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プロフェッショナルとしてのスキル向上に注力
社員自ら考え、行動する文化を醸成したい
NECソリューションイノベータでは人的資本経営において、社員一人ひとりの幸せにフォーカスしたWell-being向上に注力しています。2024年6月には「健康」「成長」「働きがい」を柱に、社員が主役となってWell-beingのさらなる向上を目指す取り組みとして「きらねすプロジェクト」を開始しました。それに伴い、人材育成体系の見直しも行い、社員の成長をより支援する体制が整備されています。HR戦略室長の森かおりに、新たな人材育成体系とWell-being経営への取り組みについて聞きました。
ジョブ型マネジメントの始動とキャリア自律の実現に向けて
1万人を超えるエンジニアを擁するNECソリューションイノベータでは、企業にとって不可欠な資本であり、当社が提供する価値の源泉でもある“人財”への投資をこれまでも積極的に行ってきました。今回の人材育成体系の見直しには、どのような意図が込められているのでしょうか。「きらねすプロジェクト」では「成長」領域のリーダーでもあるHR戦略室長の森かおりは、次のように話します。
「グローバルでの持続的な競争力強化のために、当社では来年度からジョブ型人材マネジメントをスタートさせます。これは個々の『ジョブ(仕事)』を起点に適時適所適材を進め、絶えず変化するビジネス環境に対応する戦略の1つです。そして、この戦略の土台にあるのが『キャリアオーナーシップ』です。社員一人ひとりがプロフェッショナルとして、キャリアを自律的に描き、学びを継続できるように、会社はベストを尽くし、挑戦・成長し続けられる環境を提供します。その結果、社員と会社が『選び・選ばれる関係』を目指しています」
NECソリューションイノベータは以前から人的資本経営の推進に積極的に取り組んでおり、2023年度、2024年度と2年連続で「人的資本レポート」を社外に公開しました。人材育成体系の改革も、こうした流れの中で進められてきましたが、その過程で見えてきた課題もあります。
「これまでの人材育成は、年齢や在籍年数に応じて同じ研修を同じタイミングで受ける傾向がありました。会社として明確に階層ごとの縛りを設けていたわけではありませんが、体系的にそうなりがちだったのです。しかし、近年はキャリア採用も増え、年齢や在籍年数にかかわらずレベル感に応じて、必要なタイミングで必要な研修を自ら選択できる環境を整えることが重要だと考えています。今回の見直しにも、そうした狙いが含まれています」
社員の「健康」「成長」「働きがい」を支える新プロジェクトが発足
社員一人ひとりの人生そのものの充実、つまり"Well-being"を最大化することが、会社や事業の成長につながる──これがNECソリューションイノベータが推進する経営の考え方です。今年初めにはWell-beingのさらなる向上を目指す「きらねすプロジェクト」が発足。そのなかで「健康」「成長」「働きがい」の3つを柱にそれぞれのワーキンググループを立ち上げました。
「私はHR戦略室長としてリソース戦略策定や人材の獲得、育成の責任者であると同時に、成長ワーキンググループのリーダーも兼任しています。Well-being経営と人材育成は重なり合う部分が多く、表裏一体の関係にあります。あらためてWell-beingの視点から人材マネジメントを考えると、これまでは会社目線のアプローチが多かったことに気づきました。人的資本経営もWell-being経営も主役はあくまでも人です。そこで、会社目線ではなく、個人を起点にデザインすることを心がけながら、さまざまな改革や見直しを進めてきました」
各ワーキンググループには、現場の視点を取り入れるために、全社横断的にさまざまな部門からメンバーがアサインされました。そして、最初に行ったのは目指す「ありたい姿」を検討することでした。
「健康領域では、安心していきいきと働ける職場環境で、積極的に心身の健康づくりに取り組むこと。成長領域では、世代を問わず成長意欲を持ち、自身のキャリア目標・自己実現に向かって主体的にチャレンジし、成長実感を得ること。働きがい領域では、仕事の意義ややりがいを実感し、日々の仕事に楽しみや喜びを感じること。そのような『ありたい姿』を定義しました。そして、それらを具現化するための施策や指標について、時には合同で協議を重ねました」
その結果、主に次のような取り組みを進めていくことが決まりました。
健康領域では、心身ともに健康で働ける環境を目指し、次の3つの施策に取り組んでいます。
1. 休暇取得を推進する「休暇プラス1」
2. アサーティブコミュニケーションの導入
3. セルフコンディショニングスキル向上
アサーティブコミュニケーションとは、自身と相手の双方を尊重しながら、意見や要望を的確に伝えるコミュニケーションのあり方です。この文化を職場に根付かせるための活動を進めています。
働きがい領域では、人生曲線を使ってこれまでの経験を振り返り、自分にとって大切な価値観や志を言語化し、上司や同僚、部下と共有することで、より自律的なキャリアプランを構築していきます。また、新たな挑戦の機会として、自ら希望するポジションに応募できる社内公募制度「NEC Growth Careers」の利用促進にも取り組んでいます。従来の人材公募制度を改め、全オープンポジションを通年で公開。来年度からはNECグループ内の他社ポジションにも応募が可能となります。
そして、成長領域では、まず自らキャリアプランを描けるようになること、またそれを受け止める上司が的確なアドバイスや業務アサインができるよう、さまざまなサポートメニューの導入と強化を進めています。ただし、理想のキャリアを実現するために行動するかどうかは、あくまで個々の判断に委ねられます。
「成長領域ではキャリア自律の向上を目指し、会社主導ではなく、社員自身が将来のビジョンを描き、その実現のための計画と行動をサポートする体制を整えています。上司との定期的な1on1ミーティングなどのコミュニケーションの場で活用してもらうため、これまでのキャリア情報の棚卸や研修受講歴、専門性やスキルの保有状況等を確認することができる個人向けダッシュボード『私のキャリア』を提供しています。また、このダッシュボードには「わたキャリAI」が搭載されており、生成AIを使って自身のスキルや強みを言語化し、整理することが可能です。社員が描いたキャリア像に着実に近づけるよう、リスキルやアップスキルのための育成メニューを充実させ、選択型の研修プログラムを豊富に取り揃えています」
こうして、今年6月にWell-beingを推進する取り組みとして「きらねすプロジェクト」がローンチしました。プロジェクト名には当社の社内略称である「NES」と、社員一人ひとりがきら星のように輝いてほしいという願いが込められています。
自ら考え、行動する組織文化の醸成を目指して
Well-being経営と連動した人材育成体系の見直しを行ったことで、今後、組織としてどのような未来像を描いているのか、あらためて尋ねました。
「一般的にキャリアアップというと、いわゆる出世をイメージする方も多いと思います。しかし、1万人を超えるエンジニアが所属する当社においては、昇給や昇進を目指すだけではなく、グローバルに通用する専門性を高めることや、大規模なプロジェクトを仕切ることなど、プロフェッショナルとしてのスキル向上に重きを置いています。一人のエンジニアとして活躍し、ワールドクラスの仕事ができる、そんなエンジニアをどんどん輩出する環境を整えていきたいと考えています。その結果、世の中やお客様に提供できる価値が高まるという循環を生み出すことが私たちの目指す姿です。そのためにも、自身のキャリアについて自ら考え、自ら行動する文化を醸成するための環境や制度を整え続けることが、今後の大きな目標ですね」
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UPDATE:2024.11.05