

NECソリューションイノベータの人事制度(抜粋)
項目 | 具体的な制度・施策・状況 |
---|---|
充実した育成メニュー | <制度>
|
日々の柔軟な働き方 | <時間軸>
|
人間関係の良さ |
|
幅広い福利厚生 |
|
UPDATE:2023.05.17
当社人財企画部・人的資本レポート担当者が登壇
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