サイト内の現在位置
ゆうちゃみさんに刺さるアプリで「GIFTech」ハッカソン優勝
役割から"はみ出す"楽しさと大切さ
IT技術者らがチームを組み、ソフトウェアやアプリ開発などの成果を競うイベント「ハッカソン」。近年、人材育成やイノベーションを生み出す手法として注目され、NECソリューションイノベータでも2018年から社内ハッカソンを開催しています。
このたび、外部のハッカソン「GIFTech 2024 春(主催=株式会社レアゾン・ホールディングス)」に参加した木下桜子のチームが最優秀賞を受賞。タレントのゆうちゃみさんに”刺さるアプリ”を開発したハッカソンでの体験について聞きました。
0からの開発と伝える力の向上を期待して
「エンジニアの創造性を刺激し、モノ創りの喜びを再発見する」ことを目的に2024年1月より始まったプロジェクト「GIFTech」。その一環で3月16日~4月28日に行われたハッカソンが「GIFTech 2024 春」です。2日間のセミナー後、書類選考を経て選ばれたエンジニアや大学生らが6チームに分かれ、アプリ開発の成果を競いました。
課題は有名インフルエンサー向けのパーソナライズドサービスを開発すること。タレントのゆうちゃみさん、トラックメーカーのチバニャンさん、Webメディア「オモコロ」編集長の原宿さんの3人が自分のためだけに開発されたアプリを実際に体験し、最優秀賞を選びます。
「以前、和歌山県の南紀白浜で行われた社内ハッカソンに参加したことがありました。普段と異なる環境での学びは刺激的でリフレッシュにもなったことから、社外のハッカソンにも興味を持つようになりました。特に今回は1ヶ月半かけて0から開発を行います。これまでプロダクトのコンセプトから考える構想設計に携わったことがなかったので、いい勉強になるのではないかと思って応募しました」
0からの開発。それには以前から関心がありました。
「入社後は通販系のシステム構築に携わっていました。既存のシステムを改善することが主な業務で、やりがいを感じていましたが、経験を重ねるうちに自分のアイデアを生かして、0から1を生み出すような仕事もやってみたいと思うようになったんです」
ちょうどその頃、DX推進グループという組織が社内募集を行っていました。そこでは、新規顧客に対して新しい提案をするプロジェクトが多いことから、社内の公募制度であるジョブチャレンジ制度を利用して異動することに。
「転職も考えましたが、同期とのつながりなど、これまで培った人脈を保ちながら新しい挑戦ができる点に惹かれ、ジョブチャレンジ制度を利用しました。万が一、異動先が思ったような環境ではなかった場合も、元の部署に戻るという選択肢もあるため、転職よりも敷居が低かったと思います」
現在はイノベーションラボラトリの所属となり、当社の未来の技術戦略の策定に携わっている木下。「GIFTech 2024 春」への参加の動機は、業務内容とも関係しています。
「私の担当はエマージングテクノロジーと呼ばれる、将来的に実用化が期待される先端技術について調査を行うことです。単に調査にとどまらず、当社に利益をもたらす技術を見立て、それを獲得するためのロードマップを作成し、事業にどのように結びつけていくかを社内に明確に伝える必要があります。『GIFTech 2024 春』は初めて会うさまざまなバックグラウンドを持つメンバーとチームを組むので、自分の考えを短時間でわかりやすく伝える力を磨くチャンスだと考えました」
用意したプロダクト案が、すべて見送りに…
木下が参加するチームはゆうちゃみさんを担当することになりました。開発した「#ゆーちゃーじぃ」は、帰宅のタイミングで充電を促す通知が届くなど、スマートフォンの充電が習慣化されるようにゆうちゃみさんをサポートするアプリ。
「ゆうちゃみさんは掃除も洗濯もめんどうで、普段からご家族やマネージャーさんに頼っているという話でした。スマホの充電さえもめんどうで電源が切れてしまい、連絡が取れなくなることもあるそうで、これは相当なめんどうくさがり屋だと頭を抱えました(笑)」
開発に入る前には、ゆうちゃみさんにヒアリングをする機会があり、6つのプロダクト案を用意したところ、どの案も根本的な解決にはつながらず、見送ることに。思わずメンバー同士で顔を見合わせました。
「スケジュール的には、そこから1週間で開発するプロダクトを決める必要があり、とにかく皆で積極的にアイデアを出し合いました。実は8人いるメンバーの中では、私は年長組でした。そのため、自分が前に出過ぎることで活発な議論ができない雰囲気になることを避けようと、最初のうちは少し引いた形で関わっていたんです。でも、すぐにお互いに辛辣なフィードバックもできるような関係を築くことができました。意見が対立しても建設的に話が進められるメンバーだったことも作品のクオリティを高めることにつながったと思います。ただ、この1週間はとにかく大変で、『これでいこう』と決まった直後、私は体調を崩しました(笑)」
各チームのメンバーにはクリエイティブプランナーとデザイナーもいて、他業種のメンバーと協力しながら開発する点も「GIFTech 2024 春」の特徴です。木下はエンジニアとしてウィジェット機能の開発を担当しながら、ほかの領域にも積極的に関わりました。
「自分の役割以外の部分でもアイデアを出したり、手が空いていれば手伝ったり、皆が主体的に動く雰囲気がありました。私もアイデアを出すだけではなく、生成AIを利用してキャラクターデザインの一部を担当しました」
最優秀賞受賞の経験を活かし、より活躍できるエンジニアに
いよいよプロダクト発表の日です。プレゼンを受けながらアプリを操作するゆうちゃみさん。充電すると占いができる機能や充電残量に応じて変化するキャラクターに「これ、刺さるなあ」と感想がもれます。そして、「#ゆーちゃーじぃ」が最優秀賞に。
ゆうちゃみさんがアプリを審査する様子はこちら |
「GIFTechに参加して、何よりもさまざまな方と出会えたことがよかったです。皆さん、どんなに些細な質問にも、それぞれの知見を活かした回答をくれて、得るものがたくさんありました。実はハッカソンのようなイベントに参加するエンジニアは、少し威圧感があるタイプかもしれないと勝手に想像していたんです(笑)。でも、実際にはそんなことはなく、同期の仲間と喋るみたいに気軽に接することができ、経験豊富なメンバーもいれば、新たなスキルの習得に熱心なメンバーもいる。刺激的な時間でした」
これまでは多くの人に向けたサービスを開発・運用してきた木下ですが、GIFTechは特定の人のみに向けたアプリの開発がテーマ。新鮮な刺激となったようです。
「今回のハッカソンは1人の顧客を満足させることに主眼が置かれていました。ユーザーであるゆうちゃみさんから直接、フィードバックをいただけるため、課題の本質がつかみやすく、ユーザー視点で深く考えるきっかけになったと感じます」
今回の経験を経て、今後、どのようなエンジニアを目指すのでしょうか。
「自分に割り当てられた役割や立場からはみ出して、いろいろなことに挑戦できたことは、ただ作業をこなすだけとは違う、主体的に開発に携わる楽しさ、それによってプロダクト全体がブラッシュアップされていく感覚を味わうことができました。もちろん、仕事ではみ出すことによるリスクや苦しさは知っていますし、実際に経験もしています。ただ、今回役割からはみ出して生成AIで作成したキャラクターがゆうちゃみさんに刺さったという経験は、私のキャリアにおいて大きな財産になったと感じています。自分に無理のない範囲で、普段の仕事でも役割や立場にとらわれずに課題と向き合える、そんなエンジニアになれたらうれしいです」
<関連リンク>
UPDATE:2024.10.09